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新型コロナウイルスに関する誤情報をSNS上で広めるボットが数多く暗躍している


新型コロナウイルスは最初に感染が広まった中国や日本、韓国といったアジア諸国だけでなく、イタリアアメリカといった欧米諸国でも感染が広がっています。そんな新型コロナウイルスについて、「SNS上で新型コロナウイルスに関する誤情報を広めるボットが登場し、人々を惑わせている」と、海外メディアのInverseが報じました。

Bots are waging a coronavirus disinformation campaign on social media
https://www.inverse.com/innovation/bots-are-spreading-lies-about-the-coronavirus-on-social-media


2020年2月27日の時点で、アメリカ国内の新型コロナウイルス感染者数は60人を超えておりアメリカ疾病予防管理センター(CDC)は新型コロナウイルスの感染拡大に備える必要性があると警告しています。多くの人々が集まるイベントへの影響も出ており、Facebookは2020年5月に開催される年次開発者会議「F8」の開催中止を決定しました。

新型コロナウイルスの懸念によりFacebookの年次開発者会議「F8」の開催が中止に - GIGAZINE


多くのアメリカ人は新型コロナウイルスに感染することを心配しており、感染しやすさや発症した場合の致死率といった情報を得ようと、インターネット上で情報を探したり共有したりする人は増加しているとのこと。そんな中、医療専門家は新型コロナウイルスに関する誤報が広まることが、現実的な脅威となりつつあると警告しています。

ボットを見つけ出すプラットフォーム「Bot Sentinel」の創設者であるChristopher Bouzy氏は、Twitter上のツイートを分析して「何者かによって運営されているボットが新型コロナウイルスに関する多くの偽情報を主張している」ことを発見しました。

Bouzy氏が発見したボットが広めている主張には、「新型コロナウイルスは中国が意図的に開発した生物兵器である」「民主党員がドナルド・トランプ大統領を脅かすために新型コロナウイルスの恐ろしさを誇張している」といったものがあるとのこと。ボットの運営者を特定することは困難ですが、多くの主張はトランプ政権を支持する人にとって都合がいいものだとInverseは述べています。

by Mike Mozart

新型コロナウイルスに関するデマが主張する内容には、「新型コロナウイルスの脅威は民主党によって誇張されている」というものや、「新型コロナウイルスは外国からの脅威である」というものが多いそうです。Bouzy氏は、ボットが人々の恐れを食い物にして簡単に誤情報を広めるケースは珍しくないと指摘。新型コロナウイルスに対する恐怖心が高まっている状況で、誤情報が拡散されていることに驚きはないと述べています。

「人々が主要なニュースイベントに関連する情報を積極的に検索している場合、偽の情報や誤情報が頻繁に共有されて広まっていきます」とBouzy氏は述べ、学校教育などでSNS上の誤情報やフェイクニュースを見抜く方法を教えるべきだと主張しました。


ファクトチェックを行うウェブサイトのTruth or Fictionで編集長を務めるBrooke Binkowski氏はInverseに対し、誤情報が大規模なパニックを引き起こす危険があると警告しています。「現時点で私が最も懸念しているのが、特に有色人種の移民を非難するために、誤情報がほぼ確実に使用されるという点です。これは古くから存在する最悪のトリックです。ある種のパンデミックが起きた時は常に、外部からの人間が非難されます」と指摘。

Binkowski氏は、ソーシャルメディアが誤情報の拡散に貢献してしまっている以上、ユーザー自身が誤情報に対して敏感になり、情報を共有する際には真偽をチェックしなくてはならないと主張。「パニックを引き起こす必要がない私たちは、ソーシャルメディアの情報に注意しなくてはなりません。真偽がチェックされた情報を信用し、感情に支配されないようにするべきです。パニックに陥ることなく、しかし準備は怠らないで下さい」とBinkowski氏は述べました。


一方、アメリカ政府も「ロシアが運営する数千のソーシャルメディアアカウントが新型コロナウイルスに関する誤報を広め、世界的な流行と戦う協調的な取り組みを阻害している」と主張しています。

Coronavirus: US says Russia behind disinformation campaign | World news | The Guardian
https://www.theguardian.com/world/2020/feb/22/coronavirus-russia-disinformation-campaign-us-officials

アメリカ合衆国国務省ヨーロッパ・ユーラシア局の国務次官補を務めるフィリップ・リーカー氏は、「ロシアの意図は、内部からアメリカ政府と同盟諸国の不和を招き、弱体化させることです」と述べ、新型コロナウイルスに関する偽情報を広めて公衆の安全を脅かす存在について警鐘を鳴らしました。

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in ネットサービス, Posted by log1h_ik

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