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ドメイン登録におけるレジストラ側の取り分ゼロで業界最安値が確定的なCloudflareのレジストラサービスがスタート


2010年にサービスをスタートさせたコンテンツデリバリーネットワークやインターネットセキュリティサービス、分散型ドメイン名サーバーシステムを提供する「Cloudflare」は、サービス開始当初から「レジストラはやらないの?」とユーザーから何度も問い合わせを受けてきたそうです。そんなCloudflareが、ついにレジストラとしてのサービスをスタートさせます。サービスは「信頼」「セキュリティ」「公正な価格」という3つの原則に基づいて構築されるとのことです。

Introducing Cloudflare Registrar: Domain Registration You Can Love
https://blog.cloudflare.com/cloudflare-registrar/

Cloudflareがレジストラとしてのサービスをスタートすることとなった理由は、同社の他サービスと同様に社内の問題を解決するためでした。2013年、Cloudflareはハッカーがレジストラのシステムを悪用していることを知り、一部のドメインをセキュリティ面に不安のあるレジストラ上で運用することに危機感を抱くようになります。よりセキュアなレジストラを探し始めたCloudflareですが、セキュリティの高さをうたう高額なサービスでさえ、Cloudflareの求めるセキュリティ基準を満たすものはなく、かなり危険なものであると感じたそうです。そこで、最終的にCloudflareは自分たちでレジストラを構築することを決めます。

その後、Cloudflareが自前のレジストラを運用していることに一部の顧客が気づき、多数の要望からセキュリティに配慮した顧客のためのカスタムドメイン保護を使用した企業向けレジストラサービスがスタートすることが決まります。


Cloudflareはレジストラを始めるにあたり、消費者が既存のレジストラの何を嫌っているのか調査したそうです。そこで挙げられたのが、「ドメイン登録時は割引価格が提示されるものの、その後は更新の度に継続的に価格が上がっていく」という意見が散見されたそうです。Cloudflareの調査では、登録時から最大で約2倍の更新価格を提示するようになるレジストラも存在したそうです。

なぜこのような事態に陥るのかといえば、大手レジストラが自社の利益を求め、卸売価格に大幅に手数料を上乗せしてトップレベルドメイン(TLD)を販売しているからです。


こういった問題を解決できるレジストラにCloudflare自身がなると約束しており、ユーザーには「可能な限り最高のセキュリティ」を「最良の価格」で提供するとしています。具体的には、セキュリティ面では二段階認証を有効にし、デフォルトでドメイン登録をロックし、DNSSECなどのセキュリティサービスを自動的に有効にするとのこと。

価格面については、Cloudflareレジストラでは各TLDが請求する卸売価格のままドメインを提供することを約束しています。これは登録時だけでなく、毎年の更新時でも同様です。例えば「.com」というTLDを保有する「Verisign」は、「.com」ドメインを登録するために年間7.85ドル(約890円)を請求しています。そして、ドメイン名を管理する非営利団体のICANNは、登録されているドメインすべてに一律で年間0.18ドル(約20円)の支払いを請求しています。これらを合計した8.03ドル(約910円)は、レジストラが「.com」ドメインを運用する際に必ずユーザー側に請求する金額ですが、これに加え、手数料を上乗せすることで自社の利益をあげようとします。しかし、Cloudflareのレジストラではこの手数料を一切請求せず、8.03ドルのまま「.com」ドメインの登録が可能になるとのこと。その理由について、「我々はAPIをpingしているだけなので、増分費用は存在しません。卸売価格以上の費用を払ってもらう必要がありますか?」と記しています。

CloudflareレジストラでTLDを運用すると、年間コストは以下で収まるようになります。複数のドメインを運用する企業などにとっては、固定費を大幅に削減することにつながるはずです。


ただし、実際にCloudflareレジストラで新しいドメインを登録することはできないそうで、このサービスは既存のドメインをCloudflareに転送しているCloudflareユーザー限定で提供されるものとなるとのことです。それでもCloudflareはかなりの需要があると見込んでおり、スムーズに移行できるようにCloudflareレジストラへの招待状はゆっくりと出していく予定としています。なお、CloudflareユーザーでCloudflareレジストラを利用したいという場合は、アーリーアクセスにサインアップしておけばOKです。

Cloudflareによると、すべてのCloudflareユーザーがCloudflareレジストラに移行した場合、合計で年間5000万ドル(約57億円)程度節約できるとのことです。

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in ネットサービス, Posted by logu_ii

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