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ゲーム史に残る傑作FPS「DOOM」生みの親が語る「最近のFPSの問題点」とは?


1993年にid Softwareが発売した「DOOM」は、そのゲームシステムとグロテスクな世界観で、当時まだ知名度の低かったゲームジャンルであるファーストパーソン・シューティングゲーム(FPS)を世に知らしめたゲームです。そんなDOOMの生みの親であるジョン・ロメロ氏が、イギリスの大手紙ガーディアンに対して、「最近のFPSの問題点」について語っています。

Doom creator John Romero on what's wrong with modern shooter games | Games | The Guardian
https://www.theguardian.com/games/2019/nov/12/doom-creator-john-romero-shooter-games-id-software

最近のFPSについて、ロメロ氏が挙げた1つ目の問題点が「武器が多すぎる」ということ。ロメロ氏は、近年のFPSはロールプレイングゲームに似てきたと指摘し、入手できる武器の多さが問題を引き起こしていると語っています。ロメロ氏いわく、入手できる武器が増え続けた結果、プレイヤーは戦闘よりもメニュー画面を開いて「武器の能力を比較する」ことに時間を費やすようになったとのこと。次から次へと新武器が手に入るようなゲームデザインになった結果、「プレイヤーは武器をほとんど使い捨てるような状況に陥ってしまっている」というのがロメロ氏の指摘です。

ロメロ氏は自身が制作に携わった初代DOOMについて、「新しい武器が手に入った場合でも、所持している武器の上位互換にならないようなゲームデザインになっている」と説明します。その好例がDOOMにおけるピストルとチェーンガンという2つの武器。チェーンガンは近距離での威力において優れていますが、弾薬消費量と長距離での精度においてピストルに劣ります。一方でピストルは威力において劣っていますが、弾薬消費量と長距離の精度においてチェーンガンよりも優れた性能を有しています。以上のように、チェーンガンを入手したとしても、すでに所持しているピストルを使う意味がなくならないようなデザインを心がけたとロメロ氏は語っています。


ロメロ氏の指摘する最近のFPSの問題点その2は、「隠し要素がなくなった」ということ。DOOMはマップ上にさまざまな武器や部屋が隠されていて、ステージを攻略する際のそれらを発見・探索ができるというお楽しみ要素が存在します。

DOOM 2には長い間「達成不可能」と考えられていた隠し要素も存在。この隠し要素は、発売から24年後に達成者が現れて話題になりました。

24年間達成不可能とされていた「DOOM 2」のシークレットを自力で達成する猛者が登場 - GIGAZINE


各メーカーがゲームに隠し要素を仕込まなくなった理由について、理由について、ロメロ氏は「制作費の増大」と語っています。一例として、2019年のコール オブ デューティ モダン・ウォーフェアは数千万ドル(数十億円)の制作費が投じられています。ロメロ氏はそれだけお金が掛かっている制作現場では「必要な要素以外は追加できない」雰囲気になってしまうと語っています。

また、隠し要素を仕込まなくなったもう1つの理由として、ゲーム制作自体が近年複雑になってきたとのこと。ロメロ氏は、「1993年に発売された初代DOOMの制作中には1分以内に隠し要素を追加することが可能だったが、1996年に発売されたQuakeの制作中には隠し要素を1つ追加するにも、床、壁、天井を配置してから照明を追加して、照明が部屋の隅々までを照らしているかを確認する必要があり、とても1分以内で隠し要素を追加することは不可能だった」とコメント。現代のFPSは1996年発売のQuakeよりも制作工程がさらに複雑になったため、隠し要素はなくなったというのがロメロ氏の推測です。


ロメロ氏は暴力表現などについてもコメントしています。近年のFPSは写実主義的になってきており、それゆえに「暴力的だ」として批判が高まっています。初代DOOMも「グロテスクなゲーム」として有名ですが、そのカートゥーンスタイルゆえに、今日のコール オブ デューティが言われているような「歴史修正主義」などの批判までには至りませんでした。アメリカ国内で社会問題となっている銃乱射事件の問題を挙げて、ロメロ氏は近年のFPSについて「最も物議を醸すジャンル」と述べています。

また、ロメロ氏は初代DOOMの非公式拡張「SIGIL」を2019年5月31日にリリースしました。ロメロ氏はSIGILについて、「初代DOOMの制作時点では思い浮かばなかったアイデアを多数実装した」とコメント。ガーディアンによると、SIGILは今回ロメロ氏が主張したような90年代FPSの長所が盛りだくさんの拡張になっています。

SI6IL — Romero Games
https://www.romerogames.ie/si6il

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in ゲーム, Posted by darkhorse_log

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