5万円以下の最新Android OSスマホ「Google Pixel 3a」をPixel 3と比べながら使って見えてきた違いとは？

2019年5月17日(金)に発売されたGoogle製スマートフォン「Pixel 3a」「Pixel 3a XL」は、PixelシリーズのハイエンドモデルであるGoogle Pixel 3の廉価版という位置付け。Pixel 3に比べて一部の機能が省略されたものの、定価は半額近くまで下がったPixel 3aが実際にPixel 3からどう変わっているのか、発売から数日間使いながら確かめてみました。

Pixel 3a ＆ Pixel 3a XL - 鮮やかに撮れるカメラ - Google Store
https://store.google.com/jp/product/pixel_3a

まずは、Pixel 3aとPixel 3でベンチマークアプリ「Antutu Benchmark」を同時に動かし、CPUやグラフィック性能などを計測してみました。SoCにハイエンドモデルのSnapdragon 845を採用するPixel 3の結果が以下の画像。総合スコアは23万3237で、CPUが7万1878、GPUが10万4235、ユーザーエクスペリエンスが4万4723、メモリの読み書きが1万2401という内訳です。

それに対して、ミドルクラスSoCであるSnapdragon 670を採用したPixel 3aの結果が以下の画像。総合スコアは13万3320で、CPUが4万6492、GPUが4万4452、ユーザーエクスペリエンスが3万2660、メモリの読み書きが9716という内訳です。3aは3の廉価版ということでどうしても性能は落ちるのですが、特に大きく落ちているのがGPU性能です。

以下のムービーは、ベンチマーク中の3DCGレンダリングの様子。右がPixel 3で左がPixel 3aですが、Pixel 3aの方が処理に時間がかかっている上に、動きもかなりカクカクしていることがよくわかります。

Pixel 3とPixel 3aでAntutu Bentimarkの3DCGレンダリングを比較したところ - YouTube


「スペックは分かったが実際に使ってみたらどんな感じなのか？」と、100％までバッテリーを充電した状態のPixel 3aとPixel 3を持って、ウロウロしながら写真を撮ったりアプリを起動したりしました。なお、両方の端末に、「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」と「Pokémon GO」、さらにバッテリーや稼働プロセスを監視するアプリ「Battery Mix」をインストールし、常駐させています。ディスプレイの明るさは100％にした上で明るさ自動調整機能とバッテリーセーバーはオフにし、アプリを起動する際は同じものを2つを同時に起動しました。

以下に示される撮影例の写真は基本的にデフォルト設定のまま撮影されたもので、「Pixel 3aで撮影したもの」「Pixel 3で撮影したもの」の順で並んでいます。ファイルサイズを抑えるために長辺1200ピクセルに縮小し、プライバシー加工以外の画像加工は行っていません。

通常のカメラモードで昼食に食べたラーメンと……

夕食に食べた焼き鳥を撮影。Pixel 3とPixel 3aの背面カメラは1220万画素・ピクセルサイズ1.4マイクロメートルf/1.8と、どちらも同じスペックとのことで、撮影した写真に大きな差は見られませんが、Pixel 3の方がわずかにくっきりと撮れている印象を受けました。

ただし、ポートレートモードでは、その画角でPixel 3aとPixel 3の間に大きな違いが見られました。以下の画像はfigma けものフレンズ サーバルを同じ場所からポートレートモードで撮影したもので、Pixel 3aの方がサーバルの顔が大きく映っていることがわかります。このため、同じ構図の写真を撮影する場合、Pixel 3aはPixel 3よりも撮影対象からより距離を取って撮影する必要があるといえます。

Pixelシリーズのカメラアプリに搭載されている「夜景モード」で撮影した、街角に咲く花。写真を比べて見ると、Pixel 3で撮影した方がやや明るめに処理されている印象ですが、どちらもきれいに撮影できています。シャッターを切ると行われる画像処理では、Pixel 3aの方がPixel 3よりもおよそ1～2秒ほど時間がかかっていました。

