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「ダイ・ハード」がクリスマス映画かどうかを登場要素から徹底検証


主演俳優のブルース・ウィリスが「ダイ・ハードはクリスマス映画じゃない」と考えている一方で、20世紀FOXは「クリスマス映画といえばコレ!」とクリスマス風クリップを作成するなど、クリスマス映画の1本として「ダイ・ハード」を推しています。実際のところ、「ダイ・ハード」はどのぐらいクリスマス映画なのか、世の中には多数存在する「クリスマス映画」があるわけなので、その要素と照らし合わせて調べた結果が発表されています。

Using data to determine if Die Hard is a Christmas movie
https://stephenfollows.com/using-data-to-determine-if-die-hard-is-a-christmas-movie/

これは、映画に関するデータを用いて様々なことを調べているStephen Followsが発表したもので、比較には「ダイ・ハード」が公開された1988年から2017年までにアメリカの映画館で上映されたすべての映画に関するデータが用いられました。Stephen Followsでは「創造的側面」「商業的側面」「文化的側面」の3面からダイ・ハードを掘り下げました。

1:創造的側面
まず「創造的側面」では、脚本や製作者の意図、見た目などを調査。たとえば、「ダイ・ハード」の脚本で頻出だった単語は「銃」の73回、「テロリスト」の51回、「突然」の45回などですが、「クリスマス」という単語も18回登場していました。これは「殺す」や「血」の13回、「撃つ」の12回、「死ぬ」の5回、「爆発する」の4回よりも多い数です。

「製作者の意図」という点では、前述の通り、主演のブルース・ウィリスはこの映画がクリスマス映画であることを否定しています。しかし、脚本家の1人であるスティーブン・E・デ・スーザは「『ダイ・ハード』がクリスマス映画じゃないなら、『ホワイト・クリスマス』もクリスマス映画じゃない」と主張。これは、「ホワイト・クリスマス」がイブ以外も描いているのに対して「ダイ・ハード」はクリスマス・イブの出来事だけを描いていること、マクレーンが割れたガラスの上を歩くことで「キリストのような犠牲を払っている」シーンが登場することが理由だとのこと。そして、クリスマス・イブに開かれたパーティーが舞台なので、クリスマスらしい意匠もあちこちに登場しています。

また、音楽の面でも、「クリスマス映画」でありながらクリスマスソングの出てこないものが95.5%だったのに対して、「ダイ・ハード」では「ジングルベル」「Winter Wonderland」「Let it snow」といった楽曲が登場します。

2:商業的側面
Stephen Followsでは「クランク家のちょっと素敵なクリスマス(Christmas with the Kranks)」や「バッドサンタ(Bad Santa)」など、クリスマスに直接関連する語句の入った題名の映画がいつ公開されたのかを調査しました。すると、50%以上の作品は11月公開で、12月に公開されたのは30%程度でした。一方、「ダイ・ハード」はアメリカ公開が1988年7月、イギリス公開が1989年2月でした。

「映画のポスター」に着目すると、1万3255本の映画のうち、はっきりとクリスマスの要素がわかるようなポスターを使っていた作品はわずか0.5%で、使っている作品の場合、サンタクロースの服装やラッピングされたプレゼント、クリスマスツリーなど「赤色」「緑色」が強調されたものが多かったとのこと。残念ながら、「ダイ・ハード」のポスターもまったくクリスマスを感じさせないものでした。なお、同様にクリスマスを舞台に展開する「ホーム・アローン」や「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」もポスターにはクリスマス要素は特にありません。


ポスターよりもはっきりするのがキャッチフレーズ。クリスマス向けの映画だと「クリスマス」や「ホリデーシーズン」「休暇」といった単語を押し出すものが多いのですが、「ダイ・ハード」は「テロリスト集団がビルを占拠」や「地上40階建ての高層ビルが戦場に」といった内容でした。

こうしたことから、少なくとも20世紀FOXは映画公開当時、「ダイ・ハード」をクリスマス映画としては一切扱っていなかったことがわかります。

3:文化的側面
たとえ公開当時、クリスマス映画としては扱われていなかったとしても、時代の経過と共に、人々の中でクリスマス映画となっていた、ということはありえます。

Stephen FollowsがIMdbのユーザー作成リストを調査したところ、人々が「クリスマス映画」として挙げる作品のトップは「ホーム・アローン」で、以下、「エルフ~サンタの国からやってきた~」「サンタクローズ」「ナショナル・ランプーン/クリスマス・バケーション」「ポーラー・エクスプレス」「グリンチ」と続き、「ダイ・ハード」は22位でした。

続いて調査対象となったのはWikipedia。クリスマスとは関係のないアクション映画の場合、ユーザーは年間を通してその映画の記事にアクセスします。以下のグラフは左から「リーサル・ウェポン」「レイダース 失われた聖櫃」「七人の侍」「エイリアン」の月別アクセス数を示したもので、月による偏りはみられません。


一方、クリスマス映画であれば以下のように、12月のアクセス数があからさまに増加します。左から「エルフ~サンタの国からやってきた~」「ホーム・アローン」「ラブ・アクチュアリー」「ポーラー・エクスプレス」。


そして「ダイ・ハード」はといえば、他のクリスマス映画ほどの差はないものの、12月のアクセス数が最も多いことがわかりました。


Googleトレンドのデータをみると、だんだんとクリスマスにダイ・ハードの話題が出るようになっている推移が浮き彫りになります。


こうした結果を踏まえて、Stephen Followsでは、「20世紀FOXとしてはもともとはクリスマス映画にするつもりはなかったものの、『ダイ・ハード』の中にはクリスマスらしい要素がいくつも含まれており、大衆文化の中で『クリスマス映画』と認識されている」と結論付けました。

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in 映画, Posted by logc_nt

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