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WHOが新型コロナウイルス感染症をパンデミックと認定、2009年の新型インフルエンザ以来11年ぶり


人間の健康を基本的人権のひとつと捉え、その達成を目的として設立された国際連合の専門機関である世界保健機関(WHO)が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をパンデミック(世界的流行)と認定しました。WHOがパンデミックと認定するのは、2009年に流行した新型インフルエンザ以来11年ぶりです。

WHO Director-General's opening remarks at the media briefing on COVID-19 - 11 March 2020
https://www.who.int/dg/speeches/detail/who-director-general-s-opening-remarks-at-the-media-briefing-on-covid-19---11-march-2020


WHOが新型コロナウイルス感染症の拡大に関する定例記者会見を開き、その中でテドロス・アダノム事務局長が「新型コロナウイルスはパンデミックと評価できる」とコメントしました。WHOがパンデミックと認定したのは、2009年の新型インフルエンザ以来、11年ぶりです。

なお、WHOは2020年2月25日の段階では新型コロナウイルス感染症について「パンデミックと呼べる段階ではない」と表明していました。

新型コロナウイルス感染症は「パンデミックと呼べる段階ではない」とWHOが宣言 - GIGAZINE


テドロス事務局長は過去2週間で中国以外の国と地域で新型コロナウイルス感染症の症例数が13倍に増加し、影響を受ける国の数が3倍になったと語りました。WHOによると、2020年3月11日時点で、114カ国・11万8000人が新型コロナウイルスに感染しており、4291人が命を落としたとのこと。そして、今後数日あるいは数週間にわたり、「さらに症例数や死亡者数は増加することが予想される」とテドロス事務局長は語っています。

なお、新型コロナウイルス感染症の症例は、90%以上がたった4カ国から報告されており、そのうちの2カ国(中国および韓国)では既に流行が著しく減少していると報告されています。また、81カ国がいまだに症例を報告しておらず、57カ国が10以下の症例数を報告しているのみに感染拡大を抑えることに成功しています。


以下のグラフは、ジョン・ホプキンス大学のシステム科学工学センターが公開する新型コロナウイルス感染症に関するデータを基に作成されたもので、症例数(縦軸)を時系列(横軸)で示したもの。WHOの指摘通り、感染事例のほとんどが中国から挙がっていることは一目瞭然。中国および韓国で報告されている症例数が減少傾向にあることがよくわかります。


WHOは新型コロナウイルス感染症の発生について24時間体制で評価を続けてきたそうで、テドロス事務局長は「新型コロナウイルス感染症の拡大と深刻度、そして正しい対策が取れていないことに対して深く懸念しています。よって、我々は新型コロナウイルス感染症をパンデミックと特徴付けられると評価しました」と語り、新型コロナウイルス感染症をパンデミックと認定した経緯を語っています。

テドロス事務局長は「パンデミックは、軽く・不注意に使用する言葉ではありません。誤用された場合、不当な恐怖や不当な受け入れを引き起こし、不必要な苦痛や、死につながる可能性もあります。ただし、状況をパンデミックとして説明しても、このウイルスによってもたらされる脅威に対するWHOの評価は変わりませんし、WHOの行動も変わりません。また、各国の行動も変わりません」と語り、パンデミックと認定されたからといってWHOや各国の対応が変わるものではないとしました。


なお、WHOによると、コロナウイルスによって引き起こされたパンデミックは今回の新型コロナウイルス感染症が初のこと。さらに、テドロス事務局長は「これほど制御できているパンデミックは見たことがありません」とも語っており、新型コロナウイルス感染症に対する各国の対策が有効に働いていることを強調しています。

テドロス事務局長は、「各国が感染の疑いのある人々を検出し、検査・治療・隔離・追跡する場合、そこからコミュニティ全体に感染症が拡大することを防ぐことができます。既にコミュニティへの感染が確認されている国であっても、ウイルス拡散の流れを変えることができます。そして、いくつかの国ではウイルスを抑制・制御できることが実証されています」と話し、パンデミックであっても正しい措置を取ることで流行を最小限に抑えることができるとしています。

さらに、「一部の国は能力不足や資源不足、あるいは国の決断力の欠如により苦しむことになっている」としつつ、イラン・イタリア・韓国で新型コロナウイルスの感染拡大を防ぎ、制御するために講じられた措置を賞賛しています。テドロス事務局長は、各国の取った措置が中国だけでなく社会や経済に大きな打撃を与えていることについて「理解している」としつつ、「すべての国が健康の保護、経済的および社会的混乱の最小化および人権の尊重の間でバランスを取らなければいけない」と指摘。そして、「WHOの義務は公衆衛生です。しかし、我々はすべてのセクターの多くのパートナーと協力して、パンデミックの社会的および経済的影響を緩和しようとしています」と述べました。


新型コロナウイルス感染症を防ぎ、影響を最小限に抑えるためには、政府および社会全体が「まず感染症に備える」「次に、感染症を検出・保護・治療する」「第三に、感染症の拡大を抑える」「第四に、技術を革新し、学ぶ」ことが重要とテドロス事務局長。なお、テドロス事務局長は最後に「我々は共に、落ち着いて正しいことを行い、世界の市民を保護していきます。それは実行可能なことです」と述べています。

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in メモ, Posted by logu_ii

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