海遊館へやってきました。

流れる滝

ペンギン夫婦

同じペンギン夫婦を目いっぱいズームして撮影したところ。

渦巻く魚群。

ものすごい速さで水中を泳ぐペンギン。少し暗い場所になると画像処理に差が出るのか、少し色味が変わることもありました。Pixel 3aには、Pixel 3に搭載されているPixel Visual Coreが搭載されていません。Pixel Visual Coreはカメラ関連のタスクを担うAIチップなので、オミットされたことで処理の時間や結果に少し差が出ているのかも。

深海生物コーナーで見かけたタカアシガニ。深海生物用の水槽でかなり暗かったので、夜景モードで撮影しています。色味や明るさにわずかな差はありますが、写真そのものに大きな違いはありません。しかし、やはりPixel 3aの方が画像処理に時間がかかっていました。

「Googleカメラ」で水槽内を泳ぐカメラを撮影すると、その魚が何の種類なのかを調べてくれます。これは検索にかかった時間もそれほど差はありませんでした。

海遊館を離れ、観光客が特に多い大阪のなんばへ向かいました。

同時に電波強度を調べてみたところが以下。ボディがアルミフレームとガラスのPixel 3に比べて、ポリカーボネートを採用したPixel 3aの方がアンテナの感度は高いかもしれないと考えたのですが、電波強度は特に変わらず、人が多く電波状況が悪いところでも感度は同等のレベルといえます。

両方のスマートフォンを手に持ち、4G＋回線に接続した状態でGoogleマップを見ながら、なんばの商店街をうろうろしていましたが、Pixel 3とPixel 3aの間で大きな座標ズレが見られることはありませんでした。

一日歩いて、その後もアプリを起動しながら持ち歩いていたところ、どちらのスマートフォンもおよそ48時間ほどで電池が0％になりました。以下の画像はBattery Mixで監視したバッテリーのグラフです。Pixel 3a(上)はPixel 3(下)よりもバッテリー容量がやや大きいので、Pixel 3aの方が長持ちするはず……と予想していたのですが、実際はPixel 3の方が数時間分ほど長持ちするという結果に。

稼働プロセスからアプリの消費電力を閲覧したところが以下。Pokèmon GOの消費電力が、明らかにPixel 3aの方がPixel 3よりも大きくなっています。実際に触っていると、CGの動きやARモード、GPS機能など動作には特に差は感じられず、Pixel 3aもPixel 3と同レベルで快適に遊べたのですが、処理能力の差が消費電力という形で出たのかもしれません。

「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」を遊んでいても、特に体感できるような差はありませんでした。内容がリズムゲームなので、少しでもカクつくようならストレスがたまってしまうところですが、Pixel 3a・Pixel 3共に快適に遊ぶことができました。Pokémon GOもARモードをオンにしてプレイしましたが、Pixel 3aの方がわずかにもったりすることはあるものの、目に見えてカクついたり異常に熱を持ったりすることはなく、Pixel 3とPixel 3aで同じようにプレイ可能でした。

実際数日間使ってみたところ、普通に使う分にはPixel 3aがPixel 3に比べて大きく劣るように感じる部分はありませんでした。ただし、スペック上は明らかに廉価版であるPixel 3aが落ちるので、相当のハイスペックを要求するような3DCGゲームをプレイすると差が出てくる可能性はあります。

また、カメラ撮影後の画像処理でもはっきりとPixel 3aはPixel 3よりも時間がかかっている印象。ただし、1～2秒ほど長くなるといったところで、「いつまでもグルグル回るアイコンを眺める」といったことはありませんでした。撮影した写真も目に見えるほどの大きな差はなく、「定価4万円台でPixel 3とほぼ同等のカメラを使える」のはかなり魅力的なポイントといえます。

ただし、バッテリーについては、Pixel 3aはせっかく容量が増えたにも関わらず、Pixel 3と同等、あるいはやや持ちが悪いと感じたのは少しがっかりしたポイント。そのため、Pixel 3以上に常駐アプリの管理に気を遣う必要があるかも。Pixel 3aはメイン端末として使うには心もとない部分がありますが、サブ端末として使うのであれば十分活躍が期待できる端末だと感じました。