クッキーを焼いている時、化学的には一体何が起きているのか?
クッキーはチョコレートやキャンディーと並んで、世界中で食べられているお菓子の1つです。スーパーなどで売っている既製品のクッキーを買うだけでなく、自分で作ってしまう人がいるほど定番のお菓子であるクッキーですが、オーブンで焼いている間、クッキーの身に発生しているさまざまな化学変化について知っている人は多くありません。そんなクッキーの秘密を化学的に分析したムービー「The chemistry of cookies」をTEDが公開しており、知られざるクッキーの秘密が明らかになっています。
The chemistry of cookies - Stephanie Warren | TED-Ed
http://ed.ted.com/lessons/the-chemistry-of-cookies-stephanie-warren
The chemistry of cookies - Stephanie Warren - YouTube
小さかったクッキーがオーブンで焼かれて大きくなる様子はまるでモンスターが誕生する瞬間を見ているようです。
オーブンに入れた時はおとなしくしているクッキーですが、しばらくすると表面がさざ波の形状に変化。
だんだん大きくなり……
完成時には色が茶色に変化して、表面はボコボコとしてクレーターのようなものまで出現します。
キッチンタイマーが鳴るとクッキーは完成しますが、一体オーブンの中では何が起こっているのか?
クッキーを作る人は、マッドサイエンティストそのもの。
マッドサイエンティストが練り込んだ生地は、オーブン内の温度があがると化学反応を起こします。
オーブン内の温度が摂氏約33度(華氏92度)になると……
生地に練り込まれたバターが溶け始めます
バターが溶けることによって、生地は柔らかくなり、形状が平らに変化。
バターは主に水分と脂肪の二つの成分で構成されています。
バターが溶けると、脂肪がなくなって水分だけが生地の中に閉じ込められ……
熱が加えられることによって膨張して気化します。この現象がクッキーの表面をデコボコにするとのこと。
生地内の水分が気化すると生地の表面が膨らみ……
エイリアン誕生。
クッキーの原料での1つである卵。
卵にはサルモネラ菌が含まれています。
ですので、クッキーの生地のつまみ食い行為は、リスクがあることを理解しておかなければいけません。
オーブン内の温度が摂氏62度(華氏144度)まで上昇すると……
卵に含まれていたタンパク質が変化し始めます。
卵に含まれているタンパク質は数種類あり、それぞれが違う温度で化学変化するとのこと。
タンパク質は熱を加えられると形が崩れて、周囲のタンパク質と同化し始めます。
卵の白身は柔らかいですが……
熱が加えられると堅くなるのはタンパク質が変化しているからなのです。
オーブン内の温度が摂氏100度(華氏212度)まで上昇すると、生地内の水分は完全に蒸発します。
水分がなくなると生地が乾燥して、平べったくなり表面にひび割れが生じます。
生地内には水分が蒸発した空洞のような跡が残り、これがクッキーのザクザク感を演出するわけです。
また、生地内に含まれている重曹が酸性の物質に反応して二酸化炭素ガスを発生。
このガスもクッキー内に小さな空洞を作る要因の1つです。
摂氏155度(華氏310度)までオーブン内の温度が上がると……
メイラード反応が発生します。
メイラード反応によって、糖分とタンパク質が化合し褐色物質が発生、クッキーの香りや色が変化します。
キャラメル化と呼ばれる現象が、クッキーに最後の仕上げを施します。
糖分が引き起こす酸化反応によるキャラメル化現象は、クッキーに香ばしさや焦げ目を付けてくれるとのことです。
こうして香ばしくて甘いクッキーの完成。
牛乳を片手にクッキーをエンジョイしましょう。
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