サイエンス

環境汚染とガンの関係を研究で露呈した科学者が有罪判決を受ける

by shotsstudio

トルコの食品エンジニアであり人権活動家のBülent Şık氏が、環境汚染とガンの関係について調査した研究結果を発表したところ、「機密事項を公開した」として懲役15カ月の有罪判決を言い渡されたことが判明しました。

Turkish scientist gets 15-month sentence for publishing environmental study | Science | AAAS
https://www.sciencemag.org/news/2019/09/turkish-scientist-gets-15-month-sentence-publishing-environmental-study

トルコのアクデニズ大学にある食品安全農業研究センターでディレクターを務めていたŞık氏は、トルコ保健省から、土壌や水・食品に含まれる毒とトルコ西部で多発するガンの間に関係があるのかを調べるよう、依頼を受けました。5年にわたる調査により、Şık氏とその研究チームは、西トルコで採取された食品や水のサンプルから、高いレベルの農薬・重金属・多環芳香族炭化水素を検出。また複数の場所で採取された水は、飲料水としては危険なレベルで鉛やアルミニウム・クロム・ヒ素に汚染されていたことがわかりました。

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2015年、Şık氏は政府関係者とのミーティングで、この研究結果を発表し、すぐさま対処することを求めました。しかし、その後3年たっても政府が行動を起こさなかったことから、Şık氏は研究結果をトルコの日刊紙「Cumhuriyet」で発表することを決意したとのこと。Şık氏の兄弟はCumhuriyetの元調査ジャーナリストであり、政府への抗議活動を行っていた人物でした。

そして2018年4月からCumhuriyetで計4回のシリーズとして研究結果を発表したことで、Şık氏は懲役15カ月を言い渡されることになります。Şık氏の弁護士であるCan Atalay氏は「Bülent Şık氏は、国民として、そして科学者としての義務を果たし、表現の自由を行使しました」と法廷で弁護しましたが、Şık氏は「機密事項を公開した」として有罪判決を受けました。


アムネスティ・インターナショナルのMilena Buyum氏は「今回のケースで驚くべきことなのは、保健省が『Bülent Şık氏の出版物は事実ではない』と主張していないことです」と述べています。裁判で原告は「機密事項を公開した」と主張しており、これはŞık氏の発表内容が真実であり、健康に危害を及ぼす事態が存在することを認めているととれます。

トルコの法律のもと、Şık氏は反省を示せば禁錮刑を避け執行猶予をつけることが可能ですが、これを拒否しているとのこと。「研究によって得られたデータを隠せば、問題解決のための議論を持つことはできません。私の記事は、ずっと隠されてきた公衆衛生についての研究を、一般の人々に知ってもらうことを目的としていました。これにより、国家機関には問題解決のための行動を取ってもらいたいと考えています」とŞık氏は述べています。

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なお、2016年に起こったトルコクーデター未遂事件を受け、トルコのエルドアン大統領は自身の支持者でないとみられる教師・大学教授・メディア関係者の粛正を行いました。トルコ軍とクルド過激派の和平を求める嘆願書に署名したŞık氏も例にもれず、食品安全農業研究センターを停職となっていますが、記事作成時点では身柄の拘束を免れているとのことです。

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in サイエンス, Posted by logq_fa

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