サイエンス

地球温暖化を止めるには私たちが「肉や乳製品を食べなくなる」ことが不可欠

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地球温暖化は動植物だけでなく人間の将来も脅かす深刻な問題であり、地球温暖化に対処するには「たとえ不都合があろうとも人々が食生活を改めて、動物由来の食物を食べないようにするべきだ」と、「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」の著者として知られるジョナサン・サフラン・フォア氏が主張しています。

Jonathan Safran Foer: why we must cut out meat and dairy before dinner to save the planet | Books | The Guardian
https://www.theguardian.com/books/2019/sep/28/meat-of-the-matter-the-inconvenient-truth-about-what-we-eat

フォア氏は「地球が危機的状況にあることは多くの人が意識しているものの、実際に地球温暖化に対抗するべく活動している人は少ない」と指摘。2018年には人々がこれまで以上の環境に関する情報を手に入れていたにもかかわらず、過去最高の温室効果ガスを排出しました。これはつまり、問題認識はあっても多くの人が行動に移せていないという状況があることを意味します。


もちろん温室効果ガスの排出は一個人の活動で全てが決められるものではなく、中国やインドでの石炭使用の増加、世界経済の成長、人口の増加、さらに極端な気候による冷暖房使用の増加といった理由もあります。しかし、多くの人々が実際に地球温暖化対策を行っていないという点も事実であり、人々は地球温暖化の危機から目を背けているとのこと。

過去にはドキュメンタリー映画「不都合な真実」が話題となってアカデミー賞を受賞するなど、何度も地球温暖化への対策が急務であると叫ばれてきました。しかし、世界中で提唱されている多くの環境問題への対策の中には、「意図的に除外されているものがある」とフォア氏は指摘します。

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フォア氏が「意図的に除外されている」と主張する地球温暖化対策とは、「動物製品の消費を大幅に削減する」ことです。これは個人的な意見ではなく不都合な科学的事実であるとフォア氏は述べており、食肉や乳製品の加工に関する畜産は、飛行機・自動車・電車を含む輸送部門全体を超える温室効果ガスを排出しており、地球を救うには動物由来の食物を食べないようにするべきだと主張しています。

畜産は二酸化炭素よりも強力な温室効果を発揮するメタン亜酸化窒素の主要な排出源であり、森林破壊の主要な原因でもあるとフォア氏は指摘。地球温暖化対策について述べる際に食肉の消費量削減について訴えないことは、生活習慣病の患者に対して食生活や喫煙習慣を改めるよう述べず、定期的な運動だけをアドバイスするようなものだとフォア氏は考えています。

一方で食生活の改革が主要なトピックとして取り上げられない理由について、人々は長年の食生活を改革することを避けたがっているからだとのこと。「化石燃料業界やそのロビイストを中傷することは、私たち自身の食習慣を改めるよりもはるかに簡単です」と、フォア氏は推測しています。ビーガンの人でもない限り肉の消費量削減という結論を受け入れたがらず、ビーガンの人の強すぎる熱意はその他の人々を遠ざける可能性もあるとのこと。

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ほとんどの人々は子どもの頃から肉や卵を好んで食べており、今さら食生活を変えるのは困難であるとフォア氏も認めています。動物肉の消費を減らすよう主張しているフォア氏自身も、動物の肉を食べたいと願わない日はほとんどなく、理性では肉を食べるべきではないと理解しているものの、時には誘惑に負けてハンバーガーなどを食べてしまうとのこと。

世界の電力網を大幅に転換させたり、強力なロビイストを抑えて炭素税法を可決したり、温室効果ガスの排出に関する国際的な基準を採用したりすることに比べ、日々の食生活を変えることは誰にとっても簡単に思えます。しかし、長年にわたる習慣や愛着、好みといった問題は、食生活を変えるという簡単なステップをこの上なく困難なものにしてしまうと、フォア氏は述べています。

しかし、地球温暖化への対策は、「スケジュールが空いた時や気が向いた時だけ進められるものではない」とのことで、家が火災で燃えているのと同じように、地球温暖化は放置すればするほど深刻化し、いつかは「どれほど努力しても地球を救うことができなくなってしまう転換点」に達してしまうとフォア氏は警告しています。

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気候変動に対処するために個人ができる主要な行動として、「子どもの数を減らす」「自動車を使わない生活をする」「飛行機に乗らないようにする」「植物中心の食生活にする」の4つがあるとフォア氏は主張。このうち、最も簡単に人々が参加できるのは食生活の変更であり、メタンガスなど二酸化炭素よりも大きな温室効果を持つガスの排出量を減らすため、個人レベルでも大きな貢献が可能だと述べています。

「菜食主義はエリートの特権で、一般的な人々には難しい」という主張もありますが、これにもフォア氏は反論しています。確かに健康的な菜食主義は不健康な食生活よりも高くつきますが、肉を食べつつ健康的な食生活を送るよりは安価で、さまざまな病気のリスクや医療費についても考慮すれば、結果的に健康的な菜食主義は不健康な食生活よりも安くつくとのこと。実際に、アメリカ人のうちでも年収が7万5000ドル(約810万円)以上の人の4%が菜食主義なのに対し、年収3万ドル(約320万円)以下の人のうち9%が菜食主義だそうです。

たとえば多くの人々が夕食だけ肉を食べ、朝や昼に肉を食べないようにするだけでも効果があるとフォア氏は述べ、植物由来の人工肉の普及や農業に関する法律の整備なども重要だと指摘しています。また、個人の地球温暖化対策の重要性を訴えることで、大企業や政府の責任から目をそらす必要はなく、個人レベルの対策と同時に国や世界レベルの対策を推進していく必要があるとフォア氏は主張しました。

by Porapak Apichodilok

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in サイエンス,   , Posted by log1h_ik

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