サイエンス

男性の科学者は女性の科学者よりも自分の研究内容を「すばらしい」と自画自賛しがち

by Ani Kolleshi

近年、社会的・文化的な性別(ジェンダー)に基づく格差が注目されるようになり、科学の分野でもジェンダー格差が根強くあると指摘されています。そんな中、「男性の研究者は、自分の論文の概要で『今までになく新しい』『ユニークな』『すばらしい』といった形容詞を散りばめて自画自賛する傾向が、女性の研究者に比べて高い」という研究結果がイギリスの医学誌であるブリティッシュ・メディカル・ジャーナルで報告されました。

Gender differences in research reporting | The BMJ
https://www.bmj.com/content/367/bmj.l6692


Men are more likely than women to call their science ‘excellent’ - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/science/2019/12/16/men-are-more-likely-than-women-call-their-science-excellent/


マンハイム大学の経済学者であるマーク・ラーヘンミュラー氏が自宅で大量の論文を読んでいたところ、心臓外科医であるラーヘンミュラー氏の妻が「研究結果の重要性を誇示するような大胆な主張をしている論文がある」ことに気づいたそうで、これをきっかけにラーヘンミュラー氏は、「性別による研究論文の書き方に系統的な違いがあるのではないか」と推測しました。


そこで、ラーヘンミュラー氏の率いる研究チームは、過去15年間に発表された10万件以上の医学研究と620万件の生命科学論文を分析。その結果、女性研究者の執筆した研究論文では、「有利な」「優秀な」などの肯定的な言葉が使われる可能性が、男性研究者の研究論文よりも12%低かったことを明らかにしました。

また、特に知名度や影響力のある学術誌に掲載された論文に限定した場合、女性研究者が自分の研究内容を「優秀な」「すばらしい」といった言葉を使って説明する傾向は男性よりも21%低かったとのこと。さらに、男性の論文著者は女性の論文著者に比べて「新しい」という言葉の使用頻度が60%高く、「ユニークな」の使用頻度は44%高く、「将来有望な」の使用頻度は72%も高かったとのこと。このことから研究チームは、男性研究者は女性研究者よりも「自分の研究内容を論文内で自画自賛的に誇示している傾向が強い」と論じています。

by Amplitude Magazin

ラーヘンミュラー氏は今回の調査結果を受けて、「女性の研究者は、自分たちの研究をもっと誇大宣伝するべきではないかと思います」とコメントし、単語の使用頻度の差が、科学の世界で見られるジェンダー格差を生む要因の1つである可能性を示唆しています。ただし、ラーヘンミュラー氏は同時に「この研究では、なぜ男女間で単語の使用頻度に違いが生じるのかが特定できません」と述べ、今後の研究課題としたいと語りました。

カンザス大学の経済学者であるドナ・ギンサー氏も「男女差と論文での単語の使用頻度に因果関係があるかどうかを確かめるには、もっとたくさんの女性を対象にしっかりと調査を行う必要があります」と指摘し、「根本的な問題は、男女間での言葉の選択の違いが生まれついてのもののものなのか、それとも成長プロセスや文化の影響を受けてのものなのかということです」と述べました。

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in サイエンス, Posted by log1i_yk

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