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5億冊以上の本を売り毎年2冊の小説を書き続けているサスペンスの巨匠ディーン・R・クーンツの意外で風変わりな性格とは?

by Alan_D

ウォッチャーズ」や「コールド・ファイア」といったSF・ホラーの傑作のほか、小説家としての成功の秘密を解き明かした「ベストセラー小説の書き方」を大ヒットさせたサスペンスの巨匠であるディーン・R・クーンツ氏が、ワシントンポストの取材で「自分の恐れるもの」について語りました。大豪邸に住む言わずとしれたベストセラー作家にもかかわらず、心配性かつ臆病で自信がない性格が明らかになっており、それがどのように素晴らしい作品を生む原動力になっているのかが語られています。

Dean Koontz has sold more than 500 million books and worries about everything - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/books/2023/05/03/dean-koontz/


クーンツ氏の著作は38の言語に翻訳され、全110作品以上を合わせて5億部以上を売り上げています。2023年に77歳を迎えるクーンツ氏は毎年2冊の本を書き続けており、2023年1月には「The House at the End of the World.」をリリースしており7月には新作の「After Death」を予定しているほか、日本でも2021年に「ミステリアム」が翻訳されてリリースしています。


ワシントンポストによると、クーンツ氏は「私がこれまで知ってきた作家の中で、私はもっとも自分に自信がない作家だと思います。私はいつも自責の念や強迫観念に飲み込まれており、『もう無理だ』と思う日もあります」とかなり弱気な発言をしています。

by msiew

また、クーンツ氏は殺人や騒乱を描いたスリラーやホラーの名手ですが、クーンツ氏自身はそういった血みどろの映画を見ることができなかったり、飛行機に同乗していた修道女が「私たちは皆死ぬだろう」と宣言して以来50年間飛行機に乗っていなかったり、アニバーサリークルーズの途中でハリケーンに遭遇してからボートも苦手だったりと、かなり臆病な面もあるとのこと。クーンツ氏はほとんどの場合、より安全だと感じるカリフォルニア州のオレンジ郡にある自宅にとどまっています。さらに、約1100平方メートルの豪邸では、ゴールデンレトリバーのエルサをヘビから守る為に高いフェンスを設置し、山火事から家を守る最新技術を備え、突然の大火事に備えて毎晩執筆中の原稿を冷蔵庫に保管しているそうです。

by Michael Sauers

クーンツ氏の友人でベストセラー作家のジョナサン・ケラーマン氏は、クーンツ氏について「彼はいつも多くの不安を抱えているが、それをフィクションの中にうまく反映させています」とコメントしています。実際に、クーンツ氏の心配性な性格は著作にかなり反映されており、クーンツ氏によると、1日10時間と週6日の執筆を行う中で、次のページに進むまでに平均20回はチェックと書き直しを含む改訂を行っているそうです。

また、クーンツ氏は集中が途切れることを強く嫌っており、1987年に出版した「ウォッチャーズ」の執筆の際に36時間ぶっ続けで取り組んで体を壊した経験があったり、集中を切らさないために電子メールをアシスタントやパートナーのゲルダ氏が印刷して届けるようにしていたりと、徹底した執筆環境を作っています。クーンツ氏は「私は潜在的に強迫観念にとらわれやすい性格であることは分かっているため、時間を無駄にしないように、決してネットを使いません」と語っています。

物語を作る上で、物語のあらすじや設定、展開のきっかけとオチをまとめて書きだしてストーリーを作る際の設計図として用いる「プロット」を作る作家は多いですが、クーンツ氏はプロットなどのアウトラインを作成することをしないそうです。クーンツ氏はアウトラインが「物語を束縛している」と感じるため、登場人物、物語の前提、そして1つか2つのシーンだけを用意して執筆を始めており、「私は、登場人物に自由意志を与えます。これにより、小説は有機的で予測不可能になり、私にとってはさらに興味深いものになります」と述べています。

物語を創作する際に詳細なプロットは作るべきなのか不要なのか? - GIGAZINE


また、クーンツ氏は「書いていなかったら自分は何者になっていたか分かりません」とも語っています。クーンツ氏は「新鮮な物語を思いつく自分の能力にこだわっていません」と述べ、お気に入りの作家を見つけたらむさぼるように読書をし、また年に2冊の執筆を続けているだけではなく、ファンに向けた毎月のニュースレターを執筆しているほか、読者のファンレターにも頻繁に返信しています。


クーンツ&ゲルダ夫妻は、アールデコ調の絵画や家具、中国美術、明治時代の日本の彫刻や屏風(びょうぶ)などを集めた膨大なコレクションで飾られた邸宅に住んでいます。家にはクーンツ氏が決して使わないスパやサウナ、スチームシャワーもあり、クーンツ氏は「実際には使いませんが、それを見るとリラックスできます」と説明しています。また、2万冊の小説コレクションのために特注の図書館を制作したほか、家の至る所に特注のキャビネットを設置しています。しかしその家もあくまで仮住まいで、本来の家は2025年までをめどに改装中とのこと。

クーンツ氏は、11歳まで屋内トイレのない家に住んで、読むことができる本もない生活をしていた自分の人生が、ここまでうまくいったことに今でも驚いていると語り、「私の父親は気難しく暴力的で、女たらしのアルコール依存症でした。私のストーリーテリングの能力は、自身の経験によるものというより、ギフトだと思っています。私は著作の中では常に楽観主義者で、善は常に勝利を求めます。これが私の人生経験であり、私が望む人生の姿です」と著作と執筆に込められた思いを話しています。

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in メモ, Posted by log1e_dh

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