レビュー

美麗なイラストで描かれた妖精たちを救出して失われた物語を取り返すカードゲーム「Margot」プレイレビュー


かつて畏怖や敬愛の対象だった、さまざまな能力を持つ美しい妖精を救いながら、魔女と人間の王に奪われた物語を取り戻しより多くの勝利点をあげることを目指すゲーム「Margot」が登場しました。妖精はそれぞれ異なる能力を持っていて、救出する妖精の組みあわせによってゲームの戦略や展開が毎回大きく変わっていき、ゲーム終了時にはプレイヤーごとに異なる結末が訪れるのが特徴ということで、実際にプレイしてみるとどんな感じなのか、編集部で遊んで確かめてみました。

Margot | Domina Games
https://www.dominagames.com/margot

「Margot」の箱はこんな感じで、ファンタジー感あふれる妖精のイラストが描かれています。


プレイ人数は1~4人、プレイ想定時間は15~60分、対象年齢は8歳以上となっています。


箱を開けると数字が書かれたボード、4色のポーン、デッキのカードリスト、説明書、そして4種類のデッキが入っていました。


「Margot」の世界では、畏怖と敬愛を集める妖精を疎ましく思った魔女と人間の王が、妖精の存在を記した「物語」や妖精そのものを奪って、妖精の存在を無かったことにしようとしてしまいます。奪われた妖精や物語を取り返し、妖精の存在を永遠に伝えていくため、残された妖精が魔女や人間の城を探索します。


妖精について記された「物語」のカードがこちら。これらのカードを目当てに城の中を探索するというのが基本的なゲームの流れ。妖精を救出したり、勝利点を得るためには「物語」のカードが必要になります。


城の中には妖精の敵である「兵士」のカードや「魔道師」のカードが入っており、書かれた数だけプレイヤーに傷を与えてくるので探索する際には注意が必要。傷の合計が5を超えてしまうとペナルティがあります。


人間の城」と「魔女の城」の2種類の「城」デッキがあり、同時に探索を進めることが可能。「人間の城」と「魔女の城」では微妙にカードの構成が異なります。


こちらが救出する「妖精」のカードで、救出すると赤枠部分の数字だけ勝利点がもらえます。救出した後はプレイヤーを助けてくれる存在となります。それぞれの妖精は異なる能力を持っているので、能力をうまく組み合わせることがゲーム攻略の鍵となってきます。


妖精の中には一定条件を満たすと自らが「物語」カードに変化できる「創造」という能力を持っていたり......


使用すると傷を負ってしまう代わりに強力な効果を発揮できる「禁術」という能力をもつものもいます。


妖精を救出するためには、「妖精」カードの名称横に並んでいる色と同じ「物語」カードを集める必要があります。以下の「チェスの妖精」の場合、赤・青・グレー(任意の色)の物語カードが必要となるわけです。


おおよそのカードを把握したところで、まずは1人でプレイしてみます。最初のデッキ配置はこんな感じで、右側に2種類の「城」デッキを配置。カードリストの位置関係に合わせ、「人間の城」を奥側に、「魔女の城」を手前に配置します。中央は「城」デッキから探索して引いたカードを置く「」と呼ばれるスペースになります。


「城」デッキの右隣は「」と呼ばれ、ここに配置されたカードは存在しないものとして扱われます。


左側には伏せた状態で「妖精」デッキのカードを置き、その下に表向きで「花の妖精」カードを配置。「花の妖精」カードはどんな色の「物語」カードでも救出できるというもので、通常の「妖精」カードとは区別されることとなります。


数字が書かれたボードとポーンは勝利点を記録するためのもので、勝利点の数が書かれた場所にポーンを置きます。選んだポーンの色によって、エンディングが異なります。


まずは「妖精」デッキからカードを2枚引きます。


2枚のうち自分の好きな方の妖精を選び、自分の手札として置いておきます。選ばなかった妖精はゲームでは使用しません。


選んだ妖精には勝利点が書かれているので、ポーンを勝利点ボードに置きます。


次に「妖精」デッキから3枚カードを引き、デッキのそばに表向きにします。これらのカードは「サプライ」と呼ばれ、この3枚の妖精に加え「花の妖精」カードが救出可能な妖精になります。


