「この夏読むべき5冊の本」をビル・ゲイツが発表
夏季休暇に長い本を読むのが習慣のビル・ゲイツ氏が、同様に夏の読書を考えている人向けに「2019年夏の読書にオススメ本5冊」を発表しました。記事作成時点のゲイツ氏は「激動」についての本を読むことが多いとのことで、5冊の本も「激動」あるいは「混乱」という点が共通しているそうです。
Looking for a summer read? Try one of these 5 books | Bill Gates
https://www.gatesnotes.com/About-Bill-Gates/Summer-Books-2019
◆1:Upheaval/ジャレド・ダイアモンド
人類の歴史について地形や動植物相など「環境」という観点から解説したベストセラー「銃・病原菌・鉄」の筆者の新刊がUpheaval。ダイアモンド氏の著書のファンだというゲイツ氏はこの本も例外なくオススメとのこと。Upheavalは外国からの脅威や戦争、不景気など、国家がどのように危機を乗り越えてきたのかを興味深いケーススタディーを用いて解説しています。テーマ的には重いのですが、読後は「読み始めた時よりも人類の問題解決能力に対して楽観的になった」とゲイツ氏は述べています。
Amazon | Upheaval: How Nations Cope with Crisis and Change | Jared Diamond | Australian & Oceanian
◆2:Nine Pints:/ローズ・ジョージ
タイトルになっている「Nine Pints」は成人の平均血液量を意味します。イギリス人ジャーナリストのローズ・ジョージ氏は「目に見えないが極めて重要なトピック」を体当たり取材することで有名で、これまでに「トイレの話をしよう 〜世界65億人が抱える大問題」といった本を出版しています。Nine Pintsは「人間の血」がどのように扱われているのかをさまざまな側面から明らかにするもので、「この本は信じられないほどの興味深い事実で満ちていて、読んだ人は血液に対して新たな感謝の念を抱くだろう」とゲイツ氏はコメントしています。
Amazon | Nine Pints: A Journey Through the Money, Medicine, and Mysteries of Blood | Rose George | Hematology
◆3:A Gentleman in Moscow/エイモア・タウウェルズ
ロシアで静かにホテル暮らしをしていた32歳の伯爵が、1917年のロシア革命で逮捕され自宅軟禁を命じられ、メイドたちが使っていた屋根裏の小さな部屋に移されてしまう……というストーリーの「A Gentleman in Moscow」はニューヨーク・タイムズのベストセラーにも選ばれた小説。歴史を下敷きにしている点で現実世界を反映していますが、空想的なロマンスの側面もあります。「ロシアの小説はあんまり……」という人でも楽しめる本だとのことです。
Amazon | A Gentleman in Moscow: A Novel | Amor Towles | Historical
◆4:Presidents of War/マイケル・ベシュロス
アメリカの歴史学者であり評論家のベシュロス氏は、多くの人を死に追いやる「戦争」を行ってきた大統領の「決断」そして「大統領のリーダーシップとは何か」についてを、手紙・日記・国家安全保障文書といった資料を用いて、さまざまな分野を横断しながらこの本で記しています。ゲイツ氏がPresidents of Warを手に取ったのはベトナム戦争に興味があったためですが、読後はベトナム戦争だけではなく、アメリカが19世紀と1970年代に介入した主要な戦争について多くを学ぶことができたそうです。
Amazon.co.jp: Presidents of War (English Edition) 電子書籍: Michael R. Beschloss: Kindleストア
◆5:The Future of Capitalism/ポール・コリアー
イギリスの経済学者であるコリアー氏は「最底辺の10億人」などでベストセラーを出してきた人物。コリアー氏はThe Future of Capitalismで「資本主義の失敗」という率直な判断を行い、「どうすれば修復できるのか」というビジョンを記しています。ゲイツ氏は「コリアー氏の考えに全て賛成するわけではない」「彼は解決策の提示よりも問題の分析の方が優れている」としつつも、この本は多くの現代人が考えているだろう問題について、非常に示唆に富んでいると述べています。
Amazon | The Future of Capitalism: Facing the New Anxieties | Paul Collier | Comparative Politics
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