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料理のレシピに魔法の数字「180度」がよく出てくるのはなぜなのか?


料理のレシピを見ていて「オーブンを180度で予熱」という言葉を目にした人もいるはず。パンやクッキーを作る上で、なぜこの数字がしばしば登場するのか、専門家が説明したムービーが公開中です。

Why 350°F is the magic number for baking - YouTube


アメリカの料理のレシピを見ているとカ氏350度(セ氏180度)という温度設定がよく見られます。


ものによってはあらかじめシステムに「セ氏180度」という設定が登録されているものさえあります。


なぜ料理において「セ氏180度」が重要なのか?ということで、プロのペイストリー・シェフであるMichael Laiskonis氏が解説します。


パンやクッキーといった焼き物を作る上において、色やフレーバーの面だけでなく「水分」をコントロールするためにも温度が重要とのこと。


温度が上昇するにつれ焼き物表面の水分は失われていき……


色は茶色くなっていきます。また、火を入れる前にはなかった風味も生まれます。これはメイラード反応と呼ばれる化学反応が起こるため。


メイラード反応は、タンパク質と糖が熱と水分で変容することをいいます。


糖の分子は熱にさらされるとタンパク質と反応し、分解され始めます。この反応が起こったところで生地の色が茶色く変色し始めるとのこと。


またメイラード反応によって見た目だけでなく味にも変化が生じます。


メイラード反応によって外はさっくり香ばしく、中はふんわり、というケーキを作ったり……


じゅわりと旨みあるステーキが作れたりするわけです。


このメイラード反応のカギとなるのが「温度」。適切な温度よりも高くても低くてもうまく反応が起こりません。


多くのレシピにカ氏350度(セ氏180度)と記されているため、セ氏180度でメイラード反応が起こるように思えますが……


実はメイラード反応が起こりやすいのは、それより少し低いカ氏230~240度(セ氏110~115度)だそうです。


お菓子作りを行う人としては、お菓子の表面と内側の反応をコントロールしたいもの。


実際にセ氏110~115度で焼いてみると……


表面が乾いて褐色になる前にクッキー全体が乾燥してしまいます。


しかし、カ氏500度(セ氏260度)で焼いてしまうと……


今度はクッキー裏面が真っ黒に。


メイラード反応を表面だけでなく、クッキー全体で起こさせるには、セ氏180度で予熱することが大切なわけです。


しかし、シェフの中にはあえて別の温度で焼く人も。


例えば、焼き色をあまり濃くしたくない人はカ氏325度(セ氏約163度)で焼き、外側をカリカリにしたい人はカ氏375度(セ氏191度)で焼きます。


現代の料理人は忘れがちですが、私たちは長い間オーブンの温度をコントロールできないでいました。「ペイストリー・シェフの役割は火を起こしオーブンを保つ技術を持っていることである」とされていた時代もあります。


1900年代のレシピには「moderate(適度)」「hot(熱い)」「slow(ゆっくり)」などざっくりとした指示が書かれていました。


しかし、第二次世界大戦後に温度計の技術が発達し、台所に持ち込まれるようになります。


そして、レシピの書き手によって「適度」がセ氏180度であると記されるようになったとのこと。そして具体的な温度が決まることによって、オーブンのデザインや温度コントロールを生み出す結果となったわけです。

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in 動画,   , Posted by darkhorse_log

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