ここまで準備できたら、さっそくゲームに移っていきます。「城」デッキのカードを探索していく「探索フェイズ」で、好きなほうの「城」デッキからカードを引いていきます。


1枚目は運よく「物語」カードを引くことができました。


「城」デッキから引いたカードは以下のように場に並べてきます。上下の城デッキのどちらから引いたカードかわかるように、並べる必要あり。「城」デッキから4枚引いたところで、「場」に「兵士」のカードが2枚となり、傷が2の状態になりました。


ここで自分が選んだ「造花の妖精」の効果が発動。「造花の妖精」の効果は「自動」なので、条件を満たせば手番中は自動で発動しつづけます。


効果の内容は「場に配置するカードがその城内で2枚目以降の傷1のカードなら、配置する前にそのカードを無効化してもよい」というもの。


先ほど引いた「兵士」のカードを中央にずらして無効化します。無効化すると傷としてカウントされなくなるので、自分がくらった傷は1の状態です。


「城」デッキから探索してもう一枚カードを引くと、運悪く「魔導師」のカードを引いてしまいました。傷の合計が5になるとペナルティを受けるので、なんとかしたいところ。


ここで「休憩」を取ることにします。「休憩」は手番中一度だけ行え、場にある傷カードを好きな数だけ無効することができます。無効化する場合は以下のように兵士や魔導師のカードを上下にずらせばOKです。傷がゼロになったので、デッキからカードを引いてどんどん探索していきます。


何度か探索を重ね、青の「物語」カードが3枚、赤と紫の「物語」カードがそれぞれ1枚と、「物語」カードが十分集まったので、「救出フェイズ」へ移行します。


「救出フェイズ」では、自分が探索して見つけた「物語」カードを無効化して、妖精を必ず1体救出する必要があります。なお、1度に救出できる妖精の数は1体のみ。


今回は赤、青、あとは任意の色の「物語」カードが必要な「チェスの妖精」を救出し、勝利点2を獲得。


妖精の救出に使わなかったカードは、2枚につき勝利点が1もらえます。


今回の手番では、「チェスの妖精」を救出して勝利点を2、「物語」カードが2枚使用していない状態で残っていたので勝利点を1、合計で勝利点を3獲得しました。最初に獲得していた勝利点2と合わせて、これまで獲得した勝利点は5になりました。


手番が終了すると、傷のカウント、場や幻の状態は全てリセットされます。次の手番を始めるために「城」のカードを場や幻からデッキに戻し、シャッフルします。


サプライから妖精を1枚救出したので、「妖精」デッキから新たに1枚補充します。


2回目の手番では、「物語」カードのあとに「騎士」カードと遭遇。


ここで先ほど救出した「チェスの妖精」の効果を発動します。「チェスの妖精」の効果は「起動」なので、一度使用すると手番中は無効化されて使えません。「場の物語を1枚選んで無効化するか、に置く。その後、場のカードを1枚選んで無効化するか、幻に置く」能力を発動して......


「物語」カードを「幻」に置いたあと、「騎士」も「幻」として脇に置きます。これで2枚のカードはこの手番中は存在しないものとして扱われます。


気を取り直して探索しようと思っていたら、あっという間に傷が5に達してしまいました。


傷が5以上になると、「場に有効な物語があれば1枚を無効」「(複数人プレイの場合)自分以外のプレイヤーは勝利点1を獲得」「救出フェイズへ進む」というペナルティを受けなければなりませんが、今回の場合は妖精を救出しようにも有効な「物語」カードがありません。その場合は「花の妖精」を救出します。「花の妖精」は「物語」カードを全て無効化するか、「物語」カードがない場合でも救出できる特殊なカードなので、「妖精が救出できない......」という事態にはなりません。


こんな感じで、「物語」カードを集めつつも傷が5以上にならないように、救出した妖精の効果も使いながら城を探索していくというプレイを繰り返していきます。


手番を繰り返し、救出した妖精が増えてくると、妖精の効果を組み合わせてコンボを作ることも可能になってきます。「花の妖精」と「造花の妖精」の効果を組み合わせて「兵士」のカードを3枚無効化した後......


