メモ

「ブルーライトカットメガネは必要なく、デバイスのナイトモードで十分」という主張

by bruce mars

PCやスマートフォンのディスプレイから発せられる光には、「ブルーライト」と呼ばれる長時間見続けると目に悪影響を及ぼす光が含まれています。そんなブルーライトをカットする「ブルーライトカットメガネ」といった商品も数多く登場していますが、「ブルーライトが悪影響を及ぼす明確な研究結果はなく、もしブルーライトをカットしたくてもデバイスをナイトモードにするだけで十分。特殊なメガネは必要ない」という主張がThe Atlanticで展開されています。

Blue-Light–Blocking Glasses Won't Save Your Eyes - The Atlantic
https://www.theatlantic.com/health/archive/2018/11/blue-blocking-glasses-instagram/575965/

最近では多くのブルーライトカットメガネを販売しているメーカーが、InstagramなどのSNS上で大量のフォロワーを抱える「インフルエンサー」を用いてキャンペーンを行っています。インフルエンサーを用いた広告に多いパターンは、インフルエンサーがブルーライトカットメガネを手に持つか着用し、ブルーライトの危険性やメガネを使うようになっていかに生活が快適になったかを訴えるというもの。

SNSを利用するユーザーは日常的にPCやスマートフォンの画面を長時間見続けており、アメリカ検眼協会は「半数以上のアメリカ人が目の疲れを訴えている」としています。目の疲れは時に頭痛や視力の低下をもたらすこともあるため、長期的に見るとさらに深刻な悪影響が出るかもしれないと不安になってしまい、ブルーライトカットメガネを着用して負担を軽減しようとするのは当然です。しかし、PCやスマートフォンのブルーライトにさらされることが目にダメージを与え、網膜を損傷するという明確な研究結果は出ていないとのこと。

by XXSS IS BACK

スマートフォンやSNSの利用が今日のように増加するずっと以前から、ブルーライトに関するロビー活動が行われていたとのこと。ニューヨーク大学で研究を行う眼科医のScott Brodie氏は、「早くには1980年代~1990年代からブルーライトに関する懸念が表明されていました」と語っています。コンピューターの新規性とこれまでの日常になかったデバイスを長時間利用することへの不安が、医師や労働者団体のロビー活動を引き起こしたというわけ。

しかし、これは単なる空騒ぎに過ぎなかったとBrodie氏は述べています。ブルーライトによる被害を訴える人の目にはそれほど大きな問題はなく、Brodie氏は「私が知る限り、ブルーライトによる深刻な被害が出たということはありません」と語りました。

近年では至る所で継続的にブルーライトを見ることの危険性が訴えられており、人々が不安になるのも無理はありません。しかし、もしブルーライトが本当に人体にとって大きな悪影響をもたらすのならば、これまで数十年にわたってブルーライトを使用したデバイスに触れていた人の中から深刻な被害を受けた人がゾロゾロと現れ、どこかの医療関係者が確認していないと不自然だとBrodie氏は考えています。

by Craig Adderley

ブルーライトカットメガネを製造するメーカーは、マーケティングのために「スクリーンから受けるブルーライト」と「何か一つのものを長時間見続けたことによる影響」という実際には個別の事柄を単純に結びつけているとのこと。アラバマ大学の医学准教授であるAdam Gordon氏は、「目の疲れは、単に自然な焦点と違う距離で一つのものを長く見続けたことで発生します」と語っています。「デジタル疲れ」によって発生するとされる目の状態は、あまり休憩を取らずに8時間本を読んだ時にも発生するとして、デスクワーカーの多くは見ているものが紙の書類かPC画面かに関わらず同様の症状が出るそうです。

多くの消費者は「ブルーライトがPCやスマートフォンの画面からのみもたらされる」と信じていますが、実際のところブルーライトはディスプレイよりも自然の太陽光に多く含まれます。「日中の屋外で降り注ぐ太陽光には、PCやスマートフォンの画面を8~10時間見続けた場合の200倍近いブルーライトが含まれています」とGordon氏は述べ、もしもブルーライトが目にとって有害なのであれば、デスクワーカーよりも屋外で働く労働者や屋外スポーツをする人の目に大きな悪影響が及んでいるはずだとしています。


また、インディアナ大学医学部教授のRaj K. Maturi氏はブルーライトにはいくつかの利点があると語っており、「屋外でブルーライトを目にすることで子どもの近視が防がれる」「睡眠をもたらすホルモンであるメラトニンの分泌を防ぎ、日中にいきなり眠くなってしまうのを防いで睡眠サイクルを正常に保つ」といったブルーライトのメリットを挙げています。

その上でMaturi氏はブルーライトカットメガネの有効な利用方法として、「夜間にPCやスマートフォンを見る時にブルーライトカットメガネを着用することでメラトニンの分泌が妨げられずに済むため、夜にちゃんと眠ることができる」というものを提案しています。しかし、昼間にブルーライトカットメガネを着用する正当な理由はなく、夜間にメラトニン分泌を妨げないという目的においても、デバイスをナイトモードに切り替えるだけで対処可能だとのこと。

by Johannes Plenio

ブルーライトカットメガネに医療的な効果があるかどうかについては疑問が残る一方で、「ブルーライトカットメガネを着用することで、PCやスマートフォンを見ることで目に負担がかかっている事実を意識し、画面の明るさを適度に調節したり定期的に目を休めるようになる」という意識付けとしての効果は期待できます。Maturi氏は一つのものを長時間見続ける際は、「20分ごとに20フィート(約6m)先のものを20秒見つめる」という方法で適度に目の緊張をほぐすことが、目を休めるために効果的だと述べました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
ブルーライトが網膜を傷つけ失明を引き起こすメカニズムが明らかに - GIGAZINE

あなたの睡眠を妨げているのは寝る前にポチポチいじるスマホかもしれない - GIGAZINE

モニターの色温度を日の出・日没に合わせてゆっくりと調節して目の疲れを軽減する「LightBulb」 - GIGAZINE

無料でパソコン画面のブルーライトをカットするため時間帯・位置で自動調節するソフト「f.lux」 - GIGAZINE

Windows 10で「ブルーライト低減機能」のトグルボタンが発見される - GIGAZINE

iPhoneの画面カラーを暖色系に変えて夜間にブルーライトをカットするiOS 9.3の新機能「Night Shift」を使ってみた - GIGAZINE

in メモ, Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article here.