「光害」を地図にした「Light pollution map」で分かる意外な光の発生源とは?
都市の明かりなどの人工的な光がもたらす「光害」は、天体観測の邪魔になるだけでなく健康被害や生態系への影響をもたらすと指摘されています。そんな光害の分布を世界地図にした「Light pollution map」を見ると、世界のどこでどんな光害が発生しているのかを見ることが可能です。
Light pollution map
https://www.lightpollutionmap.info/
上記URLにアクセスしたところがこれ。
左上のボタンで拡大・縮小が可能なほか、マウスホイールのスクロールでも縮尺を変えることができます。スマートフォンを使用している場合は、ピンチインやピンチアウトでも同様に縮尺の変更が可能です。
検索欄に地名を入力すると、目的の場所をすぐに見つけることができます。試しに日本(Japan)と入力してみたところ、地理的な日本の中心なためか、長野県長野市の近郊が表示されました。
地図の任意の地点をクリックもしくはタップすると、その地点の光害の詳細を見ることが可能です。項目は上から「座標」、アマチュア天文家に愛用されている光の測定器「Sky Quality Meter」による測定結果、「輝度」、「人工的な光の量」、「人工的な光と自然光の比」、夜空の明るさを9段階に分類した「ボートル・スケール」、「標高」です。
ざっと地図を見ていると都心に近いほど明るいことが分かりますが、意外な発見もあります。例えば、北海道にある知床半島の沖合を見てみると、何もないはずの海がひときわ明るくなっているのが分かります。このあたりでは、イカが明かりに集まる習性を利用したイカ釣り漁が盛んに行われていることから、この明かりは漁船の集魚灯だと推測できます。
ほかにも、アメリカ・メイン州のケネベック川がぐにゃりと曲がった辺りも明るくなっています。ここは都市や街ではない場所ですが……
右上の「Hybrid」をクリックしてマップを衛星写真に切り替えてみると、なにやら四角形の施設が見えました。
同じ場所をGoogleマップで見てみると、「Backyard Farms」という農場があることが判明。
この農場には、トマトを栽培する巨大な温室があるため明るく輝いているようです。
50あるアメリカ州の中で3番目に人口が少ないノースダコタ州西部にも、巨大な光源があります。
最も明るい部分をズームしてみると、なにやら道沿いに点在する施設が見えてきました。
この地域には、バッケン油田というアメリカ有数のシェールガス採掘施設があります。技術の向上により可能となったシェールガスの採掘は、産業に乏しいノースダコタ州に膨大な雇用と財政収入をもたらし、「ノースダコタ州の石油ブーム」と呼ばれる一大産業にまで発展しました。
しかし、近年では原油価格の低迷などの影響により採算がとれなくなってきており、採掘されたシェールガスの30%が使われることなく燃焼されているとのこと。これにより、まばゆいガスフレアの光が二酸化炭素とともに放出されています。
by Varodrig
光を放っているのは、人の営みだけではありません。ハワイを見てみると、ハワイ島の南東部に大きな光源があります。
これは、たびたび噴火を起こしている活火山であるキラウエア火山の光のようです。
by Dan Lacroix
ハワイには天文学にとって重要な施設が多く存在するマウナケア天文台群が存在していますが、幸いなことにキラウエア火山の光はマウナケア山には届かないようです。
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