サイエンス

スマホやPCモニターから出るブルーライトは老化を加速させる可能性


スマートフォンのディスプレイやPCのモニターから出るブルーライトは波長が短く高いエネルギーを持つため、視力に悪影響が出るという説が唱えられています。そんなブルーライトに「老化の促進」という懸念すべき効果があるという研究を、オレゴン州立大学の研究チームが発表しました。

Frontiers | Chronic blue light leads to accelerated aging in Drosophila by impairing energy metabolism and neurotransmitter levels
https://doi.org/10.3389/fragi.2022.983373

Blue light from smartphones and computer screens may accelerate aging
https://www.zmescience.com/science/news-science/blue-light-from-smartphones-and-computer-screens-may-accelerate-aging/

研究チームは、細胞の働きに不可欠とされる特定の代謝物質に着目。こうした代謝物質には、ミトコンドリア内でエネルギーを取り出すために必要なコハク酸や、神経細胞同士のコミュニケーションに関わるグルタミン酸が含まれています。

ブルーライトの照射がミバエの細胞に与える影響を調べるため、ブルーライトを2週間照射し続けたミバエの細胞と、暗所に置いた細胞を比較したところ、ブルーライトを照射した細胞の方がコハク酸レベルが増加し、グルタミン酸レベルが減少していることを発見しました。

オレゴン州立大学総合生物学部のJadwiga Giebultowicz教授は「ブルーライトを照射した後にコハク酸レベルが高くなるということは、ガソリンが車にもう入らなくなっているのと同じことです」と述べています。

研究チームは実験結果から、ブルーライトにさらされたことでミバエの細胞の老化が促進され、寿命が短くなってしまったと論じています。コハク酸やグルタミン酸は人間の細胞でも重要な代謝物質であることから、ブルーライトの過剰な照射によって人間も老化が促進されると主張しています。


ただし、実験で使われたブルーライトは、日常的に人間が浴びるものと比べてかなり強く設定されています。そのため、スマートフォンやPCモニターから浴びるレベルのブルーライトではどの程度人間に影響が出るかは判明しておらず、研究チームはさらなる研究が必要だと述べています。

Giebultowicz教授は「ブルーライトの発光源であるLEDは、携帯電話やPCのモニター、テレビなどのディスプレイや照明に使われています。先進社会の人間は起きている時間のほとんどをLEDによるブルーライトにさらされています。細胞内で使われている代謝物質はミバエと人間で同じなので、ブルーライトが人間に悪影響を及ぼす可能性はあり得ます」とコメントしました。

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in サイエンス, Posted by log1i_yk

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