ベゾス氏設立の「Blue Origin」が宇宙旅行のチケットを2019年に発売することを発表

Amazon創業者のジェフ・ベゾス氏が立ち上げた民間航空宇宙企業「Blue Origin」のトップが、民間人を宇宙へ送り届ける旅行プランを2019年内にも発売することを発表しました。

Blue Origin plans to start selling suborbital spaceflight tickets next year - SpaceNews.com
http://spacenews.com/blue-origin-plans-to-start-selling-suborbital-spaceflight-tickets-next-year/

The Digest: Blue Origin’s Spaceflight Tickets Will Go on Sale in 2019
https://futurism.com/new-shepard-tickets-blue-origin/

この発表は、2018年6月20日から21日にかけて開催されたAmazon Web Service Public Sector Summits 2018の中で同社のロブ・メイヤーソン上級副社長が発表したもの。キーノートスピーチの中でメイヤーソン氏は、乗客はBlue Originが開発中のロケット「New Shepard」に搭乗して宇宙に行くことになると明らかにしています。

ただし発表時点では、具体的な価格やスケジュールについては明らかにされなかったとのこと。この点についてはメイヤーソン氏が情報を絞っているわけではなく、詳細な内容はこれから詰められる段階にあるとみられています。

New Shepardは機体を打ち上げるブースターと、その先頭に搭載されるクルー・カプセルからなる機体で、2015年から飛行試験が繰り返されてきています。ブースターはSpaceXのFalcon 9ロケットと同様にロケットを逆噴射しての着陸が可能で、複数回にわたって再利用できる性能を備えています。

乗客が乗るクルー・カプセルはこんな感じ。船内は人間が活動できる気圧に与圧され、大きなアクリル製の窓を備えることで宇宙空間から地球の様子を観察できるように設計されています。

以下のムービーは2018年4月29日に実施されたNew Shepardの試験飛行の様子が収められたもの。38分ごろからは実際にNew Shepardを打ち上げ、上空でクルー・カプセルを切り離して地上に帰還する一部始終を見ることができます。

Replay of New Shepard Mission 8 Livestream - YouTube


発表時点では価格について言及されなかったことに加え、実際にどのような飛行プランになるのかも明らかにはされていませんでした。メイヤーソン氏が明らかにしていたのは「サブ・オービタルな飛行」ということで、これはつまり国際宇宙ステーションのように地球を周回する飛行ではなく、ある高さまで上昇して宇宙空間にまで達し、無重力の環境で地球の姿を宇宙から眺めて帰ってくるというものになりそう。以下のムービーはそんな飛行の一端を見ることができるもので、高度35万1000フィート(約107km)というアポジー(最高到達点)に到達して再び地球に戻る様子が収められています。

Apogee 351,000 Feet - YouTube


なお、安全性を確保するための試験も行われています。もし打ち上げ中にブースターに問題が発生した場合は、以下のムービーのようにクルー・カプセルの底に取り付けられたロケットモーターが点火され、ロケット本体よりも速いスピードで離脱して安全な領域にまで一気に逃げてしまうようになっています。

New Shepard In-flight Escape Test - YouTube


Blue Originのような民間向け宇宙旅行サービスは、SpaceXやVirgin Galacticなどの企業が提供開始を目指して開発を進めている状況。Blue Originが2019年に初飛行を成功させて一歩抜きん出た存在になれるのか、関心が集まりそうです。