乗り物

ボーイング777Xの最終負荷試験でドアが吹き飛び胴体に大きな亀裂が入っていたことが判明、ただし設計に大きな影響はナシ

by boeing

アメリカのボーイングが開発中の旅客機であるボーイング777Xは、2019年9月に行われた負荷試験中に「機体の貨物ドアが吹き飛んだ」と発表されました。ところが、シアトル・タイムズが新たに入手した情報によると、実際にはドアが吹き飛んだだけでなく、「機体の胴体に大きな亀裂が入っていた」ことが明らかとなりました。

Boeing 777X’s fuselage split dramatically during September stress test | The Seattle Times
https://www.seattletimes.com/business/boeing-aerospace/boeing-777xs-fuselage-split-dramatically-during-september-stress-test/

ボーイング777Xは2020年の運用開始が予定されていますが、2019年9月に行われた最終荷重試験の最中に、機体の貨物ドアが外側に吹き飛ぶという事態が発生。しかし、商業運航で想定されるよりはるかに高い負荷をかける試験の終盤ということもあり、「機器設計や試験プログラムのスケジュール全体に大きな影響はない」として、納期の見直しは検討されていないと報じられていました。

777X貨物ドア破損、後部胴体減圧で発生 20年初飛行・納入堅持


ところが、2019年11月27日のシアトル・タイムズによる報道から、試験中に発生した機体の被害は実際の報告よりも大きいことが判明しています。以下の画像は、シアトル・タイムズが公開した機体の損壊状況を示す写真であり、翼のすぐ後ろの胴体に大きな亀裂が入っていることがわかります。当初報じられていた「機体のドアが吹き飛んだ」という事態は、最初に胴体で発生した亀裂の二次的被害に過ぎなかったとシアトル・タイムズは述べました。


今回行われたテストはボーイング777Xの最終荷重試験であり、ボーイングや連邦航空局(FAA)の関係者が制御室で見守っている中で行われました。テストでは、通常の飛行ではまず発生しない「限界荷重」といわれる荷重の、さらに1.5倍の荷重を機体にかけ、少なくとも3秒間保持すれば合格となる予定でした。

ボーイングではテストの要件通り翼や胴体に負荷をかけた上で、さらに要件外のテストとして機体内部の加圧も行ったそうです。その結果、限界荷重の1.48倍、つまりテスト合格となる荷重の99%に相当する負荷がかけられた時点で、胴体中央部で機体が裂けてしまった模様。そして、加圧された機体内部が一気に減圧されたことによって爆発的な衝撃が発生し、結果として貨物ドアが吹き飛ばされる事態となったとのこと。


シアトル・タイムズは、今回の失敗はFAAの要件を満たすまであと1%の時点で発生したものである点について、「ボーイングにとって比較的いいニュースです」と指摘。問題が発生したキール(竜骨)周辺の部位を強化し、コンピューターモデル上で機体が強化されたことを証明すれば、再テストなしでボーイング777Xは試験を通過できる見込みだそうです。

FAAのエンジニアはシアトル・タイムズに対し、ボーイングは今回のテストで大量のデータを収集しており、コンピューターモデルを使用して今回発生した障害を正確に分析可能だと主張しています。「いいニュースは、彼らが問題点を発見して対処できることです。ボーイングは修正可能な問題を見つけ、分析に基づいて構造を強化できます」と、FAAのエンジニアは語りました。

by boeing

ボーイングに対してシアトル・タイムズがコメントを求めたところ、これまでの調査の詳細について語られることはなかったものの、11月26日時点での調査結果は、「今回の事態がボーイング777Xの設計や準備に大きな影響を与えない」という以前の評価を補強するものだったとのこと。広報担当者のPaul Bergman氏は、ボーイング777Xが2020年初頭に初飛行し、2021年には各航空会社のもとに届けられる予定に変化はないと述べました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
ボーイング 737 MAX墜落事故の原因は安全性向上より納期・コストを重視する社風にあるという内部告発 - GIGAZINE

ボーイング737 MAXに搭載されたシステムの経緯と問題点 - GIGAZINE

4カ月で2件の墜落事故を起こしたボーイング737 MAX 8のシステム操作がパイロットに周知されていなかった可能性 - GIGAZINE

2度の墜落事故が起きたボーイング737 MAX 8についてパイロットから苦情が寄せられていたことが判明 - GIGAZINE

「ボーイング737 MAX 8」のパイロットはiPadで訓練を受けただけだったと判明、「これはソフトウェアのエラーではない」という指摘も - GIGAZINE

ボーイング737 MAX墜落の原因はたどるとエアバスA320neoの登場にあったという指摘 - GIGAZINE

ボーイング787から「弾丸のように」金属片が降り注ぐ事故が発生 - GIGAZINE

欠陥機疑惑のボーイング737MAXが駐車場にぎっしり並ぶ事態に - GIGAZINE

in 乗り物, Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article here.