GoogleアシスタントやAlexaが注目を集める中、Appleが注力していることとは？

2019年1月8日から、アメリカ・ラスベガスで世界最大級の家電見本市CES 2019が開催されます。開催地のラスベガスではAlexaやGoogleアシスタントといった音声認識アシスタントに注目が集まる中、Appleが独自の方向性を持った広告を出しています。

Apple trolls CES with a giant dig at Android and Alexa privacy - The Verge
https://www.theverge.com/2019/1/5/18169781/apple-google-privacy-troll-billboard

Appleは今回のCES 2019および過去のCESにおいて、会場内に独自のブースを展開することはありませんでした。このスタンスは今後も続くものと思われますが、毎回会場外に大きな広告を配置しており、AppleがCESにおいて「(出展していないにも関わらず)目に見えない象徴となってきた」とThe Vergeは記しています。しかし、同時に長らくCESを取材してきたThe Vergeは、「最近ではAmazonのAlexaとGoogleのGoogleアシスタントがCES内での優位性を高めている」と記しており、Appleの存在感が徐々に薄れてきているとも指摘しています。

Googleは白を基調とした以下のような広告をCESの会場のそばで掲示しています。Googleの広告は「Hey Google」というGoogleアシスタントを起動するためのフレーズを宣伝するもので、会場行きのモノレール内でも同じような広告が掲載されています。GoogleがGoogleアシスタントの広告に力を入れているのは去年に引き続きで、ライバルであるAlexaとの競合に重点を置いている現れともいえます。

そんな中、AppleはCES 2019の開催地であるラスベガス・コンベンション・センターの隣にあるホテルで、以下のようなシンプルな広告を掲載しています。以下の画像がその広告で、ラスベガスで起きたことはラスベガスに残るという有名なフレーズを用いて「What happens on your iPhone, stays on your iPhone.(iPhone上で起きたことは、iPhone上に留まる)」と書かれており、その下には小さなリンクも書かれています。会場の隣に掲載されている広告であるため、「CESに参加する人は誰もが必然的にこの広告を目にすることになるだろう」と海外メディアのThe Vergeは記しています。

Appleが広告に記したリンクは以下のプライバシーに関するページにつながっています。

プライバシー - Apple（日本）

つまり、AppleはGoogleとAmazonによる音声認識アシスタントの競合に加わるのではなく、プライバシーに関する優位性を強調する形で競合他社に対抗するというアプローチを取ったというわけです。これについて、海外メディアのThe Vergeは「AmazonのAlexaがユーザーの個人的な会話を録音して他ユーザーに送信するという恥ずかしい失敗をしていた」ことや、GoogleのAndroidを搭載する一部の端末が密かにユーザーのプライバシーを侵害していたことを挙げ、「Apple製品ではそのようなプライバシー面での心配はない」とAppleが暗に強調するような広告を打ち出すことは間違いではないと記しています。

Alexaが勝手に録音した会話データを全く関係ない第三者に送信してしまう - GIGAZINE

Appleにおけるプライバシー面での配慮は他社よりも優れたものと思われがちかもしれませんが、AppleはiPhoneを売るために中国ユーザーのiCloud全データを中国政府に差し出すことが報じられたり、過去にはiCloud経由でセレブのヌード画像が大量流出した騒動が起きたことから、Apple製品が必ずしも他社製品よりもプライバシー面において優れているとは言えないとThe Vergeは指摘しています。そして、Appleがプライバシー面で競合他社よりも優位に立ちたいと考えるならば、世界中どこでも同等レベルのプライバシー保護を提供すべきとしています。