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3000件以上の反対を押し切り「.org」ドメイン登録価格の上限撤廃が決定、将来的には値上げの可能性も


ドメインデータベースの維持管理を行う非営利団体Internet Corporation for Assigned Names and Numbers(ICANN)と、.orgドメインのレジストリであるPublic Interest Registry(PIR)が、2019年6月30日付けでレジストリ契約を更新したことを発表しました。この新しい契約では「.orgドメイン登録価格の上限撤廃」が盛り込まれていて、以前から多くの反対意見が寄せられていたにも関わらず、契約更新が強行されてしまったと報じられています。

PIR Welcomes Renewed .ORG Agreement | Your Public Interest Registry
https://pir.org/pir-welcomes-renewed-org-agreement/


Staff Report of Public Comment Proceeding
(PDFファイル)https://www.icann.org/en/system/files/files/report-comments-org-renewal-03jun19-en.pdf


ICANN eliminates .org domain price caps despite lopsided opposition | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2019/07/icann-eliminates-org-domain-price-caps-despite-lopsided-opposition/


2013年に締結された契約では、PIRがドメインレジストラに請求できる登録料金は1ドメイン当たり年間9.05ドル(約980円)までという上限が設定されていました。もちろんドメインレジストラが請求する登録料金には上限はありませんが、「PIRに課せられた価格上限はレジストラによる不当な価格釣り上げを抑える働きもあった」とArs Technicaは評価しています。

しかし、2019年3月18日付けでICANNが公開した新しい契約案では、いくつかの契約内容の変更に加えて、ドメインの価格上限が撤廃されました。.orgというトップレベルドメインは多くの組織・団体・オープンソースプロジェクトなどに用いられていて、記事作成時点でおよそ1000万もの.orgドメインが登録されているとのこと。もし価格上限の撤廃によって使用料の値上げが起こると、これまで使ってきたドメインを維持できなくなる団体が出てくると予想され、その影響は決して無視できません。

by 401(K) 2012

ICANNの報告書によると、この新しい契約案には3309件の個人および組織によるパブリックコメントが寄せられたとのことで、そのうち3252件が.orgドメインの価格上限の撤廃について言及していたそうです。そして、価格上限の撤廃を支持していたのはその中でわずか6件のみで、残りはすべて反対を唱えていました。

また、上限撤廃を支持する6件のコメントのうち、2つは.comのドメインレジストリであるベリサインの関係者によるものでしたが、あとの意見は皮肉として支持を表明するものだったそうです。

割合でいうとパブリックコメントのうち98%が価格上限撤廃に異を唱えるものだったわけですが、ICANNとPIRは2019年6月30日付けで新しい契約を締結。ICANN自らパブリックコメントを募ったにも関わらず、3000件以上の反対意見はすべて無視されてしまう結果となりました。

by Marco Verch Professional Photographer and Speaker

PIRは「PIR自体が非営利団体であり、今のところ.orgドメインの価格変更について具体的な計画はないということを強調したいと思います。もし将来的に値上げが必要になった場合は、事前に公告を行います」と述べています。しかし、Ars Technicaは、価格上限の撤廃にベリサインの関係者が賛同していることから、「.comドメインレジストリであり営利企業でもあるベリサインが2024年にICANNと契約更改を行う際に、同じように価格上限を撤廃する可能性がある」と危惧しています。

・つづき
非営利団体や学校向けの「.orgドメイン」が管理団体ごと私企業に売り払われてしまったことが判明 - GIGAZINE

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in ネットサービス, Posted by log1i_yk

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