救出した「インクの妖精」の効果を発動。「インクの妖精」の効果は「創造」で、場に無効化しているカードが3枚以上ある場合は、自分の手元から「インクの妖精」を場に移動して「物語」カードとして使用できます。


「インクの妖精」を場に出して「物語」カードを創造。創造に使用した「妖精」カードは手番終了時に手札に戻ってきます。


そして「本の妖精」の効果を使って無効化している兵士を全て「幻」に移動させます。「幻」に3枚以上カードがあると勝利点を1獲得できるということで、この時点で「幻」にカードが3枚あるので、勝利点1をゲット。


ただし、「本の妖精」の効果は「禁術」なので、使用すると自分の傷が1増えてしまいます。


こうして自分の妖精の枚数が6枚になるまで手番を繰り返し、最終的な勝利点に合わせて異なるエンディングを迎えます。


今回は緑のポーンを選んだので、緑のカードリストの裏側にあるエンディングを見ます。勝利点を14獲得したので「妖精たちは寄り添いあい、慰め合う。いつか希望を取り戻す日を夢に見て」というエンディングに到達しました。選ぶ色や勝利点によってエンディングが異なります。


一人でプレイすると、「カードの全てを知り尽くしてひたすら熟慮する玄人むけのゲーム」という印象でしたが、プレイ人数が多いとどうなるか気になったので、実際に編集部員4人で遊んでみることに。ルールやゲームの進行は1人の時と全く変わりません。


編集部員の一人はいきなり強力な敵カードである「魔導師」を引いて休憩したものの、その後も立て続けに敵を引いてしまいました。他の編集部員からは「先に悪いカードを出し尽くしたと考えよう」「そんなに敵ばっかり引くわけがない!」と声があがり、無謀にも城を探索した結果......


「愚弄の魔女」のカードを引いてしまい傷が6になってしまいました。


別の編集部員は「造花の妖精」の効果で「兵士」のカードを無効化しまくり得意げな様子でしたが、「不屈の王」という「兵士」を有効化する特殊な敵カードに遭遇してしまい、一瞬で傷が上限に到達してしまうという悲しい結果に。


中には救出する妖精の組みあわせを考え、うまくコンボを作る編集部員も。手番の最初に「羅針盤の妖精」の効果を発動し、「城」デッキの上から2枚のカードを無効化して場に置いた後......


「扉の妖精」の効果を使い、先ほど無効化した「物語」カードを有効化します。さらに「扉の妖精」自身も創造で「物語」カードに変化。一瞬で「物語」カードを2枚出現させる好プレーに「そういうコンボもあるのか......」と一同うなってしまいました。


「妖精」カードをタイミングよく使って、城を探索しきってしまう寸前まで到達した編集部員も出てきました。


複数人で「Margot」をプレイしてみたところ、ゲーム上での相手プレイヤーとの関わりはペナルティ時の勝利点だけなので、複数人でもギスギスせず「物語カードキター!」などと、みんなで一緒に盛り上がれる印象。傷が5以上になってペナルティの勝利点が相手に入るのを恐れ、「ここでやめておこう」と一人の時とは違う戦略を取ることも。数回手番を繰り返すだけでルールも簡単に覚えられるので、ワイワイとボードゲームを楽しみたい初心者に非常に向いていると感じました。

序盤は自分の味方となる妖精が少ないので取れる行動も限られますが、救出した妖精が増えていく後半になるにつれて取れる戦略の幅がどんどん広がっていくのが醍醐味。妖精がもつ効果の相性も考えつつ、場にあるカードとカードリストを照らし合わせながら「城」デッキの残りカードを分析し、探索を繰り返すスリルをプレイヤー全員が一緒に楽しめるゲームになっています。


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in レビュー,   ゲーム, Posted by darkhorse_log

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