アフガニスタンの新興PCメーカーの工場内部に潜入取材したムービーが公開中

中央アジアに位置するアフガニスタンはこの30年間、戦争やテロにさらされ続けた国です。しかしアメリカの介入により、国外から軍隊や人材が移住し、アフガニスタンの首都カブールのインフラはめまぐるしい向上を見せました。

Ars visits Afghanistan’s only PC manufacturer | Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2016/04/ars-visits-afghanistans-only-pc-manufacturer/

以下のムービーはアフガニスタンにあるPCメーカーとその工場、またアフガニスタンにおけるIT政策を取材したものです。

Inside BlueSonic: Afghanistan's only PC factory - YouTube


アフガニスタンの首都カブールは350万人以上の人口を抱える都会です。

道路では自動車がひしめきあっています。

Blue Sonic社は、カナダに本社を置くアフガニスタンのPCメーカーです。

「2012年に会社を設立し、私たちの製品はアフガニスタンだけではなく、ドバイやカナダでも販売されています」Blue Sonic社の技術責任者であるWaheedullah Babrakzai氏は語ります。

Blue Sonic社の工場で作られているのはデスクトップ一体型のPCです。作業現場はかなりきれいで、ベルトコンベアの上を組み立て中のPCが流れていきます。アフガニスタンにある組み立て工場には60～70人が働くことを想定した生産ラインが設計されましたが、働いているのはまだ20人ほどとのことで、少しがらんとしています。

組み立て工がほほえみながら手にしているのは、Blue Sonic社のスマートフォンです。

デスクトップ一体型PCやスマートフォンの他にも、ノートPCや……

タブレットPC、テレビ、マウスなども生産していて、首都カブールやヘラートにはBlue Sonic社のショールームもあります。

会社の拡大と共に、アフガニスタンの女性がこれから社会へ進出する動きもあり、組み立て工場でも50人～60人が働けるようにしていきたいと考えているとのこと。

女性客のために女性の販売スタッフを置くことも検討されています。

「もちろん技術や販売だけではなく、経営やソフトウェアの開発にも力を注ぎたい」とWaheedullah Babrakzai氏は語ります。Blue Sonic社は教育事業にも取り組んでいて、タブレットやモバイルPC向けの学習用アプリの開発にも着手しているとのこと。

Blue Sonic社は、MicrosoftやIntelなど、海外企業からの援助を受けて国外への進出を行っており、これによってアフガニスタンでも一目置かれる企業になりました。

Blue Sonic社はアフガニスタンや本社ビルに教育センターを設けています。

また学生がBlue Sonic社で職業訓練を受けられるようにもしているとのこと。

「現在アフガニスタンでは、国民のうち1000万人が2020年までにインターネットに接続できる環境を得られるように整備が行われています」と語るのは、アフガニスタンの通信規制局(ATRA)の局長であるMohammad Najeeb Azizi博士です。

アフガニスタンは砂漠と山間部が多く、なかなかインフラが整っていない地方にも通信施設や医療施設、教育機関を作るために、政府は国民に10%の税を課すことが決定しました。

そのおかげで、アフガニスタンの公立大学の80%が既に光ファイバーやWiMAXによって自由にインターネットに接続できる環境が整っているとのこと。例えばカブール大学ではフリーWi-Fiのエリアを拡大させたことで、より多くのアフガニスタン人がインターネットに接続することが可能になっています。

30年近く戦争やテロに脅かされてきたアフガニスタンですが、PCの生産など産業を中心に発展し、教育や社会福祉などのインフラも整備され、近年まれに見る成長を遂げているというわけです。