Appleが人工知能のエキスパートをNVIDIAから引き抜き、全自動運転カー開発を本格化か

By CHRISTOPHER DOMBRES

2020年ごろに自社開発の自動車をデビューさせると噂されているAppleが、コンピューター用チップメーカーのNVIDIAから人工知能・ディープラーニング分野のエキスパートを引き抜いたことが明らかになりました。

Apple Hires Nvidia Artificial Intelligence Director Jonathan Cohen | Re/code
http://recode.net/2015/10/23/apple-hires-an-artificial-intelligence-expert-from-nvidia-is-he-going-to-work-on-self-driving-cars/

Appleに移籍したことが明らかになったジョナサン・コーヘン氏は、NVIDIAでディープラーニング研究のディレクターを務めていた人物です。グラフィックボードの開発で有名なNvidiaは、近年は自律運転分野の技術開発に注力していることでも知られています。コーヘン氏は、自身の移籍をLinkedInのページでも公表しています。

Jonathan Cohen | LinkedIn


NVIDIAでは、同社がラインナップするグラフィック用チップを画像認識・レーダー情報解析用のチップとして応用を進めており、実際にTegra X1プロセッサをベースにした自動操縦車載コンピュータ「DRIVE PX」が自動車メーカーへ供給されています。

NVIDIA Tegra オートモーティブのDrivePX | NVIDIA


一方のAppleは、ティム・クックCEOがイベントで「自動車業界は大きな変化の準備中だ」と語るなど、自動車業界への参入が強く予測されており、今回のコーヘン氏の引き抜きもこの噂を裏付けることになりそう。ディープラーニング系スタートアップ「Skymind.io」の設立者であるクリス・ニコルソン氏は「これはAppleにとって重要な出来事です。NVIDIAの技術は自律運転技術に利用されているので、今回の引き抜きが意味するところは明白です」と、Appleの狙いについて語っています。

以下のムービーは、まだNVIDIAに在籍していたコーヘン氏が、2015年1月のコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)でNVIDIAのディープラーニング技術について解説する様子を収めたもの。この映像を見ると、Appleがコーヘン氏の引き抜きに至った理由がわかりそうな気がします。

#CES2015: Nvidia Drive PX Deep Learning - YouTube


ディープラーニングを使った画像解析に使われるDrive PXを手にカメラに収まるコーヘン氏。ディープラーニングは、人間の脳機能を再現するニューラルネットワークを多層に積み重ねることで高い処理能力を実現する技術で、コンピューターに対して繰り返しの学習を行わせることで、コンピューターが徐々に判断能力を備えるようになるという大きな特徴を備えています。


車両前方を捉えるカメラ(30fps)の映像をもとにDrive PXは状況を判断します。ディスプレイには車両を示す白い四角が表示されているのですが、車両にピッタリ追尾して表示されていることからも車両を認識していることがわかります。さらに、四角の上には「Passenger Car(乗用車)」や「Van(バン)」「SUV」などのワードが表示されており、単に車両の存在だけでなく車種までをも認識していることがわかります。


その認識力は、あらゆる映像を何千回、何万回と見せて学習させることで身につくようになるとのこと。車両の形状や大きさなどを繰り返し学ぶことで、徐々に車両の特徴をつかめるようになるとのこと。以下のシーンでは、自分の背後にピッタリとつけるパトカーをキッチリと認識していることがわかります。これは心強い。


夜や雨の走行シーンでも高い認識率を誇るとのこと。右の映像は雨が降る夜の道路を映したものですが、前方の車両を認識していることがわかります。さらに、ブレーキランプの点灯を感知して、前者がブレーキをかけたことを認識する能力も備わっているとのこと。


認識の対象は車両だけでなく、信号や道路標識などにも及びます。道路脇に立てられた板状の速度標識だけでなく、以下のようにLEDを使った標識にも対応しているとのこと。LEDを使った標識は毎秒60回という高速で点滅を繰り返しているため、カメラがうまく情報を読み取れないこともあるのですが、ディープラーニングを進めることでその問題すらも乗り越えて正しく認識できるようになるそうです。


このような技術を開発してきたコーヘン氏がAppleに移籍したことで、どのような動きにつながるのかは非常に興味深いところ。Appleは2019年から2020年ごろにもEV(電気自動車)を登場させると予測されています。

なお、EVの世界を一歩リードするテスラは、2015年10月に「モデルS」の車両ソフトウェアを更新して自動運転に対応させています。前方車両の追尾やレーンキープに加えて自動レーンチェンジや自動で駐車位置を探して駐車する機能などを実現しているということですが、その機能はまだこれから成熟が進められる段階であるとのこと。実際の走行風景を収めた以下のムービーでは、まれに発生する誤認識のようなシーンが収められており、最終的には搭乗する人間が安全を確認する必要があることが語られています。

Tesla drivers are having a little too much fun with auto-steer - YouTube

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in 乗り物,  メモ, Posted by logx_tm