サイエンス

ブルーライトが網膜を傷つけ失明を引き起こすメカニズムが明らかに

by Patrick Brinksma

可視光線の中でも最も強いエネルギーを持つ「ブルーライト」は、PCやスマートフォンなどのLEDディスプレイに多く含まれており、網膜にダメージを与えることで知られています。ブルーライトは失明の原因にもなると考えられてきましたが、最新の研究により「ブルーライトがどうやって失明を引き起こすか」が明らかになっています。

Blue light excited retinal intercepts cellular signaling | Scientific Reports
https://www.nature.com/articles/s41598-018-28254-8


Chemists discover how blue light speeds blindness
https://phys.org/news/2018-08-chemists-blue.html

Scientists Knew Blue Light From Screens Can Contribute to Blindness. Now They Know Why.
https://futurism.com/blue-light-blindness-retinal/

トレド大学の研究チームが、ブルーライトがどのように網膜の中心部にある「黄斑」に損傷を加え、失明の主な原因となる「黄斑変性」を引き起こすかを明らかにしました。黄斑変性は網膜の視細胞が死んでしまった状態を指します。


網膜の視細胞には光を感知して脳に信号を伝達するための「レチナール」と呼ばれる分子が存在します。研究に参加した生化学部の准教授であるAjith Karunarathne氏によると、「目が機能するには、網膜分子であるレチナールを連続的に供給する必要があります」とのこと。

研究チームはブルーライトがどのように網膜の視細胞を破壊するのかを観察したところ、目の機能に欠かせないレチナールが深く関わっていることを見つけます。研究チームによると、レチナールにブルーライトを当てると、網膜上の信号伝達物質が溶解。するとレチナールが光受容体細胞にとって有毒な化学分子になってしまうそうです。研究ではレチナール分子を光受容体細胞・ニューロン・心臓細胞など体のさまざまな細胞と組みあわせたそうですが、その結果、ブルーライトもしくはレチナールのいずれかだけでは網膜細胞を損傷することはできないことも明らかになっています。

by Daniil Kuželev

また、研究チームはビタミンE由来のα-トコフェロールという物質が網膜の細胞死を防ぐ可能性があることを発見しています。研究チームは、今回の発見が黄斑変性の症状を遅らせることが可能な点眼剤の開発につながることを期待しています。

「アメリカでは毎年加齢に伴う黄斑変性の症例が200万件以上報告されています」とKarunarathne氏が語るように、アメリカでは加齢黄斑変性が65歳以上の失明原因として最も一般的なものなっています。Karunarathne氏は「網膜とブルーライトの組みあわせによる毒性反応を見つける方法を探し、失明のメカニズムを学ぶことで、ハイテク世界で生きる子どもたちの目を守る方法を見つけたい」と、さらなる研究への意気込みを語っています。

by Green Chameleon

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in サイエンス, Posted by logu_ii

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