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イーロン・マスクのSpaceXが計画する衛星インターネット通信サービスは順調に進行中


イーロン・マスク氏が立ち上げたSpaceXといえば、2018年2月6日に再利用可能ロケット「Falcon Heavy」の打ち上げに成功したばかりですが、その野望が止まることはありません。2月17日にもロケットの打ち上げを計画しているSpaceXは、この打ち上げ時に「衛星を利用したインターネット通信システム」に使用する試験用の衛星を打ち上げることを計画しており、これに成功すれば「アメリカでの衛星を用いたインターネット通信サービス」をスタートするための大きな一歩を踏み出すこととなります。

SpaceX hits two milestones in plan for low-latency satellite broadband | Ars Technica
https://arstechnica.com/information-technology/2018/02/spacexs-satellite-broadband-nears-fcc-approval-and-first-test-launch/

衛星を用いたインターネット通信サービスはGoogleOneWebViaSatなどが計画していましたが、SpaceXでも同じように衛星を用いたインターネット通信サービスが計画されています。衛星を用いたインターネット通信サービスの利点は何と言ってもそのカバー範囲で、地上で運用されているインターネット通信サービスの構築に不可欠な基地局やケーブルといった設備が行き届かない土地でも提供できるということで、開発途上国などでの利用も期待されています。

SpaceXが地球上どこでも利用できるギガビット級インターネット網構築のため4000基の人工衛星打ち上げを計画 - GIGAZINE


実際、連邦通信委員会(FCC)のアジット・パイ委員長は、SpaceXに「インターネットサービスを提供するためにアメリカおよび世界の基準を満たした衛星技術を使用する権利を与えること」を提案しています。もしもSpaceXが衛星を利用したインターネット通信サービスの提供において認可を得れば、OneWeb、Space Norway、Telesatに続き、FCCから認可を得た4つ目の企業となります。

このことについてFCCは、「これらの認可を受けたサービスは、新世代の大型非静止衛星を利用した固定衛星サービスシステムの第1世代となり、委員会は他の企業からの同様の申請を処理しているところである」とコメントしており、多くの企業が衛星インターネット通信サービスに参入しようとしていることがうかがえます。また、パイ委員長は「もしもSpaceXが認可を得れば、これはアメリカの企業が提供する『新世代の低軌道衛星技術を用いたインターネット通信サービス』としては最初のものとなる」と語りました。

by Marc-Olivier Jodoin

さらに、CNETの報道によれば2月17日にSpaceXが打ち上げ予定の「Falcon 9」には、衛星インターネット通信用のデモンストレーション衛星が積まれているとのことです。デモンストレーション衛星の打ち上げについてはSpaceXはFCCに書類を提出しており、既に認可されています。この打ち上げに関する書類には、二次積載物として「2つの実験的非静止軌道衛星の『Microsat-2aおよび2b』」と記されており、これがデモンストレーション衛星であることは明らかです。

これらの衛星はSpaceXが衛星インターネット通信サービスのテストで用いるものであり、FCCへの提出書類の中では「これらの衛星は実験的なエンジニアリング検証用のもので、我々が衛星バスおよび関連サブシステム、ならびに宇宙ベースおよび地上ベースのフェーズドアレイ技術の評価を可能にするためのものです」と記しています。

SpaceXはFCCに対して「2017年末までにこれらの試験衛星を打ち上げる」と伝えていたそうなので、計画はわずかながら遅れていることわかります。なお、SpaceXは2019年に本サービス用の衛星を打ち上げ、2024年までに4425基の衛星を打ち上げる計画です。


SpaceXは衛星インターネット通信サービスについて、通信速度は毎秒1ギガビットでレインテンシは25ms~35msほどになると発表しています。このレイテンシは光ファイバーを用いた通信サービスレベルのものであり、既存の衛星通信サービスとは雲泥の差があります。なお、既存の衛星通信サービスの場合、より高高度にある衛星を用いるため遅延は600ms以上になるとのこと。

デモンストレーション衛星は高度511kmを周回しますが、本サービス時に運用することとなる衛星は高度1110km~1325kmを周回する予定です。これとは対照的に、既存の衛星通信サービスであるHughesNetが利用している衛星は、高度約3万5400kmにあり、地上で構築されたインターネット通信サービスよりもはるかに大きな遅延が発生しています。

パイ委員長はSpaceXや他の企業が衛星を用いたインターネット通信サービスを改善するために「革新的な技術」を用いたと称賛しており、「衛星技術は光ファイバーケーブルや通信基地局が届かない農村地帯や暮らしにくい土地に住むアメリカ人に手を差し伸べるために大いに役立つ」とコメントしています。また、地上に設置された基地局やケーブルを用いたインターネットサービスが提供されている地域においても、利用可能な選択肢が増えることで競争力が増し、より良いサービスを提供するための礎となるとしています。

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in メモ, Posted by logu_ii

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