取材

「3人体制で2週間はかかるCGアニメが1人で1日半でできた」というVR技術の最先端の話題が飛び出た「東京クロノス」クリエイターズトーク


2019年8月にPSVR版が発売されたADVゲーム「東京クロノス」の柏倉晴樹監督や、総合プロデューサーの岸上健人さんが登場した「次世代VRアニメ制作裏話&新PROJECT構想クリエイターズトーク」がマチ★アソビ vol.23で開催されました。

東京クロノス VRミステリーアドベンチャーゲーム
https://tokyochronos.com/index.html


「次世代VRアニメ制作裏話&新PROJECT構想クリエイターズトーク」は当初ufotable CINEMAで開催される予定でしたが、台風による日程変更の影響であわぎんホールの2F特別展示室での開催となりました。トークを繰り広げるのは、左から東京クロノスの総合プロデューサーの岸上健人さん、監督の柏倉晴樹さん、宣伝プロデューサーの千田翔太郎さんです。


東京クロノスは、VR空間で繰り広げられるミステリーを題材にしたアドベンチャーゲームです。VRゲームの中にはVRという特徴を前面に出すため、迫力のある演出や動きがめまぐるしく展開される代わりにプレイ時間は短めという作品が多い中、東京クロノスは重厚なストーリーをじっくり楽しむことが可能な長編のビジュアルノベルになっています。


トークではまず、東京クロノスの監督を務めた柏倉晴樹さんが作ったアニメーション作品が披露されました。以下から同じムービーを見ることができます。


この映像は、柏倉さんがVRデバイス「Oculus Rift」と、VRアニメ制作ツール「AniCast Maker」を主に使って作成したもの。


ゲームにUnreal EngineUnityなどのゲームエンジンがあるように、アニメにもアニメエンジンが必要だと語る柏倉さんが「スゴイ」と絶賛するのが、AniCast Makerです。AniCast Makerを使うと、自分の動きをそのままキャラクターのモーションに反映させたり、自由自在にカメラワークを作ったりできるのだそう。そのため、従来なら3人体制で2週間ほどかかるアニメーション映像を、柏倉さん1人だけで1日半で作ってしまうことができたとのことです。


柏倉さんがアニメ作りにも携わっていたということで、流れはアニメ制作現場をリアルに描写したテレビアニメ「SHIROBAKO」の話題に。柏倉さんが、現実のアニメ制作現場は「主人公の宮森あおいが存在しないSHIROBAKO」と暴露すると、会場は爆笑の渦に巻き込まれました。一方で、「それじゃまるで地獄じゃないですか」との突っ込みには、だからこそアニメ作りを変えていこうと考えたと柏倉さんは語っています。


柏倉さんは、AniCast Makerの登場でやっと理想的なアニメ作りができるようになったとのことで、今後は短いプロモーションビデオではなく、複数のキャラクターが新たなストーリーを織り成す長編のアニメーション作品を作っていくとの考えだとのことです。

続いて、観客からクリエイターたちへの質問コーナーに突入。客席からは「キャラクターの声を吹き込む声優さんにモーションも担当してもらうということはありますか?」との質問が出ました。岸上さんによると、小説「狼と香辛料」の作者・支倉凍砂さんが個人サークル「Spicy Tails」にて製作したVRコンテンツ「Project LUX」では、主人公・ルクスの声をあてた田中あいみさんがモーションも担当していたとのこと。クリエイター側が意図したモーションがうまく伝わるかといった課題はあるものの、十分考えられるとのことでした。

支倉凍砂さんの「Project LUX」については、以下の記事を読むとよく分かります。

世界初のVR長編アニメ「Project LUX」の生みの親、「狼と香辛料」の支倉凍砂トークショー


また別の観客からは、「東京クロノスをプレイするにあたってオススメのハードウェアは?」という質問もありました。東京クロノスはOculus RiftOculus GoOculus QuestHTC vivePlayStation VRに対応していますが、中でも岸上さんがオススメだというのがOculus Questです。Oculus Questは単体で動作し、PCに接続したり別途ハードウェアを用意したりする必要がないため、東京クロノスをプレイする上ではうってつけだとのこと。Oculus Goも単体で使用可能ですが、機能なども含めた総合的なパフォーマンスも考えると、Oculus Questの方がオススメだということでした。


一方、PlayStation VRはPlayStation 4本体に接続する必要があるものの、コンテンツが豊富にあるのが強み。そのため、今からVRを始めるならOculus QuestかPlayStation VRのどちらかがいいのではないかと岸上さんは話していました。

さらに、客席からは自らも個人でVRゲームを作成しているクリエイターであるというファンから「VR酔いを防ぐにはどうすればいいですか?」との質問も。これについて柏倉さんは「オブジェクトが近くに迫ってくると、迫力はある一方で酔いやすくなる」とアドバイス。実際に、じっくり遊ぶことを念頭に置いて作られた東京クロノスでは、できるだけキャラクターを後方に配置して、遠くを眺めるようにしてプレイできるよう工夫しているということでした。


また、岸上さんによると「脳が見ている映像と身体の動きが違うと酔ってしまう」とのこと。このため、例えば「しゃがむとキャラクターが速く動く」という具合に、自分の体の動きが視界の動きにどうつながるかを脳に認識させるような仕組みを設けると、VR酔いが防ぎやすいとのことでした。

さらに、岸上さんは東京クロノスの次の作品となる新プロジェクト「Project MEGALiTH」にも言及。岸上さんによると、Project MEGALiTHには「日本のVR作品といえば東京クロノス」というほど世界からも注目が集まっている東京クロノスを、さらに全世界に向けて発信していきたいという構想の下で開発がスタートしたとのこと。


そんな岸上さんが、「誰もが予想しているものをはるかに超えていく作品になるので、期待していてほしい」と話すProject MEGALiTHも含めて、今後もさらなる進化を続けていく「東京クロノス」から目が離せません。

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in 取材,   アニメ,   ゲーム, Posted by log1l_ks

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