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新型コロナウイルスに関する不安やパニックから身を守る方法とは?


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染が世界規模で拡大し続けている中、TVや新聞といったメディアやSNSなどで大量の情報が出回っています。あまりにも多くの情報に触れた結果、不安やパニックが増殖してしまうこともあるとのことで、イギリス・バース大学で心理学講師を務めるジョー・ダニエルズ氏が、「新型コロナウイルス感染症に関する不安やパニックから身を守る方法」について解説しています。

Coronavirus: how to stop the anxiety spiralling out of control
https://theconversation.com/coronavirus-how-to-stop-the-anxiety-spiralling-out-of-control-133166


ダニエルズ氏は、「恐怖は脅威に対する正常かつ必要な進化的反応です。最終的に、恐怖は私たちを安全に保つように設計されています」と述べ、恐怖自体は決しておかしなものではないと指摘。人間の脳は、感情的・社会的・物理的な脅威が自分自身の生存に与える影響を評価して、場合によっては「戦うか逃げるか反応」という、恐怖に対抗する反応を呼び起こすとのこと。

戦うか逃げるか反応は恐怖に対する生物学的な反応であり、危険な動物に遭遇するといった脅威から逃れるため、アドレナリンなどのホルモンが大量に分泌されます。そして、心拍数や血圧などが上昇し、発汗や発熱といった身体症状が現れるほか、緊急時に必要のない臓器の活動が抑制されたり筋肉が緊張したりして、走って逃げたり戦ったりする場合に体が備えます。

進化の中で発達してきた戦うか逃げるか反応ですが、「このシステムには不具合が発生しやすく、実際にはそれほど深刻でも緊急でもない脅威に対しても、不釣り合いに反応してしまうことがあります」とダニエルズ氏は述べています。襲ってくる外敵に遭遇した場合だけでなく、新型コロナウイルスへの感染を心配することでも、戦うか逃げるか反応が起きてしまうことがあるとのこと。

確かに新型コロナウイルス感染症は脅威の一種ではあるものの、戦うか逃げるか反応によって筋肉が緊張したり強い興奮を覚えたりしても、何の役にも立ちません。感染症の脅威に対して必要なのは、感染症に対する合理的なアプローチであり、高いレベルの認知能力だといえます。しかしダニエルズ氏は、「悲しいことに、『言うは易く行うは難し』です。ひとたび恐怖を覚えてしまえば、それを止めることは難しいものです」とコメントし、新しい感染症の広まりはパニックや不安を引き起こしやすいと主張しています。


新型コロナウイルス感染症に対する不安やパニックを覚えやすいグループの一つとして、ダニエルズ氏は「慢性的に身体が不調な人々」を挙げています。このように何かしらの疾患を抱えた人々は、新型コロナウイルス感染症が重症化するリスクが高いため、「彼らの懸念は正当化され、予防措置を講じる動機付けは極めて重要です」とダニエルズ氏は指摘。その一方で、いたずらに不安を増すだけでなく、不安な感情へのサポートも重要だとのこと。

また、常日頃から健康関連の情報をこまめにチェックしている人や、特定の事柄を繰り返し確認する傾向が強い強迫性障害の兆候がある人も、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って精神が不安定になりやすいグループの一つです。必ずしも新型コロナウイルス感染症を気にすることが心理的な障害になるとは限りませんが、日常の生活が阻害されるほど心配してしまう場合は、過剰な不安やパニックに対処するべきだとダニエルズ氏は主張しています。


実際に新型コロナウイルス感染症の不安が高まって日常生活に支障が出てしまう場合は、新型コロナウイルス感染症関連のニュースやSNSの投稿を頻繁にチェックするのを止め、通知をオフにすることが推奨されるとダニエルズ氏は述べています。当初は不安に対処するためにさまざまな情報を集め始めたのかもしれませんが、SNS上では新型コロナウイルスに関連するデマが飛び交っているとの指摘もあり、必要以上の情報に触れると不安が増殖してしまいます。

そこでダニエルズ氏は、信頼性に乏しいネットニュースやSNS上の投稿を見るのではなく、国家機関や専門家の組織が運営するウェブサイトなど、より信頼性の高い情報源に触れることを推奨しています。多くの場合は病気そのものよりも、「不確実な情報への不寛容性」が人々の不安を継続させてしまうとのこと。

また、ストレスや不安を覚えた際には呼吸が浅くなって呼吸数も増えることから、意図的にゆっくりと深呼吸を繰り返すことも、戦うか逃げるか反応をリセットして気分を落ち着かせるために役立つそうです。さらに、運動して体を動かすことや、友人や家族と会ったりビデオチャットに参加したりして社会的な孤立を避けることも、不安に対処する上で重要だとのこと。「新型コロナウイルス感染症に対抗した警戒や予防措置は必要ですが、心理的な苦痛や広範なパニックは必要ありません。日常生活を継続し、視点を維持して、不必要なストレスを軽減することが心理的な生存の鍵です」と、ダニエルズ氏は述べました。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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