Googleの収入源となるサービスが抱える問題点とは?
By FirmBee
GoogleはGoogle検索やGmailなど、無料で使用できるサービスを多く提供していますが、収入は主に、検索結果などに表示されるオンライン広告から得ています。Googleが提供するサービスを介して広告を表示することでGoogleは収入を得られるわけですが、それを支えるサービスの問題点についてを、プログラマーであるエイブ・ウィンター氏が語っています。
The coming IP war over facts derived from books
https://abe-winter.github.io/2020/02/11/books-facts-ip.html
Googleの元CEOであるエリック・シュミット氏は、かつて「われわれがやっていることはすべて機械学習だ」と述べましたが、ウィンター氏は過去5年に渡ってGoogle検索から機械学習の進歩を感じられないとし、「Google検索は記憶力が乏しいのか、直近の情報しか入手できません」と語っています。
また、ウィンター氏はGoogle以外の機械学習を使った主なサービスとして、Amazonの「おすすめ商品」、Facebookのニュースフィードを挙げていますが、どちらも表示される内容の質、広告としてのパフォーマンスに進化は見られず、機械学習が情報提供を多様化する新しいシステムの開発を推進する可能性は低いと述べています。
「Google検索は、機械学習によって情報の新しさに焦点を当て、同義語を区別する精度を高めました。しかし、引用句を区別する能力が低下したため、検索結果は悪化しています。そして、Google自体が多様化に対応できていません。Googleの主な収入源は依然として広告であり、広告収入は枯渇しつつある可能性があります」とウィンター氏は指摘しています。
さらに、ウィンター氏は「Googleはおそらく『機械学習によって広告を改善できる』と考えています。広告表示においては『どんな広告を誰に向けて発信するか』を機械学習によって決定しています。おそらく、キーワードごとのクリック率でカテゴリーを分けているのでしょう。しかし、AIによる統計が、収益を動かせるようなカテゴリー分類に生かせるかどうかは分かりません」と述べ、機械学習の限界を示唆しています。
By fancycrave1
Googleには別の収益源として、独占的にアクセスできるデータセットがあります。それは、Googleによる書籍スキャンのプロジェクト「Googleブックス」で、著作権で保護された数千万冊もの書籍の全文をオンラインで読めるサービスです。Googleの自然言語処理や質疑応答システムに対する動向から、Googleが本からの情報に基づいて質問に答えるシステムをリリースするのは「理にかなっている」とウィンター氏は述べています。
加えて、Googleはウェブスクレイピングによってサイトの情報を抽出し、Google検索の結果に表示させるというサービスを行っています。しかし、YelpやGeniusに対する問題が表面化しており、どちらのサイトもウェブスクレイピングによってGoogle検索の結果に各ウェブサイトの情報が表示されるため、YelpやGeniusにアクセスするユーザーが減少しました。Geniusは対策として、コピーされた歌詞のページに、アポストロフィで表したモールス符号で「red handed(現行犯)」と表示させる独自の細工を施し、訴訟に発展しています。
By geralt
「Googleは、既存の情報フォーマットから収益性を取り除くことで、新たな情報フォーマットの構築を狙っています。Googleの主義主張は『世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスして使えるようにすること』なので、Googleがプライバシーを理解していないのも不思議ではありません」とウィンター氏は語っています。
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