ハードウェア

Metaが古いサーバーのDDR4メモリを新型サーバーで再利用する独自チップ「Vistara」を発表

by Blake Patterson

Metaの研究チームが、役目を終えたサーバーから回収したDDR4メモリをDDR5対応の新型サーバーで再利用するための独自ASIC「Vistara」を発表しました。Vistaraは高速インターコネクト規格のCXLを利用し、古いDDR4メモリをサーバーの拡張メモリとして接続するチップで、Metaはメモリ容量を低コストで拡張できると説明しています。

Vistara: Making CXL Real—Full Path from ASIC Design and OS Support to Hyperscale Deployment
(PDFファイル)https://aisystemcodesign.github.io/papers/isca26/vistara_camera_ready.pdf

2026年6月27日から7月1日まで開催されたコンピューターアーキテクチャ分野の国際会議「ISCA 2026」で、MetaはVistaraに関する論文を発表しました。論文では、Vistaraを単なる試作チップではなく、ASICの設計からOSによるメモリ管理、大規模なデータセンターへの導入までを含む実用的なCXLシステムとして紹介しています。


Metaによると、同社の汎用CPUサーバー群の約44%はメモリ容量がボトルネックとなっており、性能やスケーラビリティが制限されているとのこと。一方、サーバー本体の運用寿命は3~5年程度であるのに対し、DRAMは7~10年利用できるため、サーバーの退役時にも使用可能なメモリが残るという問題がありました。

しかし、DDR4とDDR5ではメモリの規格やCPUとの接続方式が異なるため、DDR5専用の新型サーバーへ古いDDR4 DIMMをそのまま取り付けることはできません。そこでMetaは、PCIe 5.0の物理インターフェース上でCXL 2.0/1.1を利用し、DDR4メモリを新型サーバーへ拡張メモリとして接続するVistaraを独自に開発しました。

以下はVistara ASICの構成図。PCIe 5.0およびCXLに対応するサブシステムと、2系統のDDR4メモリコントローラーを備え、ホストCPUとDDR4メモリを接続します。


VistaraはCXL 2.0/1.1準拠のType-3メモリ拡張ASICで、2系統の独立した72ビットDDR4メモリチャンネルを備えています。仕様上は64GB DIMMを4枚使い、1基当たり最大256GBを接続できます。一方、実運用の「MemServer」では、32GB DIMMを4枚ずつ接続したVistaraを2基搭載し、DDR4-2400を合計256GBとしています。これをCPUに直結された768GBのDDR5-6400と組み合わせ、総容量は1TBです。

Vistaraを搭載した「MemServer」の構成図。CPUに直結された768GBのDDR5メモリに加え、2基のVistara ASICを介して256GBのDDR4メモリを接続し、合計1TBのメモリを利用します。


CXL接続のDDR4-2400は、CPUに直結されたDDR5-6400よりも帯域幅が低く、アクセスレイテンシも高いため、両者を区別せずに使用すると性能が低下する可能性があります。MetaはOS側でアクセス頻度をメモリページ単位で管理し、ホットページをDDR5へ昇格させ、コールドページをCXL接続のDDR4へ降格させることで、性能への影響を抑えています。

MemServerにおけるメモリ階層管理の仕組みはこんな感じ。OSは高速なローカルDRAMとCXL接続メモリを別々のNUMAノードとして扱い、アクセス頻度に応じてホットページとコールドページを自動的に移動させます。


Metaはレコメンドシステムの分離型ML推論、分散キャッシュ、大規模データ処理、データベースなどでVistaraベースのCXLシステムを実運用しています。レコメンドシステムのMLパラメーターサーバーでは、必要なサーバー台数を最大25%削減しました。また、分散キャッシュの特定ワークロード「CacheB」では、キャッシュ容量の拡大によって平均クエリ処理時間が29%短縮されたと報告しています。


Vistaraの狙いは、新型サーバーへ古いメモリを接続することだけではありません。Metaは、すでに所有しているDDR4メモリを再利用することで、低コストでメモリ容量のボトルネックを緩和するとともに、DRAMの利用期間を延ばして新規製造の必要量を減らし、サーバー群のカーボンフットプリントも削減できるとしています。

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in AI,   ハードウェア, Posted by log1i_yk

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