史上初の宇宙製品は地球産の100倍高性能な光ファイバーかもしれない
国際宇宙ステーションで超高性能な光ファイバーを製造する計画が進行しています。史上初の「メイド・イン・スペース」製品は光ファイバーになる可能性が出ています。
Optical fibre made in orbit should be better than the terrestrial sort - Manufacturing in space
https://www.economist.com/science-and-technology/2018/09/08/optical-fibre-made-in-orbit-should-be-better-than-the-terrestrial-sort
地球上では製造できない高機能製品を宇宙で製造するという計画は1970年代からありました。多くは重力がない環境を活かして新種の合金を作るものでしたが、コスト面で折り合わず、宇宙製造が実現した製品はまだありません。
そんな中、「Made in Space」と「Fiber Optic Manufacturing in Space(FOMS)」の2社が、宇宙空間で高性能な光ファイバーを製造する計画を進行中です。
ガラス繊維でできた光ファイバーは、通信に用いる光が減衰しにくいことから高速通信を可能にしています。しかし、光の減衰がまったく起こらないわけではなく、より減衰の小さな光ファイバーの実現に向けて、ガラス材料の開発が進められています。現在、開発されている中で最も光を減衰しない高性能な光ファイバー向け材料として、ジルコニウム・バリウム・ランタン・アルミニウム・ナトリウム化合物の「ZBLAN」というガラスが開発されています。しかし、ZBLAN繊維はもろく、重力の影響を受ける地球上では1キロメートルを超える長さのZBLAN製光ファイバーを製造することは困難だとのこと。
そこで、重力の影響を受けない宇宙空間でZBLAN光ファイバーを製造しようとするのがMade in SpaceとFOMSというわけです。両社はすでに宇宙空間でZBLAN光ファイバーを製造できる小型の装置を開発済みだとのこと。この装置はいわゆる押し出し型の3Dプリンターに似た構造で、融解させたZBLANを引っ張ることで細長い形状に変え、保護用にガラスをコーティングすることで光ファイバー線を作るそうです。
SpaceX-13 Payload Overview: Made In Space - YouTube
Made in Spaceは国際宇宙ステーション内にZBLAN光ファイバー製造装置の取り付けを完了しており、まもなくテスト製造がおこなわれるとのこと。また、FOMSも2018年後半に製造装置を国際宇宙ステーションに送り届ける予定です。
ZBLAN光ファイバーは既存の光ファイバーの100倍の性能を持つといわれており、宇宙で安定的に製造することができれば、さらなる高速通信の実現が期待できそうです。
・関連記事
長期の宇宙滞在ミッションが引き起こす謎の病「VIIP」 - GIGAZINE
ビッグバンで生まれた「リチウム」の4倍ものリチウムが宇宙空間に存在する原因とは? - GIGAZINE
ロケットをつり下げて離陸・打ち上げ可能な超巨大ロケット打ち上げ飛行機「Roc」が初公開 - GIGAZINE
中国が乗客20人乗りの世界最大「宇宙旅行船」の打ち上げ計画を発表 - GIGAZINE
3Dプリントでピザを作る会社にNASAが出資、宇宙でピザを焼ける日が到来する可能性もあり - GIGAZINE
NASAが進める宇宙での野菜栽培プロジェクト「VEGGIE」 - GIGAZINE
・関連コンテンツ