メモ

アルコールに関する研究をしている科学者に対してアルコール飲料業界が資金の便宜を図った疑い

by Paloma A.

「アルコール飲用の健康への影響」という研究を行っている科学者が、その恩恵を受ける酒類会社から研究資金の提供を受けていた疑いがあり、研究自体に不正が及んでいないかの調査が行われています。

Federal Agency Courted Alcohol Industry to Fund Study on Benefits of Moderate Drinking - The New York Times
https://www.nytimes.com/2018/03/17/health/nih-alcohol-study-liquor-industry.html


NIH will examine ethics of its study on the health effects of a daily glass of wine - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/national/health-science/nih-will-examine-ethics-of-its-study-on-the-health-effects-of-a-daily-glass-of-wine/2018/03/20/db8f2806-2c78-11e8-b0b0-f706877db618_story.html

アメリカのアメリカ国立衛生研究所(NIH)は生物医学の研究に年間300億ドル(約3兆2000億円)以上の税金が投じられている世界有数の医療研究センターであり、アルコールに関する研究は27あるセンターの1つ、国立アルコール乱用・依存症研究所(NIAAA)で行われています。


そのNIAAAで、1億ドル(約106億円)を投じて10カ年計画で進められているのが、ライフスタイルの一環として毎日アルコールを飲み続けるとどうなるのかを調べる「中程度のアルコール飲用の健康への影響」という臨床試験です。

ニューヨークタイムズによると、研究に携わる科学者2名と当局職員1名が2014年にフロリダ州パームビーチにあるホテルでプレゼンテーションを行い、研究費用の半分以上にあたる6770万ドル(約70億円)の提供を受ける話をつけたとのこと。問題は、この資金の提供元が研究内容に利害関係のあるアンハイザー・ブッシュ・インベブハイネケンディアジオペルノ・リカールカールスバーグという酒類会社5社だったことで、これはNIHの「寄付金・支援金などの募集・提案を禁止する」という規則にも反しています。

アメリカでは飲酒が大きな問題になっているのですが、お酒を飲まない人よりも、中程度の飲酒をする人の方が寿命が長く、心臓病も少ないことがわかっています。今回の研究で「その理由が本当に飲酒なのか」を突き止めることができれば、健康問題についての大きな一歩になると期待されています。

by Quentin Dr

しかし、実際には飲酒によって健康が損なわれる恐れのある肝臓病・腎臓病など特定の病歴がある人、本人・家族が特定のがんになった人は参加者から除外されていて、この研究では飲酒のリスクが適切に測れないのではないかという指摘もなされています。

NIHのフランシス・コリンズ氏は「研究は有用なものである」と前置きした上で、ニューヨークタイムズの指摘を誠実に受け止め、研究において不正が行われていないか調査を行うことを発表しました。

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in メモ, Posted by logc_nt

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