メモ

4年にわたりハードディスクの暗号化を解除するパスワードの提供を拒否し続けた男が釈放される


アメリカ・ペンシルベニア州のフィラデルフィアに住んでいた元警察官のフランシス・ロールズは、児童ポルノが保存されている疑いのあるハードディスクの復号化を拒否し、2015年から4年以上にわたって刑務所に投獄されていました。ところが、連邦巡回区控訴裁判所の判決により、ロールズは2020年2月6日に釈放されました。

UNITED STATES COURT OF APPEALS FOR THE THIRD CIRCUIT No. 17-3205
(PDFファイル)https://assets.documentcloud.org/documents/6773013/Rawls-Case.pdf

Ex-Philadelphia cop freed after years without charges in child porn probe
https://www.inquirer.com/news/ex-philadelphia-police-sergeant-freed-child-porn-francis-rawls-20200208.html

Appeals Court Rules That People Can't Be Locked Up Indefinitely For Refusing To Decrypt Devices | Techdirt
https://www.techdirt.com/articles/20200210/14173343897/appeals-court-rules-that-people-cant-be-locked-up-indefinitely-refusing-to-decrypt-devices.shtml

Man who refused to decrypt hard drives is free after four years in jail | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2020/02/man-who-refused-to-decrypt-hard-drives-is-free-after-four-years-in-jail/


2015年、法執行機関がロールズの住居を捜索し、2台のスマートフォン、1台のノートPC、児童ポルノが保存されているとみられる2台のハードディスクを押収しました。検察官はノートPCにアクセスして、ロールズが児童ポルノをダウンロードしてハードディスクに保存したことを確認したそうですが、児童ポルノが保存されている肝心のハードディスクが暗号化されていたため、法執行機関はダウンロードされたファイルにアクセスできなかったとのこと。

そこで裁判官は「All Writs Act(全令状法)」を発し、ロールズに対してハードディスクの復号化を命じましたが、ロールズは「暗号化を解除するパスワードが思い出せない」と主張して、誤ったパスワードを捜査員に入力させるなどの妨害を行いました。これに対して法執行機関は、民事的な裁判所の命令に違反したとして、法廷侮辱罪でロールズを2015年9月から4年以上にわたって投獄し続けてきました。


ところがロールズは、「証人が裁判官の命令に背いたことによる法廷侮辱罪は、いかなる場合でも最大18カ月までしか投獄できない」という連邦法に基づいて控訴し、自身を釈放するように求めました。記事作成時点では、ロールズは児童ポルノの罪で起訴されているわけではないため、ロールズは「自分は今回のケースにおいては容疑者でなく、証人の立場である」と主張しています。

これに対して政府機関は、「ロールズは証人や目撃者ではなく、容疑者である」という立場を取り、投獄できるのは最大で18カ月までという規定はロールズに適用されないと主張。しかしロールズは、「パスワードを提供すること自体が、『自分がそのハードディスクを所有しており、制御していた』という証拠になり得る」として、パスワードを提供する行為は証言に当たると反論していました。


そして2020年2月6日、連邦巡回区控訴裁判所は「ロールズは実質的な証人であり、連邦法に従って投獄できるのは最大で18カ月までである」との判決を下し、ロールズを釈放するように命じました。これにより、2月6日の夜にロールズは4年以上にわたる収監から解放されたとのこと。

なお、法執行機関はハードディスクに保存されている児童ポルノのファイルにアクセスできなくても、ロールズを起訴するために必要な証拠はそろっていると主張しています。スマートフォンに保存された児童ポルノ画像や、ロールズの妹による「外付けハードディスクの中に数百枚の児童ポルノ画像を見た」といった証言から、検察官はロールズを有罪にする上で十分な証拠をまとめられる可能性があるとArs Technicaは述べました。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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