ショートムービー共有アプリ「TikTok」にネオナチが活動の場を広げつつあるという指摘
撮影した15秒のショートムービーに音楽を組み合わせてSNSのように共有できるアプリが「Tiktok」です。2018年6月には1億5000万人のアクティブユーザーを記録するほどで、日本や韓国などアジア圏の若者を中心に爆発的な人気を誇ります。そんなTikTokに、差別主義勢力であるネオナチがじわじわと活動範囲を広げているとMotherboardが指摘しています。
TikTok Has a Nazi Problem - Motherboard
https://motherboard.vice.com/en_us/article/yw74gy/tiktok-neo-nazis-white-supremacy
特定の思想や人種を優遇し、他者をおとしめるヘイトスピーチや暴力的で過激なデモを繰り広げるネオナチは世界各地で危険視される存在であり、徐々にその活動範囲をインターネットに移しています。しかし、差別主義勢力であるネオナチはFacebookやTwitter、YouTubeなどの主要なSNSプラットフォームからは排除されるため、Google+など他のSNSに活動場所を求めているといわれています。
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また、ネオナチの中には、オンライン上にいるネオナチ活動家を独自のソーシャルネットワーク上で統一し、巨大な武装ファシズム組織を形成しようというプロジェクトを企てているものもいると報じられています。
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現実社会だけではなく主要なSNSからも排斥されるようになったネオナチが新たな活動の場の1つとしてたどり着いたSNSがTikTokだとMotherboardは指摘しています。Motherboardによると、「特定の人種や民族は死ぬべきだ」といった主張を行うムービーを投稿するアカウントが、TikTok上で検索してものの数分で見つかったとのこと。そういったアカウントの中にはただ主張するだけではなく、ナチス式敬礼をムービーで披露しているものも複数存在していたそうです。
また、Motherboardが発見したアカウントの中には「Race War Now(今こそ人種戦争を)」と呼びかけるものあったとのこと。さらに別のアカウントでは、ネオナチ組織「Atomwaffen Division」への支援を訴えていたそうです。Atomwaffen Divisionは2ユダヤ人学生を殺害した事件に関与しているとみられている過激派で、2018年2月にはYouTubeのポリシーに対して違反しているとして大量のプロパガンダムービーを削除され、反ユダヤ・白人至上主義を掲げたDiscordサーバーも閉鎖されています。
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そして、ネオナチによる投稿で共通して特に見られたのが、「#FreeDylannRoof」というハッシュタグ。このハッシュタグは、2015年6月にサウスカロライナ州チャールストンの黒人教会で銃を乱射して9人を殺害した白人至上主義者ディラン・ルーフ死刑囚の解放を訴えるものです。
TikTokの利用規約には「人種、宗教、年齢、性別、身体障碍または性的指向による差別を含む、人種差別主義的または差別的な内容」をアップロードすることは禁じられていますが、Motherboardが発見したネオナチアカウントはいまだに削除されず活動を続けているようです。
南部貧困法律センターのインテリジェンスプロジェクトディレクターであるHeidi Beirich氏は、Motherboardの取材に対して「TikTok側と話したことはありませんが、TikTokはそういった差別主義者を今すぐにでも一掃する必要があります。子どもをターゲットにしたTikTok上で、子どもにネオナチの主張を含んだコンテンツを見せるなんて最悪な事態を思ってもみませんでした」と回答しています。
また、オンライン上の過激派を研究するDigital HKS研究員のCaroline Sinders氏は「たとえインターネット・ミーム文化のジョークであろうと関係ありません。私はハラスメントとヘイトスピーチに関するプラットフォームのポリシーをまとめることが必要だと考えています。私にとっては『黒人を殺害せよ』なんていう言葉はジョークでも何でもなく、ただのヘイトスピーチです」とコメントしています。
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