メモ

新型コロナウイルスの流行を空港での検査がどれほど防ぎ遅らせることができるかを可視化するとこうなる


新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のパンデミックを防ぐべく各国がさまざまな取り組みを行っていますが、SARS-CoV-2に関するデータが少ないため、対策は困難を極めています。そんな中、国際保健の専門家たちが、旅行者への介入によりSARS-CoV-2をどれほど防げるのかという論文を公開し、データをグラフ化したウェブサイトを公開しています。

Effectiveness of airport-based interventions at detecting travellers and delaying an outbreak of COVID-19
https://cmmid.github.io/visualisations/traveller-screening

Effectiveness of airport-based interventions at detecting travellers and delaying an outbreak of COVID-19
https://cmmid.github.io/

Interventions targeting air travellers early in the pandemic may delay local outbreaks of SARS-CoV-2 | medRxiv
https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.02.12.20022426v2

公開されているページはこんな感じ。画面左側にスライダーが、右側にスクリーニングによってどのくらい感染旅行者を見つけることができるかが示されています。


画面左のスライダーは、上から「飛行時間」「出国検査の精度」「入国検査の精度」となっています。


病原体は「SARS-CoV-2」に指定されており、感染から症状が出るまでの期間(平均)は「5.2日」、感染から症状が出るまでの期間(分散)は「4.1日」、感染から入院までの期間(平均)は9.1日、感染から入院までの期間(分散)は14.7日、無症状患者の割合は17%となっています。


たとえば飛行時間が13時間、出国検査と入国検査の精度が86%のとき、感染者100人のうち、出国検査で検出される人(緑)は45人、飛行中に深刻な症状が出る人(ピンク)は0人、入国検査で検出される人(青)は9人、検出されない人は46人となっています。


飛行時間の影響は小さめですが、飛行時間が12時間から1時間に短縮されると、入国審査で検出される人数が3人減り、その分、未検出者が増えます。


一方、飛行時間が長くなると、飛行機内で症状が重くなる人が現れ、飛行機内で検出される感染者が1人に増えます。


出国検査が行われないと、飛行機内で検出される人が4人に増加。また、出国時のスクリーニングが甘くとも大抵の感染者は入国検査の際に検出されますが、未検出者が45人から51人に増加します。


出国検査の精度が86%から100%に上がっても、最終的な未検出者は45人となり、そこまで大きな影響はありません。


一方で、入国検査が行われなくなると、54人が未検出となり、出国検査が行われなかった時よりも多くの人が感染を検出されないまま入国することになります。


さらに「Delaying an outreak」タブから、空港でのスクリーニングによってアウトブレイク(集団発生)をどのくらい遅らせることができるかを見ることができます。


画面左側のスライダーは、上から「飛行時間」「出国検査の精度」「入国検査の精度」「1週間に入国する感染済みの旅行者」「旅行者の感作の効果」「基本再生産数」「分散」となっています。


飛行時間12時間、出国検査と出国検査の精度が86%、1週間あたりの入国感染者が1人、感作効果が50%、基本再生産数が1.4~3.9、分散が0.54となっている場合はこんな感じ。少なくとも21日までアウトブレイクを遅らせる確率は97.5%、81日までアウトブレイクを遅らせる確率は75%となっています。


出国検査が行われないと、97.5%の確率でアウトブレイクを遅らせることができるのは「18日」に短縮、75%の確率でアウトブレイクを遅らせることができるのは「58日」までとなりました。


入国検査が行われないと、97.5%の確率でアウトブレイクを遅らせることができるのは「16日」、75%の確率でアウトブレイクを遅らせることができるのは「49日」までとなり、影響は出国検査の有無よりも大きめです。


一切のスクリーニングを行わない状態だと、7.5%の確率でアウトブレイクを遅らせることができるのはわずか「6日」、75%の確率でアウトブレイクを遅らせることができるのは「14日」とのこと。


「1週間あたりの入国感染者数」を1から10にしてみると、こんな感じ。出国・入国検査がしっかりと行われていても、旅行者の数が多いとアウトブレイクまでの時間稼ぎがぐっと難しくなることが示されました。


このウェブサイトは国際保健と熱帯医学の分野をリードするロンドン大学運営の研究大学ロンドン・スクール・オブ・ハイジーン &トロピカル・メディスン(LSHTM)が構築したもの。ウェブサイトのデータは2020年2月13日に公開された未査読の論文に基づいており、この論文では「SARS-CoV-2に感染している旅行者の数が極めて少ない場合、空港での検査と旅行者の感作という組みあわせにより、まだ影響を受けていない国でのアウトブレイクを遅らせることができる」と結論付けられています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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