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アメリカ人観光客が「絶滅の危機に瀕した謎の部族」に弓矢で撃たれ殺される事件が発生


テクノロジーやインターネットが発達した現代でも、世界の中には文明との接触を持たない部族がいくつも存在しています。そんな文明から隔離された、インド洋に浮かぶ離島に住む部族に接触を試みたアメリカ人観光客の男性が、「弓矢で撃たれて殺されてしまう」という事件が発生したと報じられました。

American 'killed in India by endangered Andamans tribe' - BBC News
https://www.bbc.com/news/world-asia-india-46286215

インド洋東部・ベンガル湾内に位置する北センチネル島には、「センチネル族」と呼ばれる文明から隔離された先住民族が50~150人ほど住んでいるとされています。今もなお狩猟採集生活を送っていると見られるセンチネル族は外部との接触を拒絶しており、インド政府も干渉しない方針を示している「謎の部族」です。


そんなセンチネル族に接触を試みた27歳のアメリカ人観光客であるJohn Allen Chau氏は、北センチネル島に運んでもらうように地元の漁民に依頼しました。長らく文明から隔離されていたセンチネル族と接触することは、センチネル族が抵抗力を持たない病原菌に感染させてしまうおそれがあるため違法な行為です。しかし、地元ジャーナリストのSubir Bhaumik氏によるとChau氏は以前にも4、5回地元の漁民に依頼し、違法に北センチネル島に渡っていたと警察が発表しているとのこと。

2018年11月14日にChau氏と漁民らは北センチネル島への上陸を試みましたが、この時は失敗に終わりました。そして2日後の11月16日、再び北センチネル島への上陸を決行。Chau氏はセンチネル族との接触に成功しましたが、部族によって弓矢で撃たれてしまいました。Chau氏を連れて行った漁民によると、「Chau氏は撃たれた後もしばらく歩いていた」とのことですが、部族がChau氏の首に縄をかけて引きずりだしたのを見て、漁民たちは恐怖に陥ってその場から逃げ出したとしています。

地元メディアによるとChau氏は「先住民族にキリスト教を布教するため」に北センチネル島へ渡ったとされていますが、SNS上でChau氏は自身のことを「熱心な冒険家」として紹介していました。Chau氏の遺体は11月20日に北センチネル島の海岸で発見されましたが、北センチネル島へ近づくこと自体に大きな危険が伴うため、記事作成時点ではChau氏の遺体は回収されていません。


インド政府によると、センチネル族は数万年にわたって外部との大きな接触を持っておらず、外部の人々が一般的に持っている病原菌に対しての抵抗力がない可能性もあります。そのためセンチネル族との接触は法律で禁じられている他、2017年からは遠くから島を撮影して写真やビデオに残すことも違法となっており、最大で3年の懲役が科せられるとのこと。


Bhaumik氏は「センチネル族の人口は非常に少なく、お金の使い方すら知りません。あらゆる種類の接触は違法です」と語っており、今回の事件でChau氏を北センチネル島へ連れて行った7人の漁民も逮捕されています。今回の事件が文明社会で起きればれっきとした殺人事件ですが、文明から隔離された部族による殺人は警察にとっては非常に難しいケースであり、「センチネル人を逮捕することはできません」とBhaumik氏は述べています。

センチネル族は2004年に起きたスマトラ島沖地震による津波で大きな被害を受けたとされており、この時はパトロール中の海軍ヘリコプターが住民の安否を確認するために島の上空へ近づいたとのこと。すると、住民が視認できるあたりまで近づいたところで、住民がヘリコプターに対して弓矢を放って攻撃してきたそうです。さらに2006年には北センチネル島で違法に漁をしていた2人の地元漁師が部族によって殺害されるなど、センチネル族は外部の文明に対して敵対的な行動をとっています。


また、センチネル族はセンチネル語という言語で話すそうですが、島外にセンチネル語を理解できる人は存在していません。センチネル族と接触した人はほとんどが殺害されるか、そうでなくても短い接触時間しか得られないためにセンチネル語を解読することもできないとのこと。


ロンドンに本拠を置いて原住民を保護する活動を行っている「Survival International」は、マンハッタン島ほどの大きさの島に住むセンチネル族を保護するキャンペーンを行っています。グループ代表を務めるStephen Corry氏は、「センチネル族の人々は繰り返し文明との接触を拒絶しており、私たちが接触しないことが彼らの望みです。このような事件は決して引き起こされてはなりません」と述べています。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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