目の見えない人に埋め込んで視覚を取り戻すデバイス「Bio-Retina」

By vernhart

加齢黄斑変性や糖尿病性網膜症などといった網膜の欠陥によって完全に失明した患者であっても、576ピクセルに等しい映像で視力を取り戻すことができる技術が開発されました。

The laser-powered bionic eye that gives 576-pixel grayscale vision to the blind | ExtremeTech

このバイオ・インプラントは、さまざまな学説や動物による試用テストを経て、ヨーロッパの市場に衝撃を与えているようです。

視力を回復させるインプラントにはこれまでにもSecond Sight社によって開発されたArgus IIというものがあり、これはすでにヨーロッパで利用可能です。費用はおよそ11万5000ドル(約900万円)。4時間の手術によって眼球の後ろにアンテナを埋め込みます。この時、アンテナにシグナルを送るためにカメラを搭載したメガネをかけます。アンテナは約60の電極によって網膜に配線され、脳が判断を行えるように、60ピクセルのディスプレイに等しい映像を作り出します。Argus IIを使った初めての患者によれば、このインプラントを使うと物の大体の形や動きの流れが見え、大きい文字を読むことが可能となる、ということです。

そして新たにNano Retina社によって開発されたのがBio-Retinaというインプラント。Bio-Retinaにかかる費用は大体6万ドル(約470万円)あたりで、Argus IIよりも低コストであり、メガネに搭載したカメラの代わりに視力復元センサーを用いています。


Bio-Retinaの仕組みは以下のデモ・ムービーから見ることができます。

Nano Retina - Sight restoration, produced by Virtual Point - YouTube


インプラントはこんな感じ。指にちょこんと乗る大きさです。


Bio-Retinaは目の内部、網膜の上に配置され、手術は局所麻酔を使い30分程度で行われます。


基本的に、加齢黄斑変性や糖尿病性網膜症の患者は、網膜にある光に敏感な錐体桿状体といった細胞の機能がストップしてしまっています。


Bio-Retinaは576ピクセル、24×24の解像度を持つセンサーであり、ダメージを受けている網膜の上に置かれると、センサーの後ろにある576の電極が視神経につながれます。


埋め込まれた画像プロセッサは、脳がグレースケールの違いを知覚できるようにピクセルを電気の振動へと変換します。


Bio-Retinaシステムはインプラントを埋め込むと同時に一組のレンズを使用します。このレンズは虹彩を通して近赤外線レーザービームを目の裏のセンサーに発射することができるよう改造されており、これによってセンサーは出力します。


センサーには光電池があり、3ミリワットまでの電力を生み出します。赤外線のレーザーは目には見えず、痛みもありません。


Bio-Retinaの人体を使った試用テストは2013年に始められる予定ですが、Second Sight社の時のように、米国の承認に時間がかかる可能性もあります。しかし、アメリカに住んでいても飛行機に飛び乗りヨーロッパにある病院の1つにやってくれば、簡単に手術を受けることができます。なお、色つきのイメージを作り出すエンコーダーチップやセンサーについての進歩はまだ見られませんが、多数の研究グループがさらに多くの電極を用いて高い解像度のバイオ・アイを研究しているとのことです。

・関連記事
視覚障害者向けの「かけるだけで見える」高機能メガネ、市販を目標に開発中 - GIGAZINE

眼球に埋め込まれたカメラで見た物すべてを記録し映画にするプロジェクト - GIGAZINE

失明しても再び視力を取り戻すことが可能に - GIGAZINE

「鷹の目」は実は凄くない、本当かウソか - GIGAZINE

見えていないはずなのに無意識に見えている「盲視(ブラインドサイト)」が日常生活で起きることを証明 - GIGAZINE

156

in サイエンス,  動画, Posted by logq_fa