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110億円規模のアルコール飲用に関する大規模研究が中止、アルコール飲料業界からの資金提供問題で



アメリカ国立衛生研究所(NIH)では1億ドル(約110億円)もの大金を投じて、アルコールを毎日飲み続けたらどうなるのかという臨床試験が行われていました。しかし、研究者に対してアルコール飲料業界が資金の便宜を図ったという報道がされたことで、NIHは内部調査を実施。そして、不適切な事実が明らかになったとして、研究を中止すると発表しました。

Major U.S. study on drinking to be shut down after it took funding from alcohol industry | The Star
https://www.thestar.com/news/world/2018/06/15/major-us-study-on-drinking-to-be-shut-down-after-it-took-funding-from-alcohol-industry.html

この膨大な予算を投じて研究を行っていたのは、NIHの中でアルコールに関する研究を行っている国立アルコール乱用・依存症研究所(NIAAA)です。NIAAAでは7800人の被験者を対象に毎日アルコールを飲み続けていたら、人体はどのような影響を受けるのかという臨床試験を10カ年計画で進めていました。

しかし、2018年3月になると、NIHのスタッフがアルコール飲料業界にコンタクトを取り、研究予算の半額以上にあたる6770万ドル(約75億円)の資金提供を受ける話をつけていたと報道されました。報道によると、研究者が業界団体の会議に参加し、意図的に適度な飲酒が健康に良いとする結果を示すための試験方法のレクチャーも受けていたとのことです。


NIHで局長を務めるフランシス・コリンズ氏は、この問題を調査するため諮問委員会を立ち上げ、内部調査を開始。調査によると、この研究に関わった人物がアルコール業界の従業員や外部の科学者、アルコールに関する研究機関の人物と頻繁にメールでやりとりしていた事実を確認したとのこと。このため、研究結果がアルコール飲料業界に都合の良いものに改ざんされる可能性があるとして、諮問委員会は2018年6月15日に研究を取り止める案を打ち出し、コリンズ氏がこれを承認しました。

諮問委員会は「研究の早い段階で業界の人間とコンタクトを取り、頻繁にやりとりを行っているという事実は、研究の公平性に疑問を生むことにつながり、研究結果の正当性を保証することができない」と報告書で述べており、実際に不適切な関係がなかったとしても、業界関係者と何らかの連絡手段を持つことは問題であると指摘しています。

ボストン大学で社会健康科学の教授を務めるマイケル・シーゲル氏は「この決定は、NIHが金銭的なやりとりよりも科学を重視していることを示すものです」と語り、NIHが科学を守る判断をしたことを高く評価しています。

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in サイエンス,   メモ, Posted by log1j_ty