サイエンス

皮膚や包帯などの上に電気回路をプリントする技術が開発される

By Duke Pratt School of Engineering

アメリカ・デューク大学のアーロン・D・フランクリン氏率いる研究チームが、紙や人間の皮膚などの扱いに繊細さが要求されるような面に対して電気回路をプリントする技術に関する一連の研究を発表しました。この技術は密着性の高い電子タトゥーや患者ごとに最適化されたバイオセンサーを包帯に埋め込む技術を改良すると期待されています。

Flexible, Print-in-Place 1D–2D Thin-Film Transistors Using Aerosol Jet Printing | ACS Nano
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsnano.9b04337

Silver nanowire inks for direct-write electronic tattoo applications - Nanoscale (RSC Publishing)
https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2019/NR/C9NR03378E

Printed Electronics Open Way for Electrified Tattoos and Personalized Biosensors | Duke Pratt School of Engineering
https://pratt.duke.edu/about/news/print-in-place-electronics

フランクリン氏が率いる2つの研究チームは、「プリンテッド・エレクトロニクス」の新技術に関してそれぞれ2つの論文を発表しました。プリンテッド・エレクトロニクスとは、基板上に半導体や回路などを印刷する技術ですが、フランクリン氏によると、「『プリンテッド・エレクトロニクス』と言われると、材料と設計図をプリンターに装てんするだけで、完全に機能する電気回路を印刷してくれると考えてしまいます。しかし、これまでに発表された研究では、何度も取り外して焼き入れたり、洗浄したり、スピンコートによって薄膜を生成する必要があり、一般に想像されるようなイメージとはギャップがありました」とのこと。

1つ目の論文は、プリンテッド・エレクトロニクスに使われる「インク」を新開発したというもの。この新型インクは銀ナノワイヤを含んでおり、追加処理を要することなく導電性を発揮し、50%の曲げひずみを1000回以上繰り返した後でも電気性能を維持し、その上塗布から2分以内で乾きます。


2つ目の論文は、新型インクと他の印刷可能なものを組み合わせて、機能するトランジスタをプリントするというもの。この技術では、まず一番底側にカーボンナノチューブでできた半導体ストリップを印刷します。半導体ストリップが乾燥後、半導体ストリップの端辺に銀ナノワイヤの導線を接続するように印刷し、半導体ストリップ上部に絶縁体層を印刷して、トランジスタと銀ナノワイヤの導線を接続してプリントします。

一連の研究をデモンストレーションするムービーが以下。ムービーの前半部分では、小指の手のひら側の皮膚上に銀ナノワイヤの導線をプリントしている様子が示されています。後半部分では銀ナノワイヤの先端にLEDを取り付けており、通電することによってLEDが点灯。さらに、指を曲げ伸ばししても通電が継続されていることが示されています。


従来までの技術では、今回のデモンストレーションのように皮膚上に回路を印刷するためには、不要な材料を洗い流すプロセスや焼き付けなどの工程が必須でした。しかし、今回の新技術では、そういった工程は不要で、さらに処理に要する温度も従来技術よりも低くて済むとのこと。フランクリン氏は、「今回、我々が発表したのは、人々が想像する『プリンテッド・エレクトロニクス』にかなう最初の技術です」「看護師が患者に適したバイオセンサーをその場で包帯にプリントするということを考えてください。この技術は、その未来に一歩近づくためのものです」と述べています。

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in サイエンス, Posted by log1k_iy

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