仕事中のネットサーフィンやSNSチェックは職場への満足度を上げて生産性を向上させる可能性がある
by amenic181
仕事中のSNS・私的メールのチェックやインターネットサーフィンなどは一般的に「生産性を下げる」として禁じられている職場も多いはず。しかし、最新の調査では、仕事中にこれらをやっている人の方が厳しい職場環境の中でも仕事への満足度が高く、離職への希望も小さいことが示されました。
Is cyberloafing more complex than we originally thought? Cyberloafing as a coping response to workplace aggression exposure - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0747563219302560
Why bosses should let employees surf the web at work
https://theconversation.com/why-bosses-should-let-employees-surf-the-web-at-work-128444
勤務中にSNSやブログなど仕事と全く関係がないネット情報を見てしまうことを、「Cyber」(サイバー)と「Loafing」(怠ける)という言葉を組み合わせて「Cyberloafing」(サイバーローフィング)と呼びます。サイバーローフィングは2002年の研究で始めて作られた新しい言葉で、これまでは「従業員のサイバーローフィングを阻止するためには」といった否定的な文脈で研究が行われてきました。
しかし、近年はサイバーローフィングに対して肯定的な評価も現れています。たとえば、職場でSNSを使用すると仕事の満足度やエンゲージメントが増加するという調査結果も発表されています。また退屈や不明瞭な指示の結果として従業員はウェブサイトを閲覧するという主張もあります。
by gpointstudio
そこで、インディアナ大学-パデュー大学インディアナポリス校(IUPUI)のステファニー・アンデル心理学助教授らの研究チームは、「サイバーローフィングは従業員がストレスから回復するための機会を与える」という仮説を立てて調査を行いました。
調査では、少なくとも週に20時間以上働いている大学生258人に対しオンラインアンケートを実施しました。このアンケートは、「仕事とは関係のないメールをチェックする時間はどのくらいか」「仕事中にオンラインショッピングを行う時間はどのくらいか」といった質問を行い、回答者に「全く行わない」から「絶えず行っている」といった評価をしてもらいました。また、研究者はこれとあわせて仕事への満足度ややめたい気持ちはあるか、仕事中にいじめや脅しを受ける頻度についても質問を行いました。
この結果、当然ながら仕事中に受けるいじめの頻度が高いほど仕事への満足度は低くなり、「会社をやめたい」という望みが多くなることが示されました。
by nd3000
そして興味深いのは、サイバーローフィングが職場でのいじめと職場への満足度低下・離職願望というつながりを緩和する役目を持つと示されたこと。つまり、いじめを受ける社員であってもインターネットサーフィンや私的なメールチェックの頻度が高い人は、いじめを受けるがサイバーローフィングをあまりしない人に比べて、仕事への満足度が高くなり、離職への望みも小さくなることが示されたのです。
全体としては、被験者の約65%が、少なくともある程度の時間はサイバーローフィングを行っていることが示されました。
今回の研究はサイバーローフィングがパフォーマンスに与える影響について直接的に調査したものではありませんが、仕事でのストレスが軽減されることで、最終的には生産性が向上する可能性もあるとのこと。仕事で最高のパフォーマンスを発揮するには休息を取ることが重要だと近年は主張されており、今回の研究結果はこれら過去研究とも一致します。
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あまりにもサイバーローフィングが多すぎるとパフォーマンスが低下する可能性はありますが、生産性を高めるために、ある程度は労働者に余裕を持たせる必要があるとアンデル助教授は語っています。
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