「フェイクニュース」によって生まれた誤った認識は認知能力が高くなければ正すことが難しい
by Roman Kraft
一度は「フェイクニュース」を信じてしまったとしても、それが嘘であったと認識を改めることができれば問題はありません。ところが、語彙テストにより「認知能力が低い」と判断された人は、認知能力が高い人に比べて、一度認識してしまった嘘を正すことが難しいようです。
‘Fake news’: Incorrect, but hard to correct. The role of cognitive ability on the impact of false information on social impressions - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0160289617301617
'Fake news' study finds incorrect information can't be corrected simply by pointing out it's false
http://www.psypost.org/2017/12/fake-news-study-finds-incorrect-information-cant-corrected-simply-pointing-false-50328
ベルギー・ゲント大学の研究チームは、ある若い女性「ナタリー」を題材に、390人の被験者に対する実験を行いました。被験者はそれぞれ語彙テストを受けて、そのスコアにより認知能力が高いか低いかランク分けされています。
被験者はナタリーの写真を見せられ、「結婚していて病院で看護士として働いていた」「しかし、薬を病院から盗み出した罪で逮捕された」「薬を2年間にわたって盗み、服を買うためのお金にするべく売りさばいていた」という情報が与えられた上で、ナタリーについて「肯定的/否定的」「冷静/活発」「敵対的/友好的」「好ましい/好ましくない」「信頼できる/できない」「誠実/不誠実」「丁重/横柄」「知的/無知」の8つの軸で、それぞれ0から100のスコアをつけました。
その後、被験者は「薬を盗んで逮捕されたこと」「服を買うために薬を売りさばいていたこと」は嘘だったと説明を受け、改めてナタリーの写真と、誤った情報に取り消し線が引かれた資料を渡されて、ナタリーを再評価しました。
by Igor Ovsyannykov
こうして評価結果をまとめたところ、「認知能力が低い」と分類された人は、認知能力が高い人に比べて、最初に与えられた情報が誤りであっても認識を改める割合が低かったことがわかりました。
以下のグラフはナタリーに関する「肯定的/否定的」評価の結果を示したもの。左端の2つが嘘情報を与えられた時点、中央の2つが情報の訂正を受けた後、右端の2つがナタリーについての誤った情報を最初から除外して伝えられた対照群の結果です。グラフの色の濃い方が認知能力が低いグループ、色の薄い方が認知能力の高いグループを示します。
研究チームは、この研究結果は現代のできごとについて「フェイクニュース」や誤った情報が与える影響を理解する上で重要な基礎を提供するものだと語っています。
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in サイエンス, Posted by logc_nt
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