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「学習をほとんど必要としない」義手が開発される


近年、義手や義足の技術には機械学習が用いられるようになり、スムーズな動作を行えるようになりましたが、学習に時間がかかってしまうという欠点がありました。ノースカロライナ大学チャペルヒル校で医用生体工学の教授を務めるヘレン・ファン氏らの研究チームは、人体の神経筋の電気信号を一般化したモデルを構築することで、学習をほとんど必要とせず、スムーズに手首などの関節を動作させる義手の開発に成功しました。

Myoelectric Control Based on A Generic Musculoskeletal Model: Towards A Multi-User Neural-Machine Interface - IEEE Journals & Magazine
https://ieeexplore.ieee.org/document/8360946/?reload=true

Smart Prosthetic Devices Create Natural Motion by Predicting Movement
https://futurism.com/prosthesis-hand-computer-model/

腕や足など体の一部を事故などで失ってしまった人であっても、脳は欠損した部位に対して運動を指令する神経筋の信号を送っています。これまで多くの技術者が開発してきた義手や義足などは、この信号を機械学習による学習法を使用することで、正確な動きを学習させるというアプローチが取られていました。

このアプローチについて、ファン氏は「神経筋の信号は、姿勢を変えたり、汗をかいたりするだけでも大きく変化してしまいます。このため、機械学習を使って義肢を学習させる場合、姿勢や状態を変えて同じ動きを繰り返し行う必要があり、学習に時間がかかってしまいます」と語っており、従来の義肢には長時間の学習が必要になるという問題点があることを指摘しています。

By TechCrunch

研究チームは義肢に個人の信号をひとつひとつ学習させるのではなく、あらかじめ信号の一般的なモデルを義肢に学習させることで、義肢を装着した人が即座に実用レベルの動きが可能になるのではないかと考えました。

そこで、6人の被験者を集めた研究チームは、彼らの腕に筋肉の電気活動を記録する筋電センサーを取り付けて、さまざまな動きをしたときの信号を解析。これらの信号の内容をもとに、ファン氏らは一般的な神経筋の信号モデルを作り上げることに成功しました。

実際に筋電センサーから入力された信号に合わせて、義手が動いている様子は、以下のムービーで確認することができます。

Model-based control on DEKA hand (Courtesy of Neuromuscular Rehabilitation Engineering Lab) - YouTube


研究チームは、この義手を四肢に問題を抱えていない被験者と過去に前腕を切断した被験者に義手として装着させ、両者ともに必要最小限のトレーニングだけで、あらかじめ期待されていた動作を全て行えることを確認しました。ファン氏らによると「今後は、さらに多くの被験者を集めて臨床試験に移る予定です」と述べています。

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