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「.org」ドメインの売却にICANNが待ったをかける

by ivanacoi

「.org」ドメインが設立からわずか数カ月の投資企業Ethos Capitalに売却された問題で、ドメインデータベースの管理団体Internet Corporation for Assigned Names and Numbers(ICANN)が、売却取引を30日間保留すると発表しました。

.ORG Update - ICANN
https://www.icann.org/news/blog/org-update

ICANN demands transparency from others over .org deal. As for itself… well, not so much • The Register
https://www.theregister.co.uk/2019/12/11/icann_transparency_org/

ICANN pauses sale of .org registry | TechRadar
https://www.techradar.com/news/icann-pauses-sale-of-org-registry

インターネット関連の標準化を行っている非営利団体のInternet Society(ISOC)は2019年11月13日に、主に非営利団体や学校向けの「.org」ドメインを管理している非営利団体のPublic Interest Registry(PIR)を投資企業のEthos Capitalに売却すると発表しました。しかし、Ethos Capitalによる買収劇の裏には「過去にICANNのCEOを務めたFadi Chehadé氏を中心としたら数名の人物が暗躍していたこと」が指摘されているなど、取引の経緯が非常に不透明なことなどから、インターネットコミュニティは「.org」ドメインの売却に猛反発。大規模な反対署名が展開されているほか、Firefox開発元のMozillaが公開質問状を提出する事態に発展しています。

「.org」ドメイン売却問題についてFirefox開発元のMozillaが公開質問状を提出 - GIGAZINE

by Wavebreakmedia

「.org」ドメイン売却に関する懸念の高まりを受けて、ICANNの社長兼CEOであるGöran Marby氏とICANNの理事長を務めるMaarten Botterman氏は12月9日に、「私たちはICANNやISOC、PIRに向けられている懸念を受け止めるとともに、嫌疑の払拭と『.org』コミュニティへの信頼回復に向けて、ISOC、PIRおよびEthos Capitalに対しプロセス全体の透明性を明らかにすることを求めます」と述べて、関係各所に対して取引の内容を明かすよう要請したと発表しました。

また、同時に公開されたISOCおよびPIR宛の(PDFファイル)書簡の中で、ICANNの顧問弁護士で最高法務責任者のジョン・ジェフリー氏は「ご存知のとおり、透明性はICANNの基礎であり、lCANNはその役割を果たして公益を保護しなくてはなりません。従って、あなた方に向けられた質問と、その質問に対するあなた方の答えを公開することは、我々にとって大きな価値があると考えています」と述べて、取引内容の公開を求める方針を明らかにしました。ICANNは、この要請に対する回答があり次第、さらに30日間かけて回答の内容を徹底的に精査し、売却取引に同意するかどうかを決定するとのことです。

by BrianAJackson

ICANNは「ICANNとPIRが締結したレジストリ契約により、PIRがレジストリオペレーターの管理に変更を加える取引を行う際は、ICANNの事前承認を要します」と述べて、ISOCによるPIRの売約取引にはICANNの同意が必要不可欠だとの見方を示しました。一方、ドメイン関連ニュース専門サイトのDomain Name Wireは、「最終的な判断は裁判所が決定する必要があります」と述べて、買収劇が法廷に持ち込まれる可能性があると指摘しています。

「.org」ドメイン売却の見直しを発表した声明の中でICANNは、「我々は、この取引を真摯に評価する責任を負っています。『.org』ドメインが今後も安全で、信頼性と安定性が高いものであることを確認するために、PIRの売却案を思慮深く、かつ徹底的に評価します」と述べて、透明性を重視する姿勢を強調しました。一方、イギリスのニュースサイトThe Registerは「ICANNは、2019年7月の『.org』ドメイン登録料の上限撤廃に際するパブリックコメントで、98%近くの反対意見を押し切った理由を説明していませんし、PIRに送った質問のリストも伏せたままです。要するに、ICANNがISOCとPIRに公然と質問して、透明性を確保しようとしている点は評価されるべきですが、ICANNが許せば大した情報が出てこないおそれもあるということです」と指摘して、ICANNの対応は形式的なものに過ぎない可能性があると示唆しました。

・つづき
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by WilliamCho

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in ネットサービス, Posted by log1l_ks

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