2019年08月09日 15時19分食

1日に3杯以上のコーヒーを飲むと片頭痛が発生しやすくなると判明

by Alexander Dummer

片頭痛は脈打つような痛みやおう吐を伴い、時には頭が痛すぎて何も手につかないほど激しい症状になる人もいます。「カフェインの含まれた飲み物を飲むと片頭痛になる」という説を信じている人も多いことから、研究者が実際にカフェイン入り飲料と片頭痛の関係性を調査した結果、「1日1、2杯までのカフェイン入り飲料はセーフだが、3杯以上になると片頭痛のリスクが上がる」と判明しました。

Prospective Cohort Study of Caffeinated Beverage Intake as a Potential Trigger of Headaches among Migraineurs - The American Journal of Medicine
https://www.amjmed.com/article/S0002-9343(19)30210-4/fulltext

Trigger Warning: One to Two Servings of Caffeinated Beverages Not Associated with Higher Risk of Migraine Headaches but Three or More May Trigger Migraines | BIDMC of Boston
https://www.bidmc.org/about-bidmc/news/2019/08/one-to-two-servings-of-caffeinated-beverages-not-associated-with-higher-risk-of-migraine-headaches

片頭痛に苦しむ人々は世界中に10億人以上も存在し、世界で3番目に多い病気とされています。一体何が片頭痛を引き起こすのかという点は多くの人々が注目するところで、天候や睡眠障害、ホルモンバランスの乱れ、ストレスといったさまざまな要因が片頭痛を引き起こすと報告されています。また、カフェインの摂取が片頭痛を引き起こすという説も根強く存在していますが、実際にカフェイン摂取と片頭痛の関連を調査した研究はほとんどないそうです。

ハーバード大学医学部と連携するティーチングホスピタルであるベス・イスラエル・ディーコネス・メディカル・センターのエリザベス・モストフスキー氏が率いる研究チームは、カフェイン入り飲料が片頭痛を引き起こすトリガーになるのかどうかを調査しました。

モストフスキー氏は、「睡眠不足などのいくつかのトリガーは単に片頭痛を引き起こすだけですが、カフェインの役割はそれよりも複雑です。なぜならカフェインは片頭痛を誘発すると疑われているだけでなく、片頭痛の痛みを軽減するためにも役立つからです」と述べています。

by kaboompics

研究チームは1カ月に2回以上15回以下という「中程度の頻度」で片頭痛を発症する98人の成人を対象に、6週間にわたってカフェイン入り飲料の摂取状況と、片頭痛の発生タイミングおよびその対処といったレポートを記入してもらいました。また、参加者は薬物使用やアルコール摂取状況、うつ症状、心理的ストレス、睡眠パターン、月経周期といった片頭痛に関連のある情報も申告したとのこと。このレポートに基づき、研究チームはカフェイン入り飲料の摂取と、その当日および翌日の片頭痛発生頻度の関連を分析しました。

今回の研究では8オンス(約226g)のコーヒー、6オンス(約170g)のお茶、12オンス(約340g)のカフェイン入り炭酸飲料、2オンス(約57g)のエナジードリンクを「1杯」とカウント。カフェイン入り飲料の摂取頻度と片頭痛の発生頻度をそれぞれの参加者ごとに分析することで、個人的な条件や人口統計に左右されずにカフェインと片頭痛の関連を調べたそうです。また、研究チームは平日または休日といった曜日ごとの誤差も排除し、できるだけカフェイン入り飲料のみが片頭痛に与える影響を突き止めようとしました。

その結果、研究チームは「1日1、2杯のカフェイン入り飲料摂取は片頭痛の発生に影響を及ぼさないが、摂取頻度が『1日3杯』を超えると、当日および翌日の片頭痛発生確率が上昇すること」を発見。また、カフェイン入り飲料をほとんど摂取しない人々の間では、1日1、2杯のカフェイン入り飲料でも片頭痛を引き起こすこともあったそうです。

「今回の研究では1杯あたりのカフェイン含有量が25～150mgとバラつきがあるため、片頭痛を誘発するカフェイン摂取量を定量化することはできません」とモストフスキー氏は述べていますが、今回の結果は片頭痛とカフェイン入り飲料の関係を示した重要なものだと指摘。片頭痛患者の中にはカフェイン入り飲料を危険視する人も多い一方で、1日1、2杯程度であれば片頭痛のリスクを上昇させない点も非常に興味深いと述べています。