「ガチャは違法」なベルギーでスマホ版「どうぶつの森」と「ファイアーエムブレム」がサービス終了
任天堂のスマートフォン向けゲームである「ファイアーエムブレム ヒーローズ」および「どうぶつの森 ポケットキャンプ」が、2019年8月末でベルギーでのサービスを終了します。任天堂が2つのスマートフォン向けゲームをベルギーでのみサービス終了とする理由は、ベルギーでは賭博関連法に基づきルートボックスは違法であると認定されたためだとみられています。
Belangrijke informatie voor gebruikers in België | Nieuws | Nintendo
https://www.nintendo.be/nl/Nieuws/2019/mei/Belangrijke-informatie-voor-gebruikers-in-Belgie-1561911.html
Nintendo to shut down Animal Crossing, Fire Emblem mobile games in Belgium over loot box law fears ? Eurogamer.net
https://www.eurogamer.net/articles/2019-05-21-nintendo-to-shut-down-animal-crossing-fire-emblem-mobile-games-in-belgium-over-loot-box-law-fears
ゲーム内で使えるアイテムを有料で入手するシステム「ルートボックス」は、日本では「ガチャ」の愛称で親しまれています。そんなルートボックスの中でも、一部のゲームに実装されているものが「違法である」とベルギーで認定されました。ベルギー賭博委員会は同国の賭博関連法に基づき一部のルートボックスを違法と判断しており、ルートボックスを提供するゲームのほとんどが「ゲーム内アイテムがどの程度の確率で入手できるのか」を明示していない点も問題であると指摘しています。
ゲームの「ルートボックス(ガチャ)」はベルギーでは違法 - GIGAZINE
任天堂の「ファイアーエムブレム ヒーローズ」および「どうぶつの森 ポケットキャンプ」は、どちらも「ゲーム内で使える通貨」と「ゲーム内通貨を使って購入できるさまざまなゲームアイテム」を有しています。しかし、これらが問題というわけではありません。
問題視されているのは、ゲーム内通貨を使ってアイテムを入手することができる「ガチャ(ルートボックス)スタイル」のシステムです。「ファイアーエムブレム ヒーローズ」の場合、ゲーム内通貨の「オーブ」を使って英雄(キャラクター)を召喚することが可能。召喚される英雄はランダムですが、運が良ければ強力なキャラクターを入手することができます。「どうぶつの森 ポケットキャンプ」では「リーフチケット」と呼ばれる有料アイテムを使って、ランダムにアイテムをゲットできる「フォーチュンクッキー」を購入したり、特定の用途に使用してゲームを効率よく進めることが可能となっています。
「どうぶつの森 ポケットキャンプ」でランダムにアイテムがゲットできる「フォーチュンクッキー」が登場したのは、サービススタートから6か月が経過したタイミングでした。海外ゲームメディアのEurogamer.netで働くトム・フィリップスさんは、フォーチュンクッキー登場時に「ついにどうぶつの森 ポケットキャンプにもガチャが登場した」と述べ、ルートボックス的なシステムの登場に否定的な見解を示しました。なお、フォーチュンクッキーでは、最もレアなアイテムの排出率がわずか3%となっています。
そんな中、任天堂はベルギー国内では「ファイアーエムブレム ヒーローズ」および「どうぶつの森 ポケットキャンプ」のサービスを終了することを明かしています。
Vanwege de huidige onduidelijke situatie in België omtrent bepaalde verdienmodellen van games, zal de service voor Animal Crossing: Pocket Camp en Fire Emblem Heroes op 27 augustus 2019 in België worden stopgezet. https://t.co/8xvDHr0zkO
— Nintendo België (@NintendoBE_NL) 2019年5月21日
サービス終了の理由について、任天堂は「ベルギーでは特定のゲーム内収益モデルに対する不明瞭な状況があるため、『どうぶつの森 ポケットキャンプ』および『ファイアーエムブレム ヒーローズ』のサービスを終了することにしました」と記しています。なお、2019年8月27日(火)以降はゲームのダウンロードおよびプレイが不可能になるとのことです。
任天堂は「自分のアカウントにオーブやリーフチケットを持っているプレイヤーは、サービス終了までそれらのアイテムを使うことができます」「同様の収益モデルを持った将来的にリリースされる予定の任天堂のゲームについては、ベルギーではリリースされることはありません」として、ガチャ要素のあるゲームが今後ベルギーでリリースされることはないとアナウンスしています。
記事作成時点では「どうぶつの森 ポケットキャンプ」および「ファイアーエムブレム ヒーローズ」がベルギー賭博委員会から正式に違法と判断されたわけではありません。そのため、任天堂は違法と判断される前に自らサービスを終了させた形とないます。また、ベルギーでは2018年4月に「ガチャは違法」と認定されましたが、オランダでも同じようにいくつかのゲームに実装されているガチャが違法であるとされました。しかし、記事作成時点ではオランダでベルギーと同じように任天堂のスマートフォンゲームのサービスが終了となるとはアナウンスされておらず、この点についても詳細は不明です。
by natureaddict
2018年4月にベルギーとオランダでガチャが違法であると示されてから、ValveのCounter-Strike: Global Offensiveがオランダおよびベルギーからのアクセスではルートボックスが開けないようにブロックする措置を取ったり、ブリザードがベルギーではオーバーウォッチのルートボックスを無効にしたり、Guild Wars 2がベルギーからゲーム内通貨を購入できないように制限したり、NBA2Kがベルギーおよびオランダのガチャ禁止法に則る形でゲーム内課金要素の一部を変更したりしてきました。最も激しいやり取りを繰り広げたのがエレクトロニック・アーツ(EA)で、同社はルートボックスはギャンブルではないと主張して賭博関連法には当てはまらないと主張してきましたが、2018年9月にEAの人気タイトルの1つであるFIFAのルートボックスについてベルギー政府が刑事捜査を始めると報じられ、最終的にFIFAポイントの販売を停止しました。
上記のゲームと同じ理由から任天堂が2つのスマートフォン向けゲームのサービス終了を決めたことは明らかで、「任天堂が圧力を感じているのは当然のこと」とEurogamer.netは記しています。
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