メモ

ついに「10万円」を超えたMacBook Air、そこにはAppleの巧妙な価格戦略がある


日本時間の2018年10月30日深夜に開催されたイベントで発表されたMacBook Airは日本のAppleストア価格で13万4800円からのスタートとなり、ついに10万円を超えるMacBook Airとなりました。2017年にはiPhone Xが10万円を超えるiPhoneとなるなど、製品シリーズ全体の価格が上昇傾向にあるAppleですが、9to5Macに寄稿しているBen Lovejoy氏は「その背景には緻密な価格戦略が隠されている」という見方を示しています。

The 2018 MacBook Air is the iPhone X ASP trick all over again - 9to5Mac
https://9to5mac.com/2018/10/31/asp/

「iPhone10周年」となる2017年9月に発表されたiPhone Xは、ホームボタンを排除したベゼルレスデザインやFaceIDによる顔認証機能などを搭載し、見た目も中身も従来のiPhoneから大きく変化したものとなりました。一方で、価格がついに10万円という大台に乗ってしまったため、「10万円もするスマートフォンを買うか否か」という点でためらいを感じてしまう人もいたはず。


しかし、「最新のiPhoneは必ず買う」という熱狂的なファンや、「最新で内外ともに一新されたiPhoneを手にしたい」というアーリーアダプター、そして単純に「カッコイイから」という理由で購入する人などに支持されたとみられ、iPhone X発売直後の2018年第1四半期で過去最高の売上を記録したほか、2018年第3四半期(6月期)の決算でも過去同期比で史上最高の売上額をマークしています。

高価格なiPhoneによってAppleが史上最高の第3四半期決算を達成 - GIGAZINE


この流れは2018年に発表されたiPhone XS/XS Maxにも引き継がれた模様で、iPhone XSは64GBモデルでも11万2800円となっており、iPhone XRを除くと10万円以下で入手できるiPhoneの新機種は存在しないという状態になっています。


Lovejoy氏は、ここにAppleの巧みな価格戦略があると分析。高い関心を引きつける機能やデザインを投じることで製品の魅力を高め、ユーザーが高価格でも買ってしまう戦略プランを実行させることで、Apple製品のASP(average selling price:平均売価)を上昇させる作戦が進められていると見ています。

そしてLovejoy氏は、2018年型MacBook Airもこの「ASPアップ」の流れに乗っていると指摘しています。従来のMacBook Airは「軽さ」と「安さ」が魅力のモデルで、価格は999ドル(日本では9万8800円)からスタートするという「10万円以下で買えるMac」として支持されるモデルでした。しかし2018年10月末のイベントで発表された新型MacBook Airは、アメリカでは1199ドルから、日本では13万4800円からのスタートとなっており、「10万円を超えるMacBook Air」となってしまいました。

価格高騰の路線を進むように見えるAppleですが、Lovejoy氏は「Appleは低価格モデルの重要性も認識している」とし、新型MacBook Airが登場しても「10万円切りモデル」を残している点に着目しています。以下の画像のように、北米のAppleストア(左)と日本のAppleストア(右)では、2018年の新型モデルに加え、画面を下までスクロールすると従来のモデルが残されていることがわかります。


Lovejoy氏はこの「下までスクロールすれば」という点にAppleの狙いが込められていると分析。ページ幅からすれば、3台のモデルを並べる幅は十分に確保できるはずですが、あえて上下に並べることで2018年モデルを際立たせつつ、従来の買いやすいモデルも残されている、という意図が示されていると述べています。

価格戦略の観点からすれば、「Appleがやったことはすべてスマートです」とLovejoy氏。そして、従来には見られなかった「価格と機能のバランス」が生じていると指摘。「軽さ」をウリにしていたはずのMacBook Airですが、実はMacBookの「0.92kg」よりも重い「1.25kg(2018年モデル)」という状態、そして、「Air」のつかないMacBookは、名前からすればいわゆる「ベーシックモデル」と認識されがちですが、実は価格はMacBook Airよりも高い価格帯に属しています。

このように考えると、Appleが史上空前の売上高を上げ続けてきたことの背景には「ASPの向上」という要素が少なからず絡んでいることが浮き彫りになってきます。ユーザーがそれを許容している間は安泰といえますが、一方ではその上昇もどこかで限界点を迎えるはず。その時に備えて、Appleは価格を抑えたモデルを用意するのか、もしくは「第2のiPhone」ともいえる目玉商品を登場させるのか、そのあたりに目を向けるのも興味深いものといえそうです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
ついに新型「MacBook Air」が登場、Retinaディスプレイ搭載&より薄型に進化 - GIGAZINE

Appleのティム・クックCEOによる「自動車業界は大きな変化の準備中だ」などのイベント発言まとめ - GIGAZINE

Appleの自動運転車プロジェクトのパートナーはフォルクスワーゲンに落ち着いた模様 - GIGAZINE

「スティーブ・ジョブズも自動車開発に関心を寄せていた」と関係者が証言 - GIGAZINE

2017年登場のiPhone X/8/8 Plusでも意図的な性能低下が起こることが明らかに - GIGAZINE

「MacBookとiPadの統合はない」とAppleのティム・クックCEOが明言 - GIGAZINE

in メモ,   モバイル,   ハードウェア, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.