サイエンス

大量虐殺と大規模な環境破壊「エコサイド」を同レベルの国際犯罪とみなすべきという主張

By den-belitsky

南太平洋に位置する島国、バヌアツ共和国は、広範囲にわたる長期的な環境破壊行為「エコサイド」を、集団虐殺と同等の国際犯罪と見なすよう国際刑事裁判所に求めていると、フリーランスのジャーナリストであるイザベラ・カミンスキー氏がまとめています。

Vulnerable nations call for ecocide to be considered an international crime
https://www.climateliabilitynews.org/2019/12/06/ecocide-international-criminal-court-vanuatu/

2019年12月3日(火)に開催された国際刑事裁判所の会議で、バヌアツ共和国のジョン・リヒト大使は「エコサイドに相当する行為を国際犯罪とすべきだ」として、国際刑事裁判所ローマ規程の改正を検討すべきであると主張しました。

記事作成時点では、国際刑事裁判所ローマ規程の対象となっている犯罪は、集団虐殺・人道に対する罪戦争犯罪侵略犯罪の4つです。バヌアツ共和国が主張するエコサイドを追加するには、国際刑事裁判所ローマ規程を改正する必要があります。国際刑事裁判所の権限は、記事作成時点で122の加盟国に適用されます。

海面上昇による被害が大きな問題となっているバヌアツ共和国は、国際フォーラムで長年にわたって気候正義を主張しており、2015年にサイクロン・パムによる被害を受けたことから、より強く気候正義を訴えるようになりました。

By United Nations Development Programme

エコサイドに取り組む「ストップエコサイド」を正式に表明した国はバヌアツ共和国が初ですが、バヌアツに続きモルディブ共和国も取り組みを表明しています。モルディブ議会のメンバーであり、気候変動・環境に関する常任委員会の議長であるアーメド・サレム氏は、声明の中で「エコサイドについて、変革をもたらすための多国間レベルでの具体的な行動はほとんどありません。気候変動による被害が国際刑事司法制度の一部として認識されるべき時が来たのです」と述べています。

国際刑事裁判所ローマ規程を変更するには、国際刑事裁判所の締約国である国家元首が正式な改正案を提出し、加盟国の3分の2以上から承認を得る必要があるとのこと。

By Rawpixel

バヌアツ共和国による声明は、2017年に英国の弁護士ポリー・ヒギンズ氏によって設立されたNGO団体、ストップエコサイドが行ってきた活動の成果であるとカミンスキー氏は述べています。

エコサイドの思想は約50年前からあり、国際刑事裁判所ローマ規程の初期草案でも検討されていましたが、アメリカやイギリスなどの反発により却下されました。


再びエコサイドが国際刑事裁判所ローマ規程に検討されることについて、ストップエコサイドのであるジョジョ・メタ氏は「早ければ2020年には正式な修正案が提出されるだろう」と述べています。「これは時が来ただけでなく、長い間待ち望まれていたアイデアです。バヌアツ共和国は、エコサイドの検討を呼びかけることを我々に約束しました。各国は気候変動による被害を認識し、政治は変化しています。私たちがしていることは、非常に重要な法的必然性を加速させることです」とメタ氏は語っています。

第266代ローマ教皇を務めるフランシスコ教皇もまた、エコサイドを犯罪にするという考えを支持しており、2019年11月にカトリック教会の教えに「自然環境に対する罪」を加えることを提案しています。

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in サイエンス, Posted by log1m_mn

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