AMDがノートPC向けの7nm設計・Zen 2アーキテクチャAPU「Ryzen Mobile 4000」シリーズを発表
2020年1月6日から10日まで開催されている世界最大級の技術見本市CES 2020で、チップメーカーのAMDが、ノートPCなどモバイル端末向けの第3世代APU「Ryzen Mobile 4000」シリーズを発表しました。Zen 2アーキテクチャ・7nm製造プロセスのCPUコアを採用したことで、前世代から大幅にパフォーマンスが向上し、消費電力も抑えられたとのことです。
AMD Ryzen 4000 Mobile APUs: 7nm, 8-core on both 15W and 45W, Coming Q1
https://www.anandtech.com/show/15324/amd-ryzen-4000-mobile-apus-7nm-8core-on-both-15w-and-45w-coming-q1
Ryzen Mobile 4000シリーズのダイを掲げて見せるリサ・スーCEO
「Renoir」というコードネームで開発されたRyzen Mobile 4000シリーズは、モバイル向けのx86プロセッサとしては世界で初めてTSMCの7nm製造プロセスを採用しています。
Ryzen 4000シリーズには、省スペース化を重視したUシリーズ、ゲーマーやクリエイター向けのHシリーズ、省スペースかつ性能を追及したPROシリーズの3種類が用意されているとのこと。
UシリーズのRyzen 7 4800UはZen2アーキテクチャのCPUコアを8基、Radeon Vega CUを8基搭載し、スレッド数は16、定格周波数1.8GHz(オーバークロック時4.2GHz)となっています。コア数は第2世代のRyzen 3000シリーズの倍になった一方で、CUは前世代よりも少なくなったそうですが、AMDはプロセスノードのおかげで前世代を超えるパフォーマンスが発揮できると強調しました。なお、TDP(熱設計電力)は15Wとなっています。
Intelの第10世代モバイルプロセッサであるCore i7-1065G7とRyzen 7 4800Uを比較した結果が以下。Cinebench R20によるベンチマークと3DMark Time Spy benchmarkを用いたグラフィック性能比較では、Ryzen 7 4800UのスコアはCore i7-1065G7を上回ったとのこと。
その他の比較テストでも、Ryzen 7 4800UがCore i7-1065G7を上回る性能を見せたと、AMDは主張しました。
なお、発表されたUシリーズは以下の通り。いずれも熱設計電力は15Wとなります。
コア数/スレッド数 | 定格クロック | オーバークロック | L2キャッシュ | L3キャッシュ | CU | IGP | |
Ryzen 7 4800U | 8/16 | 1.8GHz | 4.2GHz | 4MB | 8MB | 8基 | 1750MHz |
Ryzen 7 4700U | 8/8 | 2.0GHz | 4.1GHz | 4MB | 8MB | 7基 | 1600MHz |
Ryzen 5 4600U | 6/12 | 2.1GHz | 4.0GHz | 3MB | 8MB | 6基 | 1500MHz |
Ryzen 5 4500U | 6/6 | 2.3GHz | 4.0GHz | 3MB | 8MB | 6基 | 1500MHz |
Ryzen 3 4300U | 4/4 | 2.7GHz | 3.7GHz | 2MB | 4MB | 5基 | 1400MHz |
APUの世代間で消費電力当たりのパフォーマンスを比較すると、第3世代APUは第2世代の倍以上のパフォーマンスを見せたとのこと。
また、AMDは既にPCメーカーのLenovoと提携し、Lenovo Yogaの新機種「Yoga Slim 7」のRyzen 7 4800U搭載モデルを発表しました。
なお、CES2020でのAMDのカンファレンスは以下のムービーから見ることができます。
AMD at CES 2020 - YouTube
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