「スティーブ・ジョブズも自動車開発に関心を寄せていた」と関係者が証言

By Ben Stanfield

Appleは2020年ごろにも自社製の自動車を登場させると見られており、各方面からエンジニアを引き抜いていることも明らかになっているところですが、故スティーブ・ジョブズ氏は2008年の段階で自動車開発を検討していたことが関係者へのインタビューで明らかになっています。

Steve Jobs Considered Building an Apple Car in 2008 - Bloomberg Business
http://www.bloomberg.com/news/articles/2015-11-04/steve-jobs-considered-building-an-apple-car-in-2008

Apple considered making a car in 2008, says Nest's Tony Fadell | The Verge
http://www.theverge.com/2015/11/4/9668512/apple-car-2008-steve-jobs-tony-fadell

インタビューで「私とスティーブは『Appleが自動車を作るとしたら？』と語った」と話したのは、かつてAppleに上級副社長として在籍したトニー・ファデル氏。ファデル氏はiPodを世に送り出した中心人物の一人で、iPhoneへとつながるAppleの躍進の立役者ともいえる存在です。2010年にはAppleを退社してテクノロジー会社の「Nest」を起業し、後にGoogleに3300億円で買収されるという経緯の持ち主で、新型Google Glassの開発にも携わっています。

ファデル氏がジョブズ氏との経緯や、自動車づくりについて語るインタビューは以下から。BloombergとのインタビューでAppleでの経緯について答えています。


「私たちは車についての考え方や、価格面での入手しやすさについて大きく考えを変えることになるでしょう」と語るファデル氏。その一方で「しかし、全体がガラッと変わるような時代が来るには、あと7年から10年という時間が必要です」と、新しいタイプの自動車が普及するまでの時間枠を挙げています。

「その中でAppleは何ができるのでしょう？」というインタビュアーのナイスな質問に対しファデル氏は「自動車をよく見てみると、そこにはバッテリーやコンピューター、モーター(エンジン)などの機械的構造物が含まれています。一方でiPhoneを見てみると、基本的には同じものが搭載されていることがわかります。iPhoneをそのままスケーリングしてゆくと、自動車にたどりつくことができます」と返答。さらに「重要なのはソフトウェアです」と今後の自動車の作られかたに言及しています。

「スティーブとこの件について話したことは？」と聞かれたファデル氏は「2008年ごろ、二人で歩きながら『もしAppleが自動車を作るとしたら、どんな車になるだろう』という話をしました。『ダッシュボードはどうなる、シートはどんな感じか、何を燃料にするのか』といった内容を話し合ったものです」と経緯を紹介。

しかし、「いつも最後には『しかし我々は忙しすぎる。もし自動車をやることができれば素晴らしいものだろうが、今はほかに集中することがある』と話していました」と、当時の様子を振り返っています。とはいえ、ファデル氏によるとこの手の取捨選択は当時のAppleにおいてもごく普通のことで、例えば「iPadをもっと素晴らしいムービーカメラにしてはどうか」や、「Appleのテレビはどうあるべきか」などの話題を語り合っては、いつも「最も世界にインパクトを与えられるものは何だ？」という問いに対して「それは携帯電話である」という結論に達していたといいます。

このように、ジョブズ氏自らも自動車づくりをアイデアの1つに挙げていたことが後の証言から明らかになっています。「世界にインパクトを与える」という考えで開発中とみられるAppleの自動車がどのようなものになるか、興味は尽きないところです。