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ゲーム開発者の約半数が労働組合が必要と考えているものの、その実現には希望を抱いていないことが明らかに

by Chris Liverani

2018年にビデオゲーム業界は4兆7000億円超もの売上をアメリカだけで記録しており、2018年はゲーム業界にとって好調な年であるかのように思われていますが、は2018年にリリースされ大ヒットとなった「レッド・デッド・リデンプション 2」の開発者が「週に100時間以上労働することもあった」と告白したり、「ウォーキング・デッド シーズン4」などの人気タイトルを開発していたTelltale Gamesがスタジオの大部分を閉鎖したりと、ゲーム業界の過酷な労働環境が注目を集めた年でもありました。そんな中、Game Developers Conference(GDC)が4000人の開発者を対象にアンケート調査を行っており、約半数が「開発者同士で団結すべき」と考えていることが明らかになっています。

Only 16% of devs anti-union - Survey | GamesIndustry.biz
https://www.gamesindustry.biz/articles/2019-01-24-only-16-percent-of-devs-anti-union-survey

Survey Of 4,000 Game Developers Says Half Of Them Want To Unionize
https://kotaku.com/survey-of-4-000-game-developers-says-half-of-them-want-1832028417

Nearly half of game developers want to unionize
https://www.engadget.com/2019/01/24/nearly-half-of-game-developers-want-to-unionize/

週100時間超という過酷な労働環境や、有名ゲームスタジオであっても突如閉鎖してしまう昨今において、ゲーム開発者たちは労働環境の改善を要求したり不当なレイオフから自身の身を守ったりするために労働組合の必要性を叫んできました。

「ゲーム業界で苦しんでいる人々に希望をもたらし、力を与えること」を目標として、ゲーム業界内での労働組合の結成に向けて動いているGame Workers Uniteのような組織も存在します。なお、Game Workers Uniteは2018年のGDCでも活動を行っており、2018年12月にはイギリス支部が法的に労働組合として認められるに至っています。


独立系ゲーム開発者を支援するInternational Game Developers Associationが2014年に行った調査では、調査に参加した2200人のうち約半数が業界における労働組合の必要性を支持しました。2009年にも同様の調査が行われていたのですが、その際の支持率は35%だったそうです。

毎年開催されている世界最大級のゲーム開発者向け会議であるGDCは、開催前に開発者に向けてアンケート調査を行っており、2019年は「ゲーム開発者にとって労働組合は必要か?」という質問項目が設けられていたそうです。なお、GDCが開発者に労働組合の必要性について問いかけたのは今回が初めてのこととなります。


この調査によると、約4000人の開発者のうち47%が労働組合の結成に賛同しており、26%は「おそらく団結すべき」と労働組合の結成に肯定的な立場であることを示しています。対して、労働組合の結成に反対の立場を示したのはわずか16%で、残りの11%は「わからない」と回答したそうです。

しかし、ゲーム業界が実際に労働組合を結成することができるかどうかについて尋ねると、労働組合が結成されることを信じている人の割合はわずか21%まで減少し、24%が結成しないだろうと回答。39%は「労働組合はおそらく結成することになるだろう」と回答し、15%は「わからない」と答えています。


アンケートには自由回答欄が設けられているのですが、中には「企業はウォルマートのように労働組合を弾圧するだけだよ。ゲームスタジオを閉鎖し、1マイル離れた場所に新しいスタジオを作るだけだ」という記述もあり、労働組合が自分たちの労働環境を改善することはできないと諦め気味の開発者が多くいることを伺わせます。

また、別の開発者は「人気スタジオやパブリッシャーがゲーム開発者たちの厳しい労働環境を変えようと動いたことはありません。何人かの役員はゲームの準備ができる前に出荷し、従業員を解雇するのと引き替えに2000万ドル(約22億円)のボーナスを得ることができます。ゲーム業界は大きく自分を見直すべきタイミングに入っていると思います。我々従業員が現在の環境で団結することを歓迎します」と語っています。

「労働組合がゲーム開発者たちの劣悪な労働条件を改善できる」という考えを邪魔する存在もいないわけではありません。2018年のGDCでは「Union Now?」というディスカッションが行われ、国際ゲーム開発者協会の事務局長であるジェン・マクリーン氏が司会を務めました。この中でマクリーン氏は、「あなたは労働組合を結成すればすべてが素晴らしいものになると仮定していますが、私はこれがこれが合理的であるとは思いません」と語り、労働組合の結成が問題解決につながるわけではないと指摘しています。また、「ゲーム業界で働く人々のレバレッジを少しでも高めることができるのではないか?」と海外メディアのKotakuが質問した際には、マクリーン氏は「それに対する答えがあるかどうかはわからない」と答えており、業界関係者が労働組合の結成に否定的な立場を取っていることがうかがえます。

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in ゲーム, Posted by logu_ii

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