Huaweiに企業秘密を横流しした疑いで中国のコンピューター科学者が刑事告発される
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アメリカ連邦検察は中国出身のコンピューター科学者を、カリフォルニアのスタートアップから企業秘密の技術を盗み、中国の通信機器メーカーであるHuaweiに横流ししたとして、「通信詐欺」の容疑で起訴しました。科学者は容疑を否認し、無罪を主張しています。
U.S. charges Chinese professor in latest shot at Huawei - Reuters
https://www.reuters.com/article/us-huawei-tech-usa/u-s-charges-chinese-professor-in-latest-shot-at-huawei-idUSKCN1VU0J5
Chinese professor stole hard drive secrets for Huawei, US government charges | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2019/09/us-criminally-charges-chinese-professor-with-stealing-secrets-for-huawei/
ロイター通信によると、通信詐欺の罪で起訴されたのは中国のコンピューター科学者であるBo Mao氏。厦門大学の准教授だったMao氏は、2018年秋からテキサス大学アーリントン校のHong Jiang教授の研究室に博士研究員として所属。Jiang教授はコンピューターシステムアーキテクチャやビッグデータ、クラウドコンピューティングの研究などを行っていて、Huaweiのアメリカ子会社であるFutureweiのデータセンターからバックアップも得ていました。
事の発端は、HuaweiがカリフォルニアのスタートアップCNEX Labとその元従業員であるYiren Haung氏に対して「企業秘密を盗難した」と2017年12月に民事訴訟を起こしたことにあります。HuaweiはFutureweiの元エンジニアリングマネージャーであるHuang氏は、同社を退職して3日後にはCNEX Labとの協力をスタートしたと主張しています。
それに対して、CNEX Lab側はこの訴えに対抗する形で、「CNEX Labが研究用に開発したSSDの制御基板を、Mao氏がHuaweiに横流しした」と主張しました。HuaweiとCNEX Labの間で行われた民事裁判では、Mao氏による基板の横流し自体は陪審員に認められたものの、裁判の流れには大きな影響を与えず、「Huang氏は雇用契約に違反していたものの、Huaweiがそれによって大きな損害を受けたとはいえない」という判決に至りました。
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しかし、2018年8月に入って、アメリカの連邦検察が突然CNEX Labの訴えを取り上げて、Mao氏を刑事告発しました。2019年8月14日にMao氏はテキサス州で逮捕され、同年8月20日にニューヨークでの事件捜査に協力することを誓った後、10万ドル(約1100万円)分の債券で保釈されたとのこと。
Mao氏は8月28日にブルックリンの地方裁判所で無罪を主張していますが、連邦捜査局(FBI)は、「Mao氏がCNEX Labのデバイスをリバースエンジニアリングしようとした時に、Mao氏とHuaweiが定期的に連絡を取り合っていたことを示す電子メールの記録を取得した」と述べています。
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Huaweiは「アメリカ政府はHuaweiの信用を失墜させ、業界のリーダーシップを抑制するために一致団結して取り組んできました。連邦検察はCNEX LabへのHuaweiの主張を無視して、CNEX Labの申立てを一方的に検討して起訴しています」と、連邦検察の偏りを強く批判するコメントを出しています